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ALKINIST -あるきにすと-

Volcan Fuego 

夜1時過ぎ、建物の揺れに気付き、目を覚ました。
暗闇の中、ミシミシと嫌な音が響く。
じっと息を潜め、揺れがおさまるのを待ち続けた。

グアテマラの建物はレンガを重ねただけの簡素なもので、日本の耐震基準を満たしたものなどないに等しい。
「ここにいて大丈夫なのだろうか」
揺れが鎮まった後は猛烈な不安に襲われた。
すぐにでもこの宿を出て、どこかにテントを張った方が安全じゃないかと思った。

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アンティグアはかつてグアテマラの首都だった。
しかし1773年、大地震により町の大部分が破壊され、遷都されたという歴史を持ち、大地震から250年近く経った今でも崩壊した教会や修道院が放置されたままだ。

20年超グアテマラで暮らしている宿の主人曰く「グアテマラに来て以来最も強かった」という今回の地震はマグニチュード6.9。
さらにその1週間後にもマグニチュード6.8の地震があった。



地震は火山噴火を誘発すると言われ、その関係性は深い。
だからかアンティグア近郊にあるフエゴ火山は活発で、町からも噴火を見る事ができる。

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フエゴ火山の隣のアカテナンゴ火山に登れば、噴火を眺める事ができ、連日ツアーが催行されている。
アンティグアを訪れる前からフエゴ火山の噴火を間近で見る事を楽しみにしていたのだが問題は雨季という季節。
天候が安定しないこの時期に満足いく噴火を見る事はできるのか……。

とりあえず行ってみないと分からないので、ツアーには参加せず、1人でテントを担いでアカテナンゴ山に登ってみる。

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約5時間歩いた先でフエゴ火山とご対面。
モクモクと噴煙を上げる迫力ある噴火を見れたものの、夜間はガスに包まれ視界不良。
時折轟音と共に真っ赤な光が見えるのだが、イマイチ。

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翌朝、天候が回復するのを期待したが願いは届かず。
雲海は美しいのだが、正直雲海なんて富士山で飽きるくらいに見てきたし、サンライズも火山も見えず、消化不良のまま下山する。

復路は道を誤ったため、2時間以上も時間をロスしてしまった。
やはり個人で来るとこういうのが怖い。
後日またアカテナンゴに登る事になるのだが、この道を間違えた場所には2つの道があり、正規ルートは狭く、広い道が誤ルート。何も知らなければ広い道の方を選んでしまうはず。看板もなくとても分かりにくい道だった。

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2度目の登山は天気予報をチェックし、絶好の登山日和の日を選ぶ。
今回は3976メートルの山頂まで登った。

1月に山頂でテントを張っていたグループのテントが強風によって飛ばされた。
雨に打たれた彼らの体は瞬く間に冷え切ってしまい、6人が低体温症で亡くなるという事故があった。
キャンプ場にテントを張るか、山頂に張るか、悩みどころだったが、危なそうなら引き返すつもりで山頂へ。キャンプ場から山頂への最後の500メートルの道がきつかった。

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1月の事故の後、雨風をしのげる避難小屋が設置されていた。

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テントを張れるだけのスペースがあったので、小屋の中にテント設営。
外に張るのとでは寒さが全然違うし、夜は雨が降ったので、救われた気分。
夜間の噴火を眺めるため、外へ出ようとしたが、2メートル先は見えないくらいに視界は悪い。
小屋の場所を見失う事はないと思うが、ライトで周囲を照らしても灯りが届かない。
山頂はそこそこ広いため、小屋へ戻る事が難航しそうだったため、外へは出ず。

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翌朝、視界が回復していたので外へ出てみると、轟音と共に噴出されるマグマを見る事ができた。
噴火を眺めながらサンライズを待っていると、続々とツアー客がやって来た。

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そして日の出。

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すっかりフエゴ火山の魅力に憑りつかれてしまい、その後もアカテナンゴに登り、計4回ここを訪れた。
3、4回目は夜間の噴火を見る事ができ、寝る間を惜しんでフエゴ火山を眺め続けた。4回目にいたっては雲やガスに覆われる事がない絶好の条件下だったので、昼過ぎにキャンプ場に着いてから深夜2時まで12時間も火山を見ていた。

