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ALKINIST -あるきにすと- インドネシア

くすんだ空が似合う街 

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ティモールの山やバリの海には青い空が合っていたけど、ポンティアナには青く澄んだ空よりも重く、くすんだ空がよく似合う。


これまで訪れた3島は歩行環境や宗教、文化など、それぞれ異なり、特色があった。

いくつもの山を越えたティモールはキリスト教徒が多かったし、青い海が印象的だったスーパーリゾート地バリは大半がヒンドゥ教徒で独特の祭壇や日々のお供え物などヒンドゥ文化を至る所で感じる事ができた。
ジャワ島以降は数え切れないくらいのモスクがあって、そこから響くアザーンを聞く毎日。

カリマンタン島もジャワ島同様に街中にモスクが点在、イスラム圏にいる事を感じさせてくれるが、華人が多く、中国語の看板を頻繁に目にし、中国寺院もあり、これまでの3島とは異なる。
マレーシアに多い華人の増加、ナシカリーなんていう白米にカレーがかかった料理も現れ、ここがマレーシア領と隣り合わせのカリマンタンである事を実感する。



ポンティアナからマレーシアとの国境までは約250キロ。
国境に銀行や両替所がなければ困るので、前もってマレーシアリンギットに両替し、昨日橋を渡った際に目にした川沿いの集落が面白そうだったので足を運んでみた。

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川辺には高床式の住居が並び、人々は水上生活を送っている。

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自家用車はないけど自家用船を持つ。

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新たな1日が始まった朝、ミシミシと木造の歩道を軋ませながら川辺を歩けば、洗濯をし、食器を洗い、体を洗い、そんな朝の光景を至る所で見る事ができる。
茶色く濁った川だけど、彼らは歯を磨き、この川の水でうがいをする。

この茶色い川で沐浴する彼らを見て、まるでガンジス川みたいだなと思った。
ヒンドゥ教徒にとってのガンジス川の様に神聖なものではないのだろうけど、住人にとって生活する上では不可欠な川。

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彼らの生活はとても興味深く、面白いのだけど、ゴミを川にポイ捨てする人達を見ては、生きていく上で必要な川なのになぜ自らの手で汚してしまうのかと、彼らの行動、価値観は自分にとって全く理解できない事であった。

インドネシアでは価値観の違いを痛感する事が少なくない。
育ってきた環境が違うからと言い聞かすも納得する事はできない。

糞をした後、手で尻を拭くという行為は日本で生まれ育った者にとっては非日常な事だけど、問題なくできるし、紙を使わない分エコと思えるけど、ポイ捨てを正当化する理由は見つからない。


彼らの事を理解しようと、近付こうと、これまで何度も考えてみた。
既存のモラルやルール、秩序、そんなものを全て取り去り、喫煙禁止の場所でタバコを吸い、どこにでもゴミを捨て、唾を吐き、列を乱し、それが当たり前なんだと自らを洗脳してみる。


無理だ、できない。

Pontianak 

現在おりますカリマンタン島。
インドネシアではカリマンタンと呼ばれるが、マレーシアではボルネオと呼ばれ、インドネシア、マレーシア、ブルネイの領土があり、世界で3番目に大きな島。

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東ティモールから島巡りを始め、ここまで約1ヵ月半。
歩いた島はティモール、バリ、ジャワの3島。

ビザ延長や2度の船待ちで思うように歩行は進まず、870キロしか歩いていないが、この先しばらくは3カ国をがっつりと1500キロ近くを歩く予定。
マレーシア・コタキナバルまでボルネオ(カリマンタン)縦断をする。



当初はこの島を訪れる予定は全くなかったものの、どうせなら今後訪れる事はないだろうと思われる場所を歩きたいと思い、カリマンタン行きを決意。

一応地図は用意したけど、見所とか何があるのかとか全く知らない。
いやむしろ、そんなものを求めてやって来たわけではないのでどうでもいいのだけど、船内で暇つぶしに地図を広げた時、ポンティアナの所に"Equator Monument"という赤文字を見つけた。

「モニュメントとか興味ないわ」と一蹴するも、いや待てよと。

そういえば南米のエクアドルってスペイン語で赤道っていう意味だったなんて事を思い出したわけです。
もしかしたら英語でエクアトルは赤道を意味するのではないかと思いながら改めて地図を確認。

緯線を見てみれば緯度0度の線、赤道を発見。
ポンティアナが赤道上に位置する事が判明。

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赤道モニュメントの場所を調べ、早速出かけてみた。

ポンティアナの中心の対岸にあり、両岸を結ぶ船もあるが、日曜日の早朝、昨日でラマダンが終わった事も関係があるのか分からないけど、路上で集団礼拝していて、空荷とはいえとてもリヤカーを引いて歩ける状況でなかったので、徒歩で橋を渡り、赤道を目指した。

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赤道直下なだけあって暑さは厳しく感じられ、体中から汗が流れ、何度も額から流れる汗を拭い、シャツは濡れた。考えていたより遠くて3時間以上かかったけど、赤道到着。

