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ALKINIST -あるきにすと- 2009年02月

変化 

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平涼手前の町で感じた違和感。

回族率高し。

白い帽子をかぶった回族をやたらと見かけ、大きなモスクもある。
イスラム圏へ入ったのだと実感。

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歩いているとこのような些細な変化をも敏感に感じる事ができる。
陜西省からイスラム圏、回族が多く暮らしているのだが、河南省から陜西省へ近づくにつれ、少しずつではあるが、回族経営の清真、蘭州料理屋が増えていき、回族も徐々に増えていくのを感じた。

小さな変化を感じる事ができるのも歩く事の魅力の一つなのかも知れない。

イエス、ファイン 

「イエス、ファイン」

明日は晴れますよ、と彼女は言った。


積もりこそはしないものの、朝から延々と降り続ける雪。
街から見える山々は真っ白に雪化粧。
明日はどうなってしまうのかと不安を感じていたものの、「ファイン」という言葉に一安心。
翌日に備え、早めにベッドへと向かった。


翌朝。
窓の外を眺めながら、「イエス、ファイン」と呟いてみる。

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なんともまあ、見事な天候で。

寒い寒い1日 

疲労困憊、ずぶ濡れの冷たい体で辿り着いた宿。
部屋に案内され、扉を開けると中国人アイドルらしきポスターがお出迎え。

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薄暗い豆電球が部屋を灯し、荷物を全て部屋に入れれば、靴の置き場さえ探すのに苦労する独房。
ずぶ濡れのウェアを脱ぎ、乾かす。
コーヒーを飲み体を温め、アイドルらしからぬ中途半端な笑みでこちらを見つめるポスターを見ながら1日を振り返ってみる。


寒い朝。
起きてからベッドを出るまでに20分を要した。
歩き始めてから1時間、パラパラと降っていた雨は雪へと変わる。
まさか雪が降るなんて思ってもおらず。
気温零度、寒い。

寒さのせいで指先をうまく動かせず、ぎこちない箸使いですする麺。

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麺をすすりながら、行くか、留まるかを考える。

よし行こう。

今後、厳冬のイラン、トルコを歩く事になるからという、どうでもいい理由。
雪は降り続いているものの、そのうち止むだろうという根拠なき判断。

霧に覆われた道。山を下れば冷たい雨へと変わり、追い打ちをかけるかのように雨足は強まる。

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判断を誤ってしまったようで、全身ずぶ濡れ。
レインウェアもあるのだが、かなり出しづらい場所にあるため出すのが億劫。
もうすでに濡れているからと、さらなるずぶ濡れを選択。

冷たい雨に打たれ、トラックに泥水をかけられ、ひどい有様。
体を震わせながら、こんな判断を下した己を呪った。

20キロにも及んだ雨天歩行。
苦労があった分、目的の街、宿に着いた時の安堵感はいつも以上に感じた。
予定通りに進んだことはもちろん、途中立ち寄った商店では温かな一時を過ごすことができ、決して濡れ損ではなかったはず、とも思ったけど、濡れるのはやっぱり嫌。

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ちなみにウルムチは氷点下20度だそうな。

甘粛省 

上海から4つの省を通り抜け、甘粛省入り。
中国での行程も残すところ甘粛省と新疆ウイグル自治区のみ。
とは言っても、この2つだけで中国における行程の3分の2を占める約3300キロを歩かねばならないのだが。

現在甘粛・陜西の省境に滞在中。
ほんの500メートルも戻れば陜西省という位置にいる。

相変わらずの簡素な宿なんだけれども、パソコンがあり使わせてもらっている。

パソコンのモニターを見つけた瞬間、「なんでお前がこんな所にいるんだ」と思わずにはいられず。
宿の人からすれば、「お前こそなんでそんなもん持ち歩いてるんだ」という感じなんでしょうけど。

当面の目的地は甘粛省の省都・蘭州。

西安 

観光都市西安。
省都でもあり、高級ホテルから旅社まで宿もピンキリ、かなりの数があって選択肢豊富。

宿なんてすぐに見つかるだろうと安易に考えていたのだが、

あてにしていた宿はクローズ。
かすかな記憶を辿って見つけた6年前に滞在した宿も満室。
安そうな旅社も軒並み満室、あるいは値段を吹っかけられ話にならない。

何だかんだで1時間に及んだ宿探しに疲れ、もう疲れたと最後の切り札、ユースホステルに落ち着くこととなった。

ちなみに中国語では青年旅社。

全行程徒歩という形で旅をしているため、誰に気を使うことなく、干渉されることなく、ゆっくりとのびのびと過ごし、疲れを癒したいというのが正直なところ。
ドミトリー(相部屋)が基本であるユースなんて対極的存在であり、できれば避けたかったのだけれど。