これだけ登ればルート上のどこに何があり、どこが最もきつくて、楽か、携帯すべき水の量など把握しているし、登山のペースもかなり早くなり、現地人ガイドには名前と顔を覚えられるまでになった。

同宿の旅行者からは「なぜそんなに?」と尋ねられるのだけど、フエゴ火山に魅せられたからとしか言えない。あるいは地球の鼓動にはまってしまった火山ジャンキー。

アンティグアにいてもフエゴ火山の方に顔を向ける事は多いし、毎日天気予報をチェックしている。

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間違いなく中米のハイライト。
南米も合わせてこの感動を超える光景があるとしたらペルーのワスカランくらいしか思い浮かばない。

アンティグアへ 



目指すアンティグアへは20キロ程。
歩き始めてすぐ、噴煙を上げる火山が見えた。
日の出の時間と重なり、ピンク色に染まった火山はとても美しく、短い間隔で何度か噴火した。
アンティグアから近いところにフエゴ火山という活火山がある事は知っていたが、実際に目にしてみると感動的だ。
この景色を眺めながら歩けたら上り坂など苦にならず楽しいに違いないが、次第に雲が空を覆い始め、やがて火山は姿を消した。

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10キロ歩き、アロテナンゴにて朝食。

ここからしばらく歩くと上りは一段落。結局この日は600メートル程の上りだった。
やがて町へ入ると路肩がなくなり、歩きにくくなる。

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アンティグアの中心へ入ると石畳の道。
風情があって良いのだが、リヤカー引きにとっては決して嬉しいものではなく、ガタガタと上下させ、とても歩きにくい。
特にこのアンティグアの石畳はひどすぎる。ボコボコ。

Aldea el Rodeo 

順調なら昨日のうちにエスクイントラに着いているはずだったけど、熱中症による体調不良で予定が狂い、エスクイントラまで20キロのところから出発。

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山が見える。
アグア火山とフエゴ火山な気がする。

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エスクイントラから首都グアテマラシティへは立派なハイウェイでつながっている。

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ハイウェイを少し歩いたところで道を外れ、首都ではなくアンティグアを目指す。
ここからアンティグアへは1500メートルの上り。
南米では何度も大きな峠を越え、上りに対する耐性もできていたけど、中米では上りはほとんどなく、また体調不良もあって久々の上りは憂鬱でしかない。
数ヵ月前にこの区間でサイクリストが強盗被害に遭っているので不安も少々。

足が重く、何度も道脇に座り、また歩くを繰り返す。
Aldea el Rodeoという村で昼食をとっていたら強い雨が降り始め、2時間程雨宿り。
800メートルのところまで高度を上げていたのでとても寒い。中米で初めて寒いと思った。

再び歩き始めるも30分歩いたところで激しい雨のため1時間近く雨宿り。

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今日はどこまで行けるのか、どこでテントを張るのか、などなど考えながら再び出発直後、建設途中の教会があり、テントを張らせていただく。

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中米では寝袋を全く使っていなかったが、寝袋が必要なくらいの寒さ。

エスクイントラ近郊 

テント内でコーヒーをこぼし、テント撤収中にテントポールが折れるという最悪な1日の始まり方。
体調は昨日よりましだが万全ではないので少し不安。



10キロ歩いてChiquimulilla。
サンドウィッチ屋に人が集まっていたので朝食。

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1つ6ケツァールもするのに味はいたって普通。(1ドル=7ケツァール)
どうでもいいけどケツァールとタイピングするのも面倒になったので、以下ケツと略す。

ここで出会った人にグアテマラの治安について尋ねるが、あまり治安は良くないらしい。
ホンジュラス、エルサルバドルを抜けてしまえば大丈夫と思っていたけど、引き続き注意しないといけない。

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太陽が出てとても暑い。
どこまで行けるか不安だったが27キロのところまで歩き続ける。
昨日は18キロ地点からペースが落ち始めたが、それと比べればまだまし。
木陰で20分程休憩。
暑い。今日も無理なんじゃないかと弱気になる。

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この辺りは商店が全く現れず、喉がカラカラ。
ようやく現れた商店にてコーラ。
いつも飲んでいる安い瓶コーラがないのでしょうがなくペットボトル。
0.6リットルで8ケツと日本並みに高い。

その先でさらに水を買ったが、ここからまた延々と何もない。
農場が現れたので声をかけるも反応なし。
木陰で休んでいたら農場の人がやって来て「水があるから来い」と言われるも、歩く気力はなくグッタリ。結局農場の人が水を汲んできてくれた。グラシアス。