南半球と北半球との境界を線で引いてあるものかと思ったが、モニュメントがあるのみ。
モニュメントを1周してみたけど、どこが境界で、北半球に入ったのかすら分からない。
記念撮影用にリヤカーまで持って来たのに、こんなのなら持って来る必要もなかったな。
思っていたよりしょぼく、がっかり。南半球へ戻る。

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復路は両岸を行き来する船に乗った。
庶民の足なだけあって片道10円ほど。
船着場に着くとすでにたくさんのバイクが列を作っていて、その中に紛れ込んだ。
無数のバイクに囲まれる場違いなリヤカーが1台。

モニュメントなんかより人々の生活に触れている方がずっと楽しい。

最後の島へ 

もう2度と乗るものかと誓った3等船。

過酷で悲惨だったクパンからバリ島への移動。
これなら追加料金を払って2等にグレードアップした方が絶対に良いし、やや値は張るものの飛行機を使えば快適で早く、それなりのメリットはある。

3等という選択をした事を悔やみ、次に乗る時は2等にしようと思ったものだけど、次なる島への移動手段で選んだのは飛行機でなく船。
2等でも1等でもなく懲りずにまた3等。

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リヤカーを引いてスラバヤの港に到着。
テロ防止のため、荷物のX線検査を受ける。

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このX線装置、なんと日本からの援助。
ちなみにバリ島の空港、ギリマヌクの港も日本からの援助があったらしい。


今回の船はスラバヤ始発、目指すポンティアナまで丸2日を要するとはいえ、途中どこかに寄港する事はなく、乗下船時の混雑などもないし、前回と比べればましだろうと考えていた。

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思った通り、前回と比べ乗客は遥かに少なく、船室に居場所を確保する事もできたけど、荷物を運ぶのが面倒なので、前回同様入り口近くのフロアにシートを敷いた。
過密状態で色々な匂いが混じり漂う船室よりは快適だと思う。

船は前回のものと同じ構造で船室やトイレ、売店などすべて同じ場所、壁を這うゴキブリも健在。
前回と違ったのはスピーカーから礼拝を呼びかけるアザーンが響き、船内にモスクがある事くらいか。ラマダン月という事で、船内での飲食がやや不安だったけど、皆堂々と食べていたので助かった。

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ティモール、バリ、ジャワに続き、カリマンタン島に上陸。

ジャワ島の歩行終了 

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やっぱり汚いインドネシアの空気。

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インドネシアの庶民の足はバイク。とにかくバイクが多い。
地方の町でもホンダやスズキ、ヤマハの販売店を見かける。
3人乗り、4人乗りは当たり前。
10歳くらいのガキが運転しているのを目にする事もしばしば。

お父さんに抱えられた乳児を見れば、生まれた時からこの環境、物心つく前からバイクに乗せられたこの子も将来はバイクに乗るんだろうなと想像してしまう。

バイクの転倒も4度見た。そういうのにいつ巻き込まれてもおかしくないです。

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スラバヤが近付いてからは片側2車線になり、歩きやすくなったけど、インドネシア第2の都市なだけあってこれまでと比べ交通量はとても増えた。

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スラバヤ郊外に到着。
この辺りは5車線くらいあり、バイクや車が絶え間なくやって来て、道路を横断するのも命がけ。

当初はジャワ島西に位置する首都ジャカルタまで歩くつもりでいたけど、ジャワ島の歩行はここスラバヤにて終了。
理由を挙げるとしたら、交通量は多いし道が狭くて歩きにくい事、大都市であるジャカルタの雑踏の中を歩きたくない事、ジャカルタやジャワ島は別の機会にいつでも来れるような気がするので今回はもういいやという事です。

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それよりも今歩かなきゃこの先歩く事はないだろうという場所を歩いてみたい。

クラクションと排気ガスと追い越しレース 

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道脇で乾燥させている葉タバコ。

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畑を耕す現地人。

時速5キロから見るインドネシアの風景はこの国が農業国である事を教えてくれる。

とてものどかで牧歌的で、と思ったのも束の間、ブーブーとやかましいクラクションを鳴らしながら、片側1車線の狭い道路でトラックやバス、バイクの追い越しレースが連日繰り広げられている。

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「クラクションは鳴らすためにある」

そう思っているに違いない。
彼らが鳴らさなきゃ損と考えていたとしても驚かない。
いざという時に使うものなんて思ってないだろう。
とにかくうるさく、排気口からはいかにも体に悪そうな黒い煙が上がり、緑豊かな田舎といえども空気は悪い。


やかましいクラクションと排気ガスと追い越しレースなんて思い出すのは中国。
確かにインドネシア人もゴミはその辺に捨て、唾を吐き、どこででもタバコを吸い、中国人とよく似ているかも。
中国もインドネシアも好きな国ではあるけど。



滞在を予定していた町に安宿はなく、テント設営場所を探しながら日没後まで歩き続けた。
ガソリンスタンド、トラックのターミナルにテントを張らせてくれと頼むも断られる。

