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ALKINIST -あるきにすと-

Ausangate 

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かつてインカ帝国の首都だったクスコ。
マチュピチュをはじめとする多くの遺跡が近郊に点在し、毎年6月には南米三大祭りの一つであるインティ・ライミが開かれる南米随一の観光地である。
見所満載のクスコであるが、あまり知られていないセロコロラドというカラフルな山がある。
クスコにある多くのツアー会社では日帰りツアーを取り扱っているが、食料とキャンプ道具を持ってトレッキングへと出かけた。

セロコロラドからアウサンガテを回るトレッキングルートへ抜けるか、クシパタ方面か、それとも来た道を戻るのか……。
数日分の食料は持っていたものの、セロコロラドからのルートに関しては行き当たりばったりの不確かなものだったが、アウサンガテ方面へと向かう。

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1泊目のテント設営地。左側にポツンと小さく見えるのがテント。
これまでのテント設営地でここまで素晴らしい環境はあっただろうか。

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どこかに水場があるだろうと十分な水を携帯していなかった。
湖がいくつかあったものの、きれいな水とは言えず、山から雪を採取してストーブで溶かし、水を作る。

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2日目。
5000メートルの峠を越えた先に現れたのがこの景色。
右の山がインカの聖なる高峰アウサンガテ。標高6394メートル。



2日目のテント設営地。背後にはアウサンガテが見える。
これまでテント泊する事1000泊超。
ラグーナルートにウユニ塩湖、前日のテント設営地も素晴らしかったが、テント設営場所としてはここがベストかもしれない。

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別角度から。

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谷の上。

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アルパカの放牧地だった。

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テントからの景色。
集落が見え、無数のアルパカが放牧されていた。

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テントすぐ側にきれいな小川が流れていた事もポイントが高い。
高度は4600メートル。朝は厚い氷が張っていた。

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結局アウサンガテを回るルートは断念。
アルパカの放牧地を抜け、幹線道路を目指す。

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セロコロラドの前はクアトロラグーナという場所も訪れており、4泊5日のトレッキングだったが無事終了。

セロコロラドへ至るルートには多くのツアー客がいたが、その先は少人数のグループがガイドを雇ってトレッキングしているのと数回すれ違ったくらい。
人が少なく、景色も素晴らしく、最高のトレッキングだった。

Qoyllor Ritti 

バスを使い、3日早くクスコ入りしたのはコイヨリッティという祭を見に行くため。

クスコでは南米三大祭の一つインティライミが開かれるが、ショーと化していて全然面白くないというのが友人からの話。
その友人にペルーのおすすめを訊いたところ、返ってきたのがコイヨリッティというあまり知られていない祭だった。
開催日は5月から6月の満月。5000メートル級の山奥の、車が入れないようなところで野営しながら、数日間夜通し踊りまくる祭なのだとか。

ラパスで7年振りに会った二胡奏者ヨシさんは南米に3年滞在してる南米通で、彼にもペルーのおすすめを尋ねてみるとコイヨリッティを強く勧められた。知る人ぞ知る祭なのか。



クスコで数日分の食料を揃えた後、キャンプ道具を持って祭会場を目指す。
最寄りの村からは車道がないためアクセス方法は徒歩か馬。多くの現地人の中に紛れ、8キロを3時間かけて歩く。
途中パラパラと降っていた雨が雪へと変わった。
高度も4100メートルから4600メートルまで上昇。

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雪は次第に強さを増し、寒さに震えながら祭会場に到着。
テント設営場所を探し歩いていたら、クスコで日本語ガイドとして働いている人と出会い、彼のグループの近くにテントを張らせてもらう。
差し出された熱いコーヒーがとてもありがたい。グラシアス。

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簡易宿泊所はあるかもしれないけど、祭に参加する人達は数日間野営するのでテントや自炊道具を持参。
数えきれなくらいのテントが並ぶ光景は圧巻の一言。

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テントからの眺め。

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裏の丘からの眺め。
赤屋根の横長の建物が教会。
水色のビニールシートの屋根は簡易食堂や商店。ポツポツと見えるものは全てテント。
普段は教会がポツンと建っているだけの場所らしいけど、祭開催中は何十万の人々が集まるのだとか。

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色鮮やかなな衣装を身にまとった人達が音楽に合わせて踊る。
そんな光景を至る所で目にする事ができる。

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日没後は冷え込むので夜はあまり出歩かなかったけど、夜も踊りは続き、深夜あるいは明け方まで音楽が響き続けていた。

予定より3日も早く 

6月下旬だと思っていたコイヨリッティという祭りが今年は5月下旬である事を知らされたのはフリアカに着いた夜の事。
このままクスコまで歩き続ければ祭りにぎりぎり間に合うかという感じだったのだけど、日程がタイトになってしまう。



フリアカからクスコの南140キロに位置するシクアニまで歩き、そこからはバスでクスコへ向かう決断を下す。

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そんなわけでバスでクスコへ。予定より3日も早く到着。
歩けば3日の道のりもバスなら2時間半。
シクアニ・クスコ間は後日歩き、足跡をつなぐつもり。

再会 

ペルー6日目。
1日60キロペースで歩き続けているので疲労が溜まり、前日から少しペースが落ちた。

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さらにこの日はじわじわと上りが続き、400メートル程上昇。4338メートルに達した。

峠を越え、ブルーハーツを聴きながらゆるやかな坂を下っていたら、前方からやって来たバイクが停車した。
バイクで旅する旅行者は度々目にするのだけど、止まる事も挨拶を交わす事もない。
それだけに珍しいなと、もしかしたら日本人だろうかと思い、じっくりとその姿に目をやれば見覚えのある顔だった。

