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ALKINIST -あるきにすと- 2011年07月
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さらばオンタリオ、はじめましてマニトバ 

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カナダ入国から8ヵ月半。
オタワで米国ビザの申請を拒否されて、トロントで半年も働いて。
とにかく長かったの一言に尽きるオンタリオを脱出。
オンタリオでの日々に終止符を打ち、次なる州マニトバへ。
8ヵ月半を振り返りながら感傷的になんてなる事もなく、ようやく脱出できる嬉しさのみ。

オンタリオでの総歩行距離は約2500キロ。
マニトバ以降4州での歩行距離は約3000キロである事を考えればいかにオンタリオが広大であったかがよく分かるかと。
今後は州境を越える度に西へ近付いている事を感じるはずです。


たくさんの出会いをありがとう、さらばオンタリオ。
そしてはじめましてマニトバ。

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現在はマニトバの州都ウィニペグにおります。

Raining 

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朝焼けがとても美しくて楽しい1日になる予感がした。


しかしそんな予感も束の間、進行方向はどんよりとした灰色の雲に覆われ、3時間後には強い雨が降り始めた。
その時ちょうど湖畔の駐車場にいて、レインウェアを取り出していたところ、どこからやって来たかすら分からない赤いパジャマ姿のおばちゃんがいきなり現れて、「コーヒーを飲まないか?ブレックファストは食べたのか?」と話しかけてきた。
こちらは急いでレインウェアを着ようとしているのに、なんとものんびりとした申し出だと思った。

そんな事よりも、おばちゃん、この雨の中、あんたどこから現れたのだ。
「カモン」というおばちゃんの後を追いながら、「一体どこへ連れて行かれるのだ」と少々不安も感じたのだけど、

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おばちゃんが連れて行った先は湖畔に停められたキャンピングカー。

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カルガリー方面へ向かっているというドグ、ジュメイラ夫妻、そして2匹の犬。
昨日歩いている姿を見たのだとか。
すぐに熱いコーヒーを入れてくれ、トースト、さらには卵をフライパンで焼いてくれ朝食。
冷蔵庫も電子レンジもあるし、生活に必要なものはたいてい揃っていた。

「ごちそうさまでした。本当にありがとう」

いつまでも雨宿りというわけにもいかないし、依然強い雨ではあったけど、歩行を再開する。



濡れるのは嫌いだ。だから雨は嫌いだ。
でも雨の中、サイクリストと遭遇するのは好きだったりする。

雨という悲惨で最悪な状況。
そんな中、自分以外の誰かが歩き、走っているとしたら悲惨な経験の共有をする同士であり、彼らと出会えば改めて頑張ろうと思うし、気持ちも楽になる。

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この日悲惨な雨の経験を共有したマイク。
後方から6人くらいの同士がやって来ると教えてくれた。
結局6人どころでなく、この日すれ違ったサイクリストは9人だったけど。


何人かのサイクリストとすれ違い、また前方にサイクリストらしき人影が見えた。
この時ぼくは延々と降り続ける激しく冷たい雨に顔を歪めていたに違いない。

前方からやって来たサイクリストはまだ若い女性で、一瞬自分の前で止まり、「Good luck」と声をかけ、彼女の行動食を手渡してくれた。

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ほんの一瞬の事。
「Thank you, you too.」と返す事しかできず、写真どころか名前さえも聞けないまま、遠ざかっていく彼女の背中を見送った。

きれいな笑顔で、「グッドラーック」と楽しそうに半音上げる感じで声をかけてきた彼女。
この悲惨な雨の中、前向きな気分にさせてくれ、良い1日だったと思えたのは彼女のおかげです。

なめてはいけない 

先日「熊の夜襲に遭いました」なんて書いたわけですけど、



熊の夜襲だなんて大げさななんて思っているそこのあなた。
熊なんているわけないだろなんてほざいてるそこの君。



カナダをなめてはいけない。



まあこれでも見なさい。

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午前5時15分、歩行開始から約1.5キロ地点。


ちょっと分かりにくいので拡大・・・


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道路から約100メートル。
こちらの様子をじっとうかがっておりました。
ちょっぴり感動して興奮もしたけれど、冷静に考えてみると、歩行開始から1.5キロ地点って事は前夜のテント設営地、ほんのついさっきまで眠っていた場所から1.5キロしか離れてないという事で、ああやはり怖いなあ、熊と常に隣り合わせなのかと改めてそんな事を思うわけです。