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市街地に位置し、ホットシャワーに無線LAN、レセプションも親切で言うことないのだが、これが個室だったらなぁと思ってしまう。

個室だったらなぁと。


しかしまあ、上の写真を見ていただけば分かるように、ベッドはガラ空き。
これが3泊目の今日まで続き、快適なシングル生活になってしまうとは思ってもなく。
おかげでしっかりと休養でき、英気を養うことができました。

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ちなみに客が全くいないというわけではなく、そこそこいます。
なぜかぼくの部屋に入ってこないという事。


足が臭いからかもしれません。



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<写真>
緑一色。

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<写真>
手相。割と良く見かける。

起点 

西安を訪れるにあたり、どうしても行っておきたい場所があった。
そこは兵馬俑でも秦始皇帝陵でもなく、シルクロードの起点とされる場所。

昔読んだ本で知ったのか、あるいは誰かから聞いたのか、情報元さえすっかり忘れてしまった曖昧で不確かな記憶ではあるけれど、シルクロードの「起点」とされる場所が西安にあるらしい。
「シルクロードの起点・西安」というくらいだから、西安がシルクロードの「起点」であるのは当然なのだが、そんな大雑把なものでなく、「ここが起点だ」という所、まさに起点中の起点と言える場所が存在するらしいのだ。


本当にそんなものが存在するのか半信半疑のまま、起点探しを開始した。

とりあえず、「絲綢路(シルクロード)」「起点」というメモを手に、宿のレセプションで聞き込み。
難航すると思っていた起点探しではあるが、「それはここ」と地図に印をつけてくれ、あっさりと場所判明。
あっさり過ぎて拍子抜け。つまらん。

西安中心部を囲む城壁内にあるものと勝手に思い込んでいたのだが、意外にも城壁外。
散歩ついでに1時間程かけて歩いて行ってみる。


そして現れたシルクロードの起点。

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真新しい門をくぐれば公園のようになっており、かつてシルクロードを行き来したキャラバン隊の像にシルクロードの地図。
地図を見ながら、はるか昔のシルクロードに思いを馳せる。

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空高く凧を上げている人、ベンチに座っている人など地元民こそいるものの、観光客はゼロ。
観光客に見向きもされないような場所かもしれないけれど、今の自分にとっては世界遺産なんかよりも遥かに意味を持つ場所でして。

西安から中央アジアを経て、テヘラン、イスタンブール、ローマへと続くシルクロード。
その起点に立ち、ここからシルクロードの旅が始まるのだと思うと、色々なものが込み上げてくるわけです。

「何だコイツ」という地元民の訝しげな視線を背に受けながら、シルクロードの旅の安全祈願。
安全祈願に十分な休養、準備は整った。


ラクダではなくリヤカーを引きながら歩くシルクロード。

明日からシルクロードの旅が始まる。

商洛→西安 

後ろを振り返ってみる。

視線の先には大きく険しい山々が聳え立っていた。

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ほんのついさっきまで悪戦苦闘していた山。
改めてその大きさを実感する。

その後も何度か振り返り、次第に遠ざかっていく山々を見ながら、一週間にも及んだ山越えが終わった安堵感、不思議なもので散々苦労したにも関わらず寂しさをも感じた。


「標高1000メートルをピークに山道も終わりつつある。」

と、前回、商洛にて書いていた訳だが。
確かにあの日、商洛に着いた日は、四方を山に囲まれ、幾つかの坂もあったとは言え、標高は下がる一方で、山道の終わりを感じた。

何よりそうあってほしいと思った。


実際のところ、山道は2日で終了。
しかしながら願い通じず、標高1000メートルがピークではなく、標高800メートル程の商洛から一気に500メートルも上がることに。
そこを最高地点に翌日は800メートルひたすら下った。

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景色こそ絶景であったものの、最後の最後にこんなものが待ち受けているとは知らず、まあ疲れました。


ただ、山道を抜け、視界が開けた瞬間。
目の前に山でなく、広大な台地が見渡せた瞬間。

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この瞬間は本当に忘れられない瞬間となった。
達成感と言うのか、安堵感と言うのか、何とも表現しにくいのだが。

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しかし何はともあれ、シルクロードの起点・西安に到着。
上海より約1500キロ、47日。

途中半日休みがあったとは言え、南陽から歩き続けること11日。
ここ西安で2日程休足予定。

山道での疲れを癒し、英気を養うとしよう。