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ALKINIST -あるきにすと- ベトナム

Quang Tri 



ベトナムビザ期限まで4日、国境まで150キロ、所要日数3日。
いつも通り歩けば問題なく期限内に出国可能ではあるけど、期限が迫り、余裕も1日しかないので、少しだけプレッシャーを感じる。


多分、通常ベトナムビザは1ヶ月(最長31日)あるいは30日。しかし大使館側の手違いというか単に大雑把なだけなんだけど、自分の場合は32日滞在できる。
そうなる事を期待し、出入国日を指定して申請したんだけど、わずか1日とはいえこの1日が今はとても大きい。

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フエからQuang Triまで58キロ歩いた。
明日は10キロ歩いたら1号線を外れ、ラオス方面へ向け西進する。

ダナンを過ぎた辺りからラオスナンバーのバスを見るようになったが、今日も数台の車を見た。少しずつラオスに近付いている。

独り言 



あきらめる事、楽な手段をとる事はいつでもできる最も簡単な選択肢だと思っている。
最後までやりきった結果、そういう選択をせざるを得なかったという事であれば、不本意ながらも納得できると思うし、得られるものもあるはず。

しかし安易にそういう選択をしたところで何を得られるのでしょうか。



標高3000メートルの峠越え、吹雪の山中、無人地帯、マイナス20度の極寒に40度以上の酷暑。
そんな過酷な環境下でリヤカーを谷から突き落とせば楽になるなんて事を考えたり、足を止めたいと思った事も何度か。

そんな時にいつも思うのは「あきらめる事はいつでもできる」という事。
とりあえずもう少し歩いてみようと不恰好ながらもここまで3万キロ以上を歩いてきました。


中国まで1000キロもなくて、1ヶ月もかからなくて、順調なら4月中にも上海に到着できるのだけど、さっさと終わらせたいなと、もう楽に終わってやろうと思う部分もあるけど、あえて厳しい道を歩く事に決めた。

このまま最短距離で上海を目指せばもやもやがずっと残りそうだし、後悔しないように。


ラオスの山を歩いてこようと思うんだな。

Hue 



高地というわけではなく標高は0に近い。
にも関わらず朝夕の肌寒さが日に日に厳しくなっているのは南部から1000キロ超も北上してきたからだろうか。
今の時期、南部は乾季だが、山脈が海岸線まで迫っている中部では雨の日も多い。

朝の寒さに耐えられず、バックパックの奥底に入れてあったジャケットを取り出し、先日から着用している。


郵便局、銀行、洗濯、買い物とフエでやるべき事は全て済ませた。

せっかくなのでと世界遺産に指定されている王宮へ足を運んでみたけど大した事なかった。これまで訪れた世界遺産の中で最も大した事ない世界遺産だった。

何が良いのか全く分からず、ユネスコの判定が甘いという結論に達した。

1月の総歩行距離は1341キロ 

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用事があったのでリゾート地ダナンに約30分立ち寄る。
ここもまたバイクが多く、この橋は車の通行不可、バイク専用の橋であった。

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現地人にフエへの道を尋ねながら歩くと海沿いの道に出た。
どんよりとした雲に覆われ、パラパラと雨も降り、気温も低く、海で泳いでいる人などいるはずはなく、それどころか外国人旅行者の姿もなく、道沿いには古びたホテルが並び殺風景。これならニャチャンの方がリゾート地と呼ぶには相応しい。

ビーチにはやたらとこの大きなザルのようなのが置かれていた。

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沖に停泊している船までこのザルに乗っていく。
一寸法師みたいだ。

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ザルの中。

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ダナンからしばらく歩いた所から峠越えが始まった。
0メートルから500メートルまで上がり、また0まで下る。
山の中を20キロ歩き続け、約5時間を峠越えに要した。

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当然ながら平坦な道を歩く方が楽でアップダウンはあまり好きじゃないけど、ここの峠は楽しめた。
ティモール島以来、山らしいものはなかったし、山に飢えていたのだろう。
晴れていたら最高の景色だったんだろうけど、残念ながら霧のため視界は悪かった。
霧と山という組み合わせも悪くはないけど。


最長歩行距離を更新した前日は72キロ、20キロの峠越えをしたこの日は53キロ、そしてさらに61キロを歩きフエに到着した。
さすがにこの3日の歩行で体は消耗している。

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初めて距離標が現れた時は遥か遠くに思えたフエ。
サイゴンから8日歩きニャチャン。2日休み、さらに11日歩いて辿り着く事ができた。
いつも振り返ってみては思う。一歩一歩の繰り返し、本当にそれだけの事なんだなと。

ビザの期限内にここまで歩くのは日程的に厳しかったけど、とりあえずは一安心。
19日、1100キロの歩行は我ながら完璧。


今日気が付いたんだけど、ここからサイゴンへ戻るより、中国へ行く方が近いという事実は非常に感慨深いものがある。

最長歩行距離を更新した日曜日 

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前方10メートルでバイク2台が転倒した。
幸い巻き込まれる事はなかったけど、この国の交通はやはり危険だ。

1日の大半を路上で過ごしている自分にとってドライバーの交通マナーとかモラル、どれだけ快適に歩けるかはとても重要なのだが、バイクや自転車を蹴散らすかのようにやかましいクラクションを鳴らしながら走るバスやトラック、猛スピードで真横を通過する事もあったり、残念ながらベトナムはひどすぎる。クソッタレだ。毎日キレてます。