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彼と最初に会ったのは2カ月前、チリ・アタカマ砂漠での事。
その後南米大陸最南端ウシュアイアで知人のサイクリストが彼と会った事を知らされ、「やっぱバイクは早いな」と思っていたのだけど、まさかペルーまで戻ってくるなんて思うはずもなく…。



自分がウシュアイアから7カ月半かけて7500キロ歩いてきた道をわずか2カ月で往復してくるとか早すぎです。意味不明です。
「なんでここにいるんですか?意味分からないんですけど」と連呼しておりました。本当に意味分からん。

時速5キロの徒歩行はバスなどで旅するバックパッカーのスピードとはもちろん比べ物にならず、同じ人力でも自転車の機動力とは3倍くらいは違う。
再会なんてものはめったにないだけに、彼との再会はとても嬉しいものだった。

アルゼンチン、チリで会った豪州人サイクリスト・トムが今ボリビアにおり、おそらく同じルートを走って来るものと思われるので、トムとの再会もまた楽しみ。

Juliaca 

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ボリビアからペルーへと入り、1時間の時差が生じた。
1時間遅れとなり、朝6時半から歩いていたのが5時半からとなる。
テントを張った昨日は19時に就寝。5時半から歩き始め、19時に就寝とか我ながらメチャクチャだ。

昨日は60キロ先の町を目指したが、安宿はなく、予定外のキャンプとなった。
現地人は「安全」と言っていたけど、意外と人口密度は高く、死角はなく、テント設営場所を探すのに一苦労だった。

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ペルー3日目の朝。

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チチカカ湖の向こうにプーノが見えてきた。

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プーノに入るも朝食をとっただけで素通り。
観光地ではあるけど、1人でツアーに参加して島巡りをしても面白くないし、今は早くクスコへ辿り着きたいと思っている。



この標識が現れたのが昨昼の事。
この時点でクスコまで約450キロ。7,8日はかかるなと思っていたら、ずいぶんと遠く感じられてモチベーションが低下。
今更ながら徒歩ってなんて非効率なのだろうと思う。
バスに乗りたい……なんて久々に頭をよぎったけれど、ここでバスに乗るくらいなら飛行機に乗って日本へ帰るわという気持ちでいる。キトまで歩き抜いてやる。

決してモチベーションが高いわけではないけど、3日目にしてようやく広々とした路肩が現れ、ドライバーから激励され、「乗っていくか?」と何度か尋ねられ、少しずつ気持ちは上向いている。

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車が停車して、こちらにやって来た女性の手には差し入れがあった。

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その後しばらくすると、わざわざ戻ってきてくれて、さらにバナナやパンなどを差し入れてくれた。
グラシアス、ありがとうございます。
応援してくれる人の存在は本当に励みになる。
頑張って歩こうと改めて思った。

Juli 



コパカバーナから9キロ歩いて国境着。

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南米4カ国目のペルー入国。
ペルーは基本的に90日の滞在が認められているけど、90日で歩き抜けるか微妙なところ。
「歩いているから120日の滞在を許可してほしい」と言ってみたら、150日の滞在許可をいただいた。

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チチカカ湖を横目に見ながらペルーを歩く。

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チチカカ湖にもフラミンゴがいた。

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その辺の民家の側にもフラミンゴの姿。ありがたみが薄れる。

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交通量は多くないので問題ないが、チリ、ボリビアと比べたら路肩が狭く、やや歩きにくい。
道脇で農作業をしている人など、時折奇異の視線を向けてくるが、手を振れば同じ様に振り返してくれ、ペルー人の印象は上々。

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多分首都リマへの距離。
6月下旬~7月上旬到着予定。


いかにしてペルーを歩き抜こうか。
治安が良くないのは都市部だけなのか。
田舎でテントを張っても問題ないのかなどなど分からない事だらけ。
これからペルーでの歩き方を確立していかないといけない。

これまではテント泊メインだったが、ペルーでは宿があるなら無難に宿に泊まっていくつもり。
ペルー初日の今日は暗くなるまで61キロ歩き、Juliという町に辿り着く。
きれいな個室、WiFiがあって1泊5ドル。相場はこんなものなのだろうか。
宿に入った途端、雨が降り始め、ギリギリのタイミングだった。

明日、明後日もそれぞれ62キロ歩けば町に着けるので、頑張って歩くか。

Copacabana 



3人での徒歩旅を終え、再び1人になる。
チチカカ湖の北側を歩くつもりでいたけど、不安要素がいくつかあり、気が進まなくなったのでコパカバーナを経由してペルーを目指す事に。

この2日間、リヤカーの荷台は荷物満載だったため、自分1人分の荷物だと随分と軽く感じられ、自分のペースでスイスイと進んでいく。

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40キロ弱歩いて対岸が見えてきた。しかし橋は架かっていない。

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バスなどもこのような渡し船で対岸へ渡る。

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動力には極力頼らないというのが自分の旅なのだけど、不本意ながら渡し船で対岸へ渡る。
フエゴ島から南米大陸本土へ船で渡った時以来の動力。
絶景続きだったので、このルートを歩けたのは良かったと思う。

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崖上の道が延々と続き、テント設営場所はなかなか見つからなかったのだけど、チチカカ湖を見下ろす場所にテントを張る。
1人で歩くのも、テントを張るのも3週間振りの事。

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2日目。今日も上りが続く。

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最高地点は4251メートル。

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コパカバーナが見えてきたけど、なぜかここだけどんよりとした雲が空を覆っていた。
50日超に及んだボリビア滞在だけど、ここが最後の町。

グラシアス、ボリビア。明日ペルーに入ります。