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ALKINIST -あるきにすと- コソボ

コソボでスパイ容疑をかけられた 

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「What are you doing? Where do you go?」

何をしてるんだ、どこへ行くんだと、強い雨の中、リヤカーを引き、国境へやって来た怪しげな東洋人にかけられた言葉、口調はどこか冷たく感じられた。

「コソボを歩きに来た」

そう答えると、「そうか、そうか」と穏やかな感じになり、多くのポリスに囲まれ、写真を撮られ、せっかくなので一緒に記念撮影。

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この国への第一印象は悪くない。


数年前まで紛争をしていた国という事で、荒廃した土地、長年の紛争に疲れた人々、この国に対するイメージはそんなものだったのだが、国境からの道は山々に囲まれた緑豊かな美しい所であった。

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小雨の中、山道を歩いていると、老人に声をかけられ、パンをいただいた。

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「アルバニア語は話せるか?」「話せない」
「セルビア語は?」「話せない」
「中国人か?」「日本人だ」
「NATOか?」「ツーリストだ」


この程度の会話だけど、楽しい。
どうやったらNATOにに見えるのでしょうか。

「プリシュティナへ向かうのだ」と言うと、「タクシーで行け」とタクシーを電話で呼ぼうとしたおじいちゃんに「歩いていくのだ」と止め、再び山道を歩き始めた。

このおじいちゃんに限らず、コソボにはフレンドリーな人が多い。
「Where are you from?」と何度も尋ねられ、その度に足を止めた。


おじいちゃんにはNATOだと思われのだが、翌日はちょっとした事があってスパイ容疑で警察に拘束。
リヤカーごとパトカーに乗せられ、Ferizajという町の警察署へ連行された。
地位が高いらしい片山さつき似のおばちゃん婦警の指示で、ポケットのものを全て出し、入念なボディチェック。
靴の中まで調べられ、指紋が付かぬよう手袋をはめ、荷物も全て隅々までチェックされる。

ビデオテープが出てきた時、「やはりこいつは怪しいぜ」みたいな事を言い、ガソリンが出てきた時は、「やはりこいつは工作員に違いない」みたいな事を言っていたのだけど、残念ながらスパイでも工作員でもないのだ。怪しいものは何もない。

屋外でリヤカー荷台に積まれた荷物をチェックされた際、他の警官がタバコを咥えたのを見て、「吸っていいか?」と尋ねると、「お前はダメだ」と言われる。外へ出るときも逃げないように腕を掴まれたり、完璧に容疑者となっていた。

若い警官は、「ジャパンはグッドだが、チャイナはバッドだ」と言った。
日本がコソボの独立を認め、中国は認めていないという事も関係しているのかもしれない。
EUの大半、日本、アメリカ、カナダなど主要国はコソボの独立を認めているのだが、セルビアはもちろん、民族問題を抱えるスペイン、ロシア、中国、その他多くの国々は独立を認めていない。
彼はグッドだと言ったけど、理不尽な拘束を受けている間、こんなアホな国の独立など認める必要はないと思っておりました。

ここの警察署にはルーマニア、ハンガリー、カナダから派遣されている警察もいて、ルーマニア警官が非常に気遣ってくれ、「ムツメスク」とルーマニア語でお礼を言うと、とても喜んでくれ、握手を求められた。ルーマニアへの好感度大幅アップ。


なんだかんだで6時間あまり拘束された。
容疑は晴れ、荷物をチェックした警官とガッチリと握手し、ようやく解放された。
拘束中は最悪国外退去となるのではと思ったし、こんな国もう歩きたくないわとも思ったけど、「コソボを歩くのはノープロブレムだ」との事なので、引き続きコソボを歩く事にする。

拘束された場所まで10キロ程歩いて戻り、歩行を再開する。
このスパイ容疑のおかげでこの日は20キロしか進めず。
スコピエからプリシュティナまで2日を予定していたのに3日もかかってしまった。

まだかまだかと長い坂を上り終えた後、目の前に現れた街がコソボの首都プリシュティナだった。

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(写真)
歩行中はのどかな風景が続き、紛争の跡は見られないが、唯一目にしたのが戦車の速度規制標識。

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(写真)
アルバニア系が大部分を占めるため、アルバニアとの関係が非常に強く、いたるところでアルバニア国旗を目にした。

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(写真)
プリシュティナにて。
大体察しはついたのだけど、近くにいた警官に確認してみると、紛争で亡くなった方の写真らしい。スパイ容疑で拘束されましたけど、プリシュティナの警官はとても親切で紳士的です。

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(写真)
宿の部屋からの風景。

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