道路から離れてもぼったくってくる人が多く、残念ながら居心地の良い国ではない。



日曜日なので結婚式、披露宴が多いようで、ビシッとスーツを着たベトナム人をよく目にした。しかし正装し、いつも以上に立派な姿になったとしても中身はベトナム人に違いないのでスーツ姿で立小便をする連中を何度も目にした。

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ちなみにこれがベトナム人の立小便の基本形。
道路から離れる事なくその場でする人が多いので道路上は小便臭いし、路面が濡れていたら怪しいので避けるようにしている。
犬や家畜じゃないんだからしたくなったらその場でするというのはやめてほしいです。


そんな事を思いながら歩いていた昼下がり、前方に車が停車して、スーツ姿の連中が降りてきて小便を始めた。
そんな事はもう慣れているのだけど、きれいなアオザイで着飾ったおばちゃんが周囲をキョロキョロと見回し、「まさか」と思ったらそのまさかで、周囲は延々と水田が広がり、隠れる所などないのだが、道脇にしゃがみこんで小便を始めた。

その後も道路から2メートルしか離れていない歩道で尻を出してるおばちゃんがいたり、すごい国だなと改めて思えてきた。中国と張り合える国である事は間違いない。


多分ベトナム語に「恥」を意味する単語はない。

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彼らのおかげでいつも以上に濃厚で楽しい日曜日。
歩行ペースも順調、日没後も歩き続け、ダナン近郊まで達した。

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カザフスタン、カナダでの記録を2キロ程上回る72キロを歩いた。

余力はあったのでまだまだ距離は伸ばせそうだけど、重要なのは100キロを1日で歩く事ではなく、50キロを毎日歩く事なのである。

銭闘する日々 

ぼったくりや胡散臭い客引き、日本語使いの現地人。

観光客の多い都市部や観光都市ではこんな連中にうんざりする事も少なくないけれど、そんな場所から離れ訪れた田舎で素朴で純粋な現地人と出会い、彼らの優しさに胸を打たれ、その国を改めて見つめ直すなんて事はよくある事。


ベトナムでもそういう事を期待したけど、

外国人が訪れないような田舎であってもふっかけてくる。
食事、ジュース、パン何もかもをふっかけてくる。
店番をしていた中学生くらいの子もごく自然にふっかけてくる。
老若男女、あらゆるベトナム人がふっかけてくる。
50%増しは当たり前、ひどい時は2倍ふっかけてくる。


あまりにふっかけられまくってるんで一体何が適正な料金なのか分からなくなってきた。


「外国人が来たらふっかけろ」

中学生くらいの子は親からそんな事を教えられているのか?
それとも学校が教えてくれるの?国の方針?

これまで色々な国々を訪れてきたけど、ここまで徹底してふっかけてくるのはベトナムだけ。何か買う度に連日何度も。


周囲の環境や立地条件による値段設定もあると思うし、必ずしも底値で食いたい買いたいと思っている訳ではないので、その状況にもよるけど許容範囲内であれば値切ってはいない。
無言で金を渡せば現地人価格でコーラを買えるし、現地人がいくら支払っているかを見て支払ってみたり、こちらも色々と考えている。


サンドウィッチを買い料金を支払い、歩き始めようとしていたら、「ちょっと待ちなさい」とおばちゃんに声をかけられ、お釣りを渡された。
他の国では当たり前の事なんだけど、こんな正直者はこの国では希少なので感動した。


この国を一言で表すなら「狡猾」。
ああそうだ、米国に屈しなかった国だったと思い出した。



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久々のサイクリスト 

インドネシアやシンガポール以降ベトナムへ至るまで、サイクリストとすれ違ったり追い抜かれる事は何度もあったけど、どうやらリヤカーを引いて歩いている姿は現地人化しているようで、皆止まる事なく、気付く事なく、走り去っていった。

カンボジアで1度手を振って挨拶を交わしたくらいで、こちらとしてもわざわざ自転車を止める必要はないし、相手が自分に気付かない限りはこちらから挨拶する必要もないなと思っていたのだが、ベトナムにて久々にサイクリストと出会う事ができた。

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フランス人・ジャン。
ぼくは彼に気付かなかったけど、自分に気付いた彼は話しかけてきてくれた。
ベトナム、ラオス、カンボジアを2ヶ月走り、「カンボジアがナンバー1、差がなくラオス、ベトナムはクソッタレ」と吐き捨て、「ベトナムでは警察に気をつけろ」と忠告してくれた。

豪州1周もしていて、こちらから話を振ったわけではないけど、「豪州のドライバーもひどいものだった」と彼。どうやら彼とは話が合うようだ。

しかしペラペラペラペラと彼の口からは続々と新たな話題が飛び出し、なかなか出発するきっかけをつかめず40分も道脇で彼と話をしていた。

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するとまた新たにオランダ人サイクリストがやって来た。

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こちらもフランス人。トゥールーズ出身、名前は忘れた。
ニャチャン到着後、自転車に追い抜かれたのだが、あまり見ない形の自転車で、写真を撮りたいなと思っていたら、前方でルート確認のため停止。
東南アジアではこちらから声をかける事はないけど、リヤカーを引いて彼らの元へ走り、写真を撮らせてもらい、少し話した。

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わずかな時間だったので詳細なルートは聞いていないけど、フランスから走り始め、現在はベトナム北上中らしい。「またハイウェイで会いましょう」と言い、お別れ。

行き先は同じなのでまた会えるでしょう。