バリ島でも断られた事があったし、そんなにうまくいくものでもないのだろうけど、超歓迎ムードだったティモール島の人々のホスピタリティを思い出し、改めて感謝の気持ちを感じた。
ティモール島から歩き始めたインドネシア。あまりに皆が親切なので、「インドネシアやばいな」と思ったものだが、やばいのはインドネシアではなくてティモール島だったようです。

ここまで3つの島を歩いているけど、好きなのはダントツでティモール島。



一向にホテルなどは現れず、スラバヤが近付き、周囲は工場などが並び、テントを張れそうな所もない。
一気にスラバヤを目指す事も考えたけれど、この国の交通事情を考えると夜間歩行は絶対に避けたい。

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陽が沈み、少しずつ闇に包まれ、リミットが近付く中、珍しくわずかな焦りと不安を感じたものだけど、正義の味方、警察署を発見。
敷地内にテントを張らせていただいた。いつもありがとうございます。テリマカシ。

砂糖はグラ 

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クパンやクタでもそうだったけど、インドネシアは安宿でさえ朝食付き。
コーヒーにパン、クラッカーが付く程度だけど、今の宿はミーゴレン。
部屋のレベルごとに朝食も異なるらしく、最も安い部屋なので最もしょぼい朝食。
食べた瞬間インスタントだと分かるものだけど、タダだし文句はない。
ていうか全然いけます。昨朝同様になぜか2人分運ばれてきた。

そして昨朝同様にコーヒーには砂糖が入っていた。
甘いコーヒーって飲めないから、「砂糖入れないでね」ってジェスチャーで伝えてはいたんだけど2日連続の失敗。
宿のお姉ちゃんは「分かった」って言ってたんで安心してたんだけど、砂糖入れるなをジェスチャーで伝えるのは難しい。

インドネシア語で砂糖は「グラ」だと本日学ぶ。

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ラマダン中ではあるけど、営業しているレストランも少なくなく、カーテンなどでムスリムの視界に入らぬよう配慮しての営業。
イスラム色が濃くなったジャワ島を歩き始めてから、日中の食事は全く問題なし。

しかし断食中って喫煙もダメだったと思うけど、外で堂々と飲食する人は見ないが、堂々とタバコを吸う人はよく目にする。

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日没が近付くと煙を上げながら串を焼いたり、屋台が営業を始める。
そして日没後、断食を終えたムスリムが屋台に座り、家族、あるいは友人と談笑しながら食事を取っている姿を見ていると、こちらまで嬉しく満たされた気分になる。

そうだよなー、食えて飲めるってやっぱ嬉しいよなーって思う。
日中は飲んで食いまくってるので自分には特に関係ないけど、ムスリムが食事をとる光景を見るのが、その場に漂う幸せな空気に触れるのが好きで、日没が毎日待ち遠しい。

Probolinggo 

「ホテルはどこですか?ムラーホテルはどこですか?」


現地人に尋ねながら歩く。
ムラーという名のホテルを目指していたわけではなくて、インドネシア語で安いはムラー。
安宿を探し歩いていた。

英語は世界の共通語、どこでも通じて当たり前的な考えは好きじゃなくて、こちらが最低限の現地語を学ぶべきではないかと常々思っているので、いくつかの単語を覚え、文法など一切無視で使い、現地人とコミュニケーション。それなりに楽しんでいる毎日。


料金を尋ねる時は「ベラパハルガニャ」。

しかし現地語で返されても、まだ数字までは覚えていなくて、何を言っているのかさっぱり理解できず、結局は指を何本か立ててもらったり、紙に書いてもらい、電卓で数字を打ち込んでもらったり、色々と手間がかかるけれど、現地人とコミュニケーションを図るならばやはり現地語を少しでも覚えるべきではないかと思う。


そういえば、歩行中、マーケットで飲料を持ってレジへ持っていくと、レジの人がインドネシア語で何か尋ねてくる事がよくある。

こちらがインドネシア語を話したからというわけではない。
言葉分からずとも状況から察する事は容易で、「レジ袋に入れるか?」あるいは「500ルピア硬貨はあるか?」といったところだけど、外国人である自分にそれらをインドネシア語で尋ねてくるのは、日焼けした坊主頭という自分の風貌がインドネシア人化しているからだろう。

そんな事が起こる度に、ああやはりインドネシア人っぽいのだなとニヤニヤしてしまう。

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教えられたホテルへ到着したのだが、外観がまず立派で、中へ入ってみれば安宿らしからぬレセプションがあって、レセプションには3人も座っていて、他にも10人くらい従業員がいたり、全然ムラーな雰囲気ではない。

これは料金を尋ねた後すぐにホテルを出る事になるなと思いながら、「ベラパハルガニャ?ムラールアンガン」と最も安い部屋の料金を尋ねてみれば、思っていたよりムラーだったので、2泊分の料金を払ってチェックイン。

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バリ島クタから300キロ少し、現在地はプロボリンゴ。
今日は休足日にし、食べて飲んでまた食べて、ゆっくりと過ごしている。

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このバナナを揚げたやつ、"MOLEN"というのだけど、外はカリッと中は柔らかく、バナナの甘み。インドネシアに来て以来はまっている。

最近はバナナは揚げるものだと思っております。