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ALKINIST -あるきにすと- 2011年07月

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富山に11年住んでいたおばちゃん 

ウィニペグまで