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ALKINIST -あるきにすと- ブルガリア

French Walker 

自家用車、バイク、原付、自転車、バックパッカー、
あぁそういえば、ビシュケクにはこれから馬に乗って旅するというイングランド人もいたっけ。

旅の仕方は人それぞれ、決して多くはないけど色々な人とここまで出会ってきた。
しかし、どうしても出会う事のできなかった人。


それは徒歩旅行者。


小さな町や村を抜け、国境を越え、自分と同じ様にこのユーラシア大陸を歩いている人。
そんな人と出会う事はなかったのだけど、ここソフィアにてようやく出会う事ができた。

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フランス人マキシム。
フランスからここまで3ヶ月かけて歩いてきたのだとか。

首に巻いてる白いのとか、服の柄とか、徒歩旅行者と思えない程、洒落ている。
巻き方なんかも洗練されてますね。垂らし方とか、長さの配分とか。
フランス人かっけーと思いながら、色々と話す。


「ルーマニアはどうだった?」 「・・・(沈黙)」

セルビア人のヨビッチさんと会った?」 「誰それ?」


イスタンブールで会ったイングランド人然り、ルーマニアの評判はあまりよろしくないようで。
ちなみにぼくはルーマニアから逃げたのだが、ルーマニア人のお宅でお世話になったり、食事をごちそうになったり、彼らの温かさは知っているつもり。
でもなんていうか、この国を好きとは言えない何かがあった。

そしてヨビッチさん、あなた今どこ???



「Why are you walking?」

ナゼアナタハアルイテイルノデスカ?
彼が投げかけてきた言葉、これまで幾度となく尋ねられてきた言葉。
いつもの様に説明、ああこうして説明するのは何度目だろうと思いながら、歩く理由を説明する。

話し終えた後、少し笑いながら彼は言った。

「me too」

これまでも説明する度に「グレイト」と言ってくれる人がいたり、あるいは英語が通じず、キョトンとしてる現地人がいたり、反応は様々。少なくとも「me too」なんて返す人はいなかった。まあ歩いている人と出会えなかったので当然なのだが。

しかしこれは素直に嬉しい事で。
山道では呼吸を乱し、どんよりとした今にも雨が降り始めそうな曇り空に「降るなよ」と呟き、日没前にはどこで夜を明かすか考える毎日、あるいは寒さに震えたり、自分と同じ様にそんな経験をしているであろう彼が言った「me too」。同意した「me too」。

きつい事もあったりするけど、でも歩き続ける。
歩いているからこそ出会える人達がいて、景色があるから。



最後にもう一つ。

「Why are you walking?」

なぜ歩いているのか?
なぜバスじゃないのか、車じゃないのか?

そう尋ねてきた現地人の方々に一通り理由を説明した後、英語が通じなくてもぼくはジェスチャーを交え、こう言っています。

「歩いているからこそ、今こうやって、あなた達と会えてるんじゃないか」と。

Sofia 

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ソフィアは今日も雨。

ソフィア到着日以来雨が続いていて、傘など持ってないし、レインジャケットを着てまで街歩きをする気もなく、大半の時間を宿で過ごし、このまま街歩きもせずに次を目指すのもなんだかなという感じで、次を目指すといってもまだどこへ向かうのかも決めてない状況だし、

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さらには洗濯物も全く乾いてないし、

数泊延泊する事に決めた。
もうしばらくソフィアです。

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スリー・デイズ・イン・ハイウェイ 

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プロブディフを抜ければそこは高速道路。
ソフィアへの約120キロ、3日間、高速道路を歩き続けた。

後述する日本語ペラペラのブルガリア人曰く「本当は高速道路を歩くと罰金」との事なのだが、歩行者、自転車の立ち入りを規制する標識もなく、以前ヴァルナまでの100キロを歩いた時も問題なかったので、そういったルールは形骸化しているのかもしれない。

ていうか、道がないのでこの高速道路を歩くしかないのです。

歩行中、対向車線に速度違反を取り締まっている警察がいて、一瞬罰金の事が頭を過ぎったけど、罰金どころか、わざわざ道路を横断し、こちら側へやって来て「これを食べれば力がつく」とチョコレートをくれ、激励された。