この熊がいる場所って線路上で、線路とか道路とか、熊も怯えてやって来ないだろうと考え、そういう場所にテントを張っていたわけだけど、色々と考え直す必要がありそうです。
ちなみにこの前夜も線路沿い。熊が右へ1.5キロも歩いていけばテントという状況。

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ベアスプレー、ヘッドライト、ナイフ。
夜はこれらをすぐ手の届く場所に置いて眠る。
ナイフは熊と闘うためでなく、テントが押し潰された時、上部を切り裂いて外へ脱出する時のために。

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カナダ人からいただいたベーコン、フルーツを夜間は木に吊るす。
さすがに前回のソーセージの二の舞は避けたいので。


ちなみにカナダ人に「熊見たぜー!」と自慢しても「ふーん」という程度のつまらない反応しか返ってきません。この人達にとっては日常なのです。

運命 

それは雨の日の事だった。

前方に傘をさした人影、ブルーシートに覆われたものが見えた時、「彼に違いない」と確信。道路を横切って彼の元へ向かった。


「ぼくはあなたの事を知っている。お会いできて嬉しいです」


やや興奮気味に握手の手を差し伸べた。
彼もまた力強く握り返してくれた。


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日本を出発する前か、出発した後か、確かでないのだけど、彼の事を知ったのはどこかの通信社が配信した記事。
「世界各国を10年歩いている男」みたいな感じで紹介されていたと思う。


「今サンダーベイへ向かって歩いている男がいるよ。彼はもう11年も歩いているんだ」


サンダーベイ滞在中、西から来たサイクリストから教えてもらったこの情報。
あの記事を読んで以来、彼の事を思い出す事などなかったのだけど、彼がカナダ・モントリオール出身である事など、曖昧な記憶を照合。「彼に違いない」と思った。

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やはり彼はぼくが読んだ記事の男でJean Béliveau。
現在バンクーバーからモントリオールの自宅へ帰宅中なのだとか。
11年という長い旅はもうすぐ終わる。

「まあゆっくりと食べながら話しましょう」とスニッカーズを手渡せば、
「アリガトウ」と日本語で返事。
ちなみに彼は青森から鹿児島まで2ヵ月半かけて歩いていたりする。

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彼の愛車はベビーカー。
11年で3台目らしい。

これまでの旅の話、今後の話など、30分は立ち話。
いつの間にか雨も止んでいた。

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再びガッチリと固い握手をし、二人それぞれの旅路へ。
後ろを振り返れば、彼もこちらを振り返っていて、手を大きく振った。


連日報道される膨大な量のニュースの中から彼の記事を読み、当初訪れる事のなかった北米で彼と出会い、この広い地球上で2つの旅が交差した事に、偶然とかそんなものではなく、引き寄せられたというか、運命的なものを感じた。
おっさん相手に運命の人だなんて言う気はないけど。


10月16日、彼の11年の旅が終わる。
同じ日にぼくの北米での日々も終わる。

The Chronicle Journal掲載 

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The Chronicle Journal(カナダ・サンダーベイ) 2011年7月5日掲載


1面下部に記事を掲載していただく。
スーパーで買い物中、3度も声をかけられたのでそこそこメジャーな新聞なようです。

束の間の休足 

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ゲストハウスに宿泊中。
庭にテントを張れば10ドル安いので相変わらずのテント生活なのだけど。
貴重な休足日に雷雨とか勘弁してほしいです。
昨夜は雷とテントを叩く雨音で熟睡できず、昼間から欠伸ばかりしてた。


フィラデルフィアでお世話になった家族にサンダーベイ到着を報告すれば、「サンダーベイってきれいな響きの名前だけどどう?」と尋ねられたものの、正直この街に何があるのか分からないし、唯一知っているのはスペリオル湖だけど、そんなものもう見飽きていてわざわざ湖畔まで足を運ぶ気にはなれないし、「スペリオル湖があるからきれいだよ、あとミネソタに近い」と適当に返信しておく。


