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ALKINIST -あるきにすと- 2009年03月

職質 

荒野のど真ん中で職務質問を受ける。
南京以来2回目。

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まだ春が始まったばかりだというのに真っ黒に日焼けし、得体の知れないものを引いて歩く姿だけでも十分に怪しいのに、パトカーをちらっと見た後、下り坂をさーっと小走りで駆け抜けたのが怪しさを助長させたのかも。

わざわざUターンしてきたパトカーから停止の指示。
パスポート、ビザの確認のみのとてもシンプルなもので、対応も紳士的。

どこぞの国も見習ってほしいもの。


野宿していた深夜、「野宿するならイタリアでしろ」と、わざわざイタリア国境までパトカーで送ってくれ、国外追放してくれた某国。

乱雑に扱っていたためボロボロになったイエローカードを見て、「ボロボロだから金をよこせ」と訳の分からない因縁をつけてきた某国。

盗難証明書の発行さえもできない某国。


警察絡みのネタはたくさんあるものの、どうやらこの国では無縁そう。


中国と日本。
隠れ蓑を着て姿を消すとまではいかないにしても、共に東アジアの国で、皮膚や髪、顔立ちも似ていて、何とか目立つ事なく歩いて来れたけれど、今後、中央アジアやロシア系人種の中へ入っていけば、どうしても目立ってしまうはず。
荷物満載のリヤカーを引く怪しげな東洋人なら尚更。

中央アジアの悪徳警官との攻防戦。
恐らくは防戦一方であるけれど、想像すれば憂鬱でもあり、ほんの少し楽しみでもあり。



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<写真>
嘉峪関の長城。

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<写真>
ある日の夕食。

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<写真>
夕焼け空。

甘粛省酒泉 

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張掖から5日、約220キロ。

当初は1泊だけしてそのまま通過する予定だったこの街で足を休める事にした。
今後しばらく大きな街もなく、水・食料の確保も必要だったので。

しかし、この狭い部屋にこれだけの荷物を入れるとなると落ち着かないなあ。

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休足日の今日はスーパーを見て回り、食料を揃えた。

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無人地帯では基本的に昼食は道脇で果物、パン、ソーセージなど。
夕食はレトルト丼・カレーもしくはラーメン。
まな板やら調味料各種揃えているものの出番なし。

シルクロードで感じる春 

好きな季節を問われれば、春と答える。

生物が行動を開始する春。
花咲き乱れる春。
穏やかな春。
新たな生活が始まる春。

何より冬の終わりを告げてくれる事が嬉しい。


氷点下の雪山を下りれば、そこは夏を思わせるような強烈な陽射し。

「春を通り越すとは何事か」

と憤慨していたのも束の間。
張掖辺りから穏やかな気候に落ち着いている。
やはり冬の後は春なんだと、そんな当たり前の事が何だか嬉しくもあり。


さて、現在歩いているシルクロード。
色とりどりのチューリップが咲き乱れるどころか、生命の存在を拒むかの様な乾いた茶色い台地が延々と続いている。

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春の気配ゼロ。

張掖手前で物凄い強風に襲われるも、あんなの春一番どころか台風一号としか思えず。

シルクロードで感じる春と言えば、時折見かける畑を耕したり、農作業をしている人々の姿くらい。
こんな乾いた土地で一体何を作っているのかは定かでないけれど。
それでも、牛やロバを使っての耕作を目にすれば、春の訪れを感じずにはいられない。

で、今回目にしたのがこちら。

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ラクダ。

シルクロードと言えばラクダ。
シルクロードで見た初めてのラクダ。

ラクダを見て喜ぶような年でもないけれど、正直なところ、シルクロードで見るラクダは無性に嬉しい。

農作業にラクダ。
春の訪れを感じるのと共に、ここはシルクロードなんだなと改めて思ってしまう。

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再見 

「再見」

これまで幾度となく交わした言葉。
中国語でさようなら。
別れの言葉は数あれど、この言葉が一番好き。
さよならよりもシーユーよりもアディオスよりも。
再び見るなんて、なんかまた会えそうな気がして。

スリー・デイズ・イン・チャンイエ 

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甘粛省張掖。

かつてマルコ・ポーロが1年間滞在した街。
時代こそ違えど、共にシルクロードを歩く同志。
十分に理解できるその気持ち。

強風吹き荒れる荒野からこの街に辿り着けば、何とも言えぬ安堵感に包まれてしまう。
今となっては多くの事が解明され、詳細な地図もあれば言葉も通じるものの、色々な事が謎めいていたマルコ・ポーロの時代なら尚更そうであったに違いない。


張掖に着いて3日目。
洗濯や荷物の整理、必要な買い物もすでに済ませているのだけれど、なかなか出る事ができず。
特に何があるという訳でもなく、どこにでもありそうな典型的な中国の街でしかない張掖。
決して面白い街ではないのだが。

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「両替をしないといけない」

決して手持ちの中国元が乏しい訳ではないけど、どうでもいい理由を作って延泊した今日一日。
無意味にスーパーをハシゴし、テレビを見て、読書にネット。
このままズルズルと滞在し続けてしまいそうな雰囲気。

そんな訳にもいかず、3日間の滞在をもって明日この街をあとにします。

高速 

張掖を目指している時の事。


これまでにも何度かあったが、歩いている国道が突然消え、

「ほんとに張掖まで行けるんかい」

と、言いたくもなるような標識もない頼りない狭い道に変わる。

こんな事にもすっかり慣れてしまったのでそのまま歩くも、その後、どこで道を誤ったのか、高速道路につながってしまう。
ドライブインの食堂で夜を明かした翌日、2度目の高速歩行となった。

お世話になった宿主曰く、
「歩いていいよ」との事なので。

公安の車両が2台横切った時は、さすがにまずいかなと肝を冷やすが、何事もなく走り去っていった。

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こんな風に書くと中国は高速道路歩行可能な様にも思えてしまうのだが、ちなみに蘭州を目指していた際、国道が高速に突如変わった事があり、入口突破を試みたものの、止められてます。

見事なまでの返り討ち。

冷静に考えてみると、いや冷静にならなくても、
高速道路を歩こうと入口突破を試みる事自体とても異常な事なのですが。
それでもぼくは必死に抗議してしまうのです。


「どこどこの高速は歩けたぞ」と。

「お前らの国は高速も歩行可能なはずだぞ」と。

「歩かせろ」と。


もう何が正しくて間違っているのか分からない。

それでもまた同じ様な状況になったら行っちゃうんだろうなあ。



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<写真>
高速道路で万里の長城に遭遇。
朽ち果てた感じの長城も悪くない。

永昌-張掖 

永昌-張掖。

この間およそ170キロ。
地図を見る限り、途中に山丹という町があるのみ。

テント生活になるだろう。
そう考え、永昌で食料などを揃え、無人の荒野に備えた。

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しかしながら、テントを張ったのは初日のみ。

さすがに今回はテントに3連泊だろうと意気込んでいたのだけれど、どこにでも宿があるんですね。さすが中国。
またしても紛れ込んでしまった高速道路のドライブイン、荒野の中にポツンと建つ食堂を兼ねた宿で夜を明かした。

時折現れる小さな町、遥か遠くに集落が見える事があるも、本当に何もない。
歩いている道、近くを並走する高速道路を除けば、山と空と乾いた大地に地平線、それだけ。

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何百年、あるいは何千年も変わらぬ景色なんだなと、
かつてこの道を行き来したキャラバン隊も同じ様にこの山を見上げたんだろうか、
そんな事を考えながら荒野をひたすら歩き続けた。