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中米唯一らしいサファリパーク前を通過。

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しばらく何もなかったが、レストランが現れたので遅めの昼食をとる。
25ケツ(3.5ドル)。

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エスクイントラまで歩くつもりだったが、その手前にトラック専用ドライブインがあったのでテントを張らせてもらう。
水道水は飲めないとの事で管理事務所のウォーターサーバーの水をくれ、店ではおばちゃんがクッキーなどをくれた。

熱中症 

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グアテマラに入国。
エルサルバドル、グアテマラ、両国の国境施設が1キロ以上も離れていて遠かった。

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両替をし、グアテマラ通貨ケツァールを得る。
国境へと向かうトラックの長い車列を横目に今夜の寝床を探す。

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グアテマラ初日はガソリンスタンドだった。

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一晩休むも体調は良くない。
症状から軽度の熱中症であると確信。
危険な暑さではなかったし、無理したつもりもなかったが、一昨日の歩行が原因か。

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18キロを過ぎた辺りから足を止める頻度が激増。
1時間くらい横になってみたが、状態は変わらず。
アップダウンが多いのはきつい。

このまま無理に歩いても歩行距離は稼げないし、さっさとどこかで足を止めた方が得策なのは確か。
グアテマラはエルサルバドルより人口密度が低く、テントを張るのも簡単だが、十分な水がないので、今は有人地の方が望ましい。

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13時半という早い時間だったが、体調不良につき、民家の敷地にテントを張らせてもらう。

グアテマラへ 

5泊、ゆっくりと過ごしたEl Tuncoを出発。
グアテマラまで117キロ。2日でグアテマラ入りしたいので60キロが目標。



この辺りの海沿いに点在する町にはサーファーが多い。
首都サンサルバドルがある内陸より、海岸線に沿った道の方が治安的にも安全。

El Tuncoで再会したアルゼンチン人も出発し、後方からクラクションを鳴らされ、追い抜かれる。

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朝食はププサ。

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海岸線に沿った道なのでアップダウンは多い。

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トンネル。
この番号は何だろうと思っていたら、短いながらもその後も続々とトンネルが現れた。

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暑いので冷たい飲み物は欠かせない。
臭いとか味が付くのが嫌なので魔法瓶に水以外のものを入れたくないのだが、そんなポリシーを曲げてしまうくらいの暑さ。

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トンネルは5番まで続いた。
暑いし、休み明けなのに体は重いし、パンクするし、ペースは良くない。

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夕食もププサ。5つで1ドルというコストパフォーマンス抜群のププサだった。

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翌朝もププサなんだけど、さすがにそろそろ飽きてきた。

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暑くて食欲がない。ジュース屋のおばさんにもらったマンゴーが昼食。
1.5リットルのペプシは1時間半で飲み干す。

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徐々に足を止める回数が増える。
睡眠時間が足りてないのか眠いし、やけに疲れを感じる。
中米に入ってから疲れを感じる事が多いが暑さが原因なのか?
体は熱を帯び、軽度の熱中症かもしれない。
思うように足が動かず、1時間おきに休む。国境が遠く感じられた。

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国境手前で最後にププサを食べ、少しゆっくりするも足は重い。

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しかしトラックの長い車列の先に国境らしき建物が見え、ようやく足が動き始めた。

El Tunco 



El Tuncoという海辺の町で足を止めるか、先を目指すか、ここ数日考えていたのだが、疲れが溜まっているのは明らかなのでEl Tuncoで休養をとる事に決める。

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朝食はププサ。
しかしここのププサは前日のものに比べ、非常にイマイチ。

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20キロ歩いてEl Tunco着。

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宿の前にププサ屋があるのだが、ここのププサは美味しかった。
小豆みたいなのがはみ出しているが、まさに甘くない小豆でフリホーレスと呼ばれている豆。
フリホーレス以外にチキンなど中の具は色々だけど、フリホーレスが安くてうまい。

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小さな町を歩いていたら見覚えのある顔に声をかけられる。
レオンの宿で同部屋だったアルゼンチン人。彼らはアルゼンチンからアクセサリーを売りながら自分達の車で旅をしている。

「レオンから何日かかった?」
「8日半」という答えに彼らは驚いていた。
車なら2日なのだとか。