歩き始めてすぐ、前方に停車していた車から女性が降りてきて、
「日本人?」と日本語で尋ねてきた。
ブルガリア在住の日本人の方3人と日本語を話すブルガリア人。

これまで日本人と出会う事などほとんどなく、数えるほどなのだけど、
まさかブルガリアの高速道路で声を掛けられるとは。

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差し入れをいただき、激励していただく。
高速道路という事で、道脇に商店などあるはずもなく、歩行中何度か空腹を感じ、その度にいただいたリンゴなどを食べる。
本当にありがとうございました。


路肩も広く、しっかりと舗装され、一般道と比べ、非常に歩きやすいものの、
当然ながら高速道路というものは歩行者のための道路でなく、歩行者が通行する事など想定されておらず、ソフィアまでの120キロ、その間ガソリンスタンドやドライブインがいくつかあるのみ。
食料の確保が難しく、高速を走る車からは励ましのクラクション、温かいような冷たいような視線。周囲には延々と外部からの侵入を防ぐ柵が設けられ、外へ出る事は不可能。

何が困るって、どこで夜を明かすかという事。
初日こそ、ちょうど日没時にドライブインが現れ、ガソリンスタンド裏にテントを張る事ができたのだが、二日目、暗くなるまで60キロ近くを歩くも、ガソリンスタンド、ドライブインが現れる気配なし。

危ないし、目立つし、警察に怒られそうだし、
さすがのぼくも高速道路脇にテントを張るのは避けたいと思っていたのだけど、

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張っちゃいました。

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2日目からいくつかの山を越える。
最高地点で800メートル程、勾配はきつくない。

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さらには中国以来1年振りのトンネル。
狭く、真っ暗、歩くのに恐怖を感じた中国のトンネルと違い、明るく、路肩も広い。
それでもトンネル内の歩行は怖いもので、リヤカー後部にライトを装着して自衛。

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そして、高速道路歩行3日目、首都ソフィア到着。



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<写真>
先日掲載された新聞を持って現れたギリシャ人。

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<写真>
歩行後の一杯。

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<写真>
ソフィア中心部に到着。

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<写真>
有名な教会。

Plovdiv 

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46キロ、50キロ、50キロ、49キロ、58キロ、45キロ、56キロ、50キロ。

雨ニモマケズ、太陽ニモマケズ、空腹ニモマケズ、
イスタンブールから一歩一歩、朝から晩まで歩き続け、距離を刻むこと8日。
400キロちょっと歩いてブルガリア第2の街プロブディフに到着したのは先日の事。

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宿に到着し、イタリア人ライダーと出会ったのだけれど、
同じくイスタンブールからやって来たという彼らに尋ねてみた。

「イスタンブールからここまで何日かかった?2日くらい?」

彼の口から出た答えは、

「7hours(7時間)」

朝までイスタンブールにいた彼ら、
翌日には一気にベオグラードまで向かうのだとか。

バイクと徒歩、まるでウサギと亀ではないか。
(前にもカザフ辺りで同じ事を書いた気がする)

徒歩に執着し、1年超歩き続けている自分を改めてアホらしく思い、同時にほんの少しではあるけれど誇らしく思えた。

ぼくは亀であり続けようと思う。



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越境 

「ポルトガルを目指しているのになぜトルコへ来たんだ?」


何度かこんな事を問いかけられ、こう答えた。


「トルコが好きだから。トルコへ歩いてきたかったから」


自己満足でしかないけれど、歩いてこの国を訪れる事ができて良かったなと改めて思う。
オデッサなんかでトルコ行きを迷っていた時、何度かこの国の事を思い描いたのだけど、トルコの地を歩いている姿、温かいトルコ人の姿を思い描いたのだけど、その思い描いたままのトルコだった。

最後の最後までトルコ人の温かさに触れながら、ブルガリアへの道を歩き続けた。

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往路でもお世話になった小さな自動車修理屋。
ちょっと気になる事があり、リヤカーのメンテナンスと部品調達のため、復路も立ち寄る事になったのだけど、決してお金を受け取ろうとしなかった。頑なに拒否された。
その気持ちは本当にありがたいのだけど、2度も無償でお世話になるのもなんだかなと思い、彼が吸っているタバコの銘柄をチェックし、商店で3箱購入。
それを手渡すと、渋々受け取ってくれた。