何があるのかよく分からないけど、この街がぼくにとってオアシスであるのは間違いない。
これまでも100キロおきくらいに現れた小さな町も同様で、ずいぶんとさびれた町で唯一ある食品店は品揃えが悪くてしかも割高で。でもこれらの町を訪れるのは本当に楽しみで。
空腹を感じながらひたすら森の中を歩き続け、ようやく小さな町が現れた時、救われたと心から思えます。

水と食料を得てまた次の町を目指す、そんな繰り返しでした。


ここでもまた次の目的地ウィニペグを目指す準備をしている。

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久々にまともなものを食べて、

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洗濯をして、

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食料を買い揃えて。

食料は45ドル分購入。
今後300キロ、小さな町しかないので適正価格で手に入るサンダーベイでまとめ買い。


次の目的地ウィニペグまでおよそ700キロ。

Thunder Bay 

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トロント出発から27日目。
約1400キロ歩き、サンダーベイに到着。

27日、1400キロという数字を目にしても、カナダ全土の地図を持ってないのでどれくらい進んだのかイマイチよく分からないし、これだけ歩いても未だにオンタリオ州から抜け出せない現実。確実に西へ進んではいるものの、どこか不安を感じた。
トロント・サンダーベイ間は東京・鹿児島間と同距離であると以前書いたけど、やはり鹿児島は遠かった。サンダーベイは遠かった。

連日のようにカナダを横断しているサイクリストと出会うのだが、ふと東からやって来たサイクリストに「バンクーバーからここまで何キロ?」と尋ねてみた。
自転車のサイクロコンピューターを見せてもらえばその距離3600キロ。
まだまだ遠いなと思う。


サンダーベイへの道、当初の予定より100キロ超を歩く事になったのはトロント近郊で道を間違えたり、サドバリーから最短ルートでなく湖沿いを歩き、遠回りしたため。
序盤は体調不良で20キロしか歩けなかった事もあったけれど、トロントからサンダーベイまで27日歩き続けた。

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トロントを発つ前から地図を見て何もない事は分かっていたけれど、ここが山場だと思ってはいたけれど、本当に何もなくて少々萎えた。
100キロ近く何もない中を歩き、小さな町で一息入れ、また100キロ何もない中歩く。
延々と続く森林と飽きる程に見た湖。正直もうこの景色には飽きています。


次の町へ少しでも早く辿り着きたい一心でがむしゃらに歩き続けたのは、カザフスタンでの歩行に通じるものがあった。
大袈裟ではあるけれど、生きるために歩き続けた。
食料も水も手持ちのものは限られてますから。

水がなくなれば湖や川から水を汲み、手や顔、時には髪を洗ったり。食べるものがないのでピーナッツクリームをそのまま口にしたり。
トラックやキャンピングカーが多数通るので遭難する事はあり得ないけど、サバイバルな毎日で、「生」というものをいつも以上に感じる事ができた。


「生」といえばすなわち「命」なわけだけど、生命の危険を感じたのが一度。
熊の夜襲に遭いました。
テントの左右から計3度、テントを押し潰してきました。
理由は明白でソーセージ。数日前にサイクリストからいただいたもので、その際「熊が来るから気をつけろ」と言って渡されたものなのに、全く気をつけてなかった。
これまで感じた事のない恐怖で、ベアスプレーを片手に闇に包まれたテント内でガクガク震えました。


そんな恐怖も連続歩行日数もここで一旦リセット。
17日振りのシャワーを浴び、心機一転これからまた西を目指します。



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亀横断中。

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カナダ人のお宅にお世話になること2度。
シャワーを浴びたのもこの2回だけ。
リヤカーに付けろとカナダ国旗をいただいた。

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スーセントマリーはサドバリーに次ぐ大きな街だった。
スーパーで食料を確保。

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雨のため、教会横の軒下にテント。

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湖で汲んだ水を使い、洗髪中。
折り畳みバケツに頭を突っ込んでいるところ。

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突然歩行不可となり頭を抱えてみる。
カナダってこういうの多い気がします。

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