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日没前に現れた小さな村。
モスクで水の補給をしていると、「ここにテントを張りなさい」と声をかけられた。
この村の村長さんまでやって来て、深夜まで一緒にチャイを飲んだり、トルコのお菓子をいただいたり、厚いもてなしを受ける。
翌朝は大音量のアザーンが目覚まし時計の役割を果たしてくれ、寝過ごす事なく出発。
本当にありがとうございます。


大音量のアザーンで目を覚ましたこの日のうちにブルガリアへと歩き抜けた。
歩行距離58キロ。
国境近くのエディルネでトルコ最後の夜を過ごしても良かったのだけど、居心地の良さにまたズルズルと長居してしまいそうで、気が変わらないうちにと足早に歩き去った。


トルコを出国し、気持ちが沈みかけていたのだけど、リヤカーを引いてやって来た姿を見て、ブルガリアのイミグレ職員は「お前はノマド(遊牧民)か?」と言い、共に笑い、別の職員とも30分程立ち話。
ああそうだった、この国の人も温かかったと思い出す。
なんだかんだで気持ちを改め、ブルガリアを楽しもうという気になれた。


ありがとうトルコ、これからしばらくよろしくブルガリア。



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<写真>
気温28度@ババエスキ。
トルコでは連日、強烈な陽射しに照らされ、腕がヒリヒリ。
アスファルト上はもっと暑いかと思われる。

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<写真>
ブルガリア初日。

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<写真>
ブルガリア2日目。
天気が悪いのでカフェ軒下の長イスで寝させてもらう。

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<写真>
ブルガリア3日目。

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<写真>
国境で立ち話した職員。
翌朝、差し入れを持って来てくれた。

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<写真>
ブルガリアの羊飼い。

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<写真>
ブルガリア警察からブルガリアヨーグルトをいただく。

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セルビア人のヨビッチさん 

4月7日のアクセス数がやけに多いんで、なんやねんと思い、リンク元を調べてみたら、これでした。

当記事への関連として、
◇徒歩で世界旅行をしている日本人のブログと紹介されてました。

以下リンク元の記事。



■セルビアのサッカーファン、南アW杯に徒歩で出発
4月7日12時31分配信 ロイター

[ベオグラード 6日 ロイター] セルビアのサッカーファンが6日、6月に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で母国を応援するため、徒歩で南アフリカに向けて旅立った。グループDのセルビアは6月13日にガーナと対戦する。
 セルビア中部チャチャク出身のササ・ヨビッチさん(39)は、同国の国旗を身にまとい、バックパック1個と世界地図を手に全行程1万6000キロに及ぶ旅を開始した。
 地元メディアの取材にヨビッチさんは「可能な場合はヒッチハイクと公共の交通機関を使いながら、自分の足で南アフリカに行く計画だ」と述べた。1年かけて練り上げたという旅行計画によると、ブルガリア、トルコ、エジプト、スーダン、エチオピア、ボツワナを経由して南アフリカに到着するという。
 セルビア代表にとって、W杯南アフリカ大会は、モンテネグロと分離して以来初の本大会進出となる。



「可能な場合はヒッチハイクと公共の交通機関を使いながら」とある様に、さすがに今から徒歩で南アフリカは厳しいかと。いや絶対に無理。トルコ横断だけで2ヶ月はかかるので。

「1年かけて練り上げたという旅行計画」ともありますが、その割には時間的余裕がなさ過ぎではなかろうか。
大半を動力に頼る事になるわけで、これってバスなんか使ってもけっこうキツキツの日程だと思います。
WC開幕まであと2ヶ月、それに間に合うようにバスなど使いながら南アフリカを目指すのだろうけど、どれだけの距離を徒歩で移動できるのかと。
「徒歩で南アフリカに向けて旅立った」という表現に違和感を感じてしまいます。

セルビアはお隣の国ですので、もし歩いているならすれ違う事は十分に考えられるのだけど、すでにこの辺はバスで通過してそうですね。

会えたら嬉しいのだけど。会いたいなー。
ヨビッチさんが無事南アフリカへ到着する事を祈ります。


※ブルガリアに再入国しました

トルコへ 

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山を越えて

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越えて

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そこはとてものどかで

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テントを張って

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町を通過して

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また山を越えて

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一歩も動けなくなって

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テントで休んで

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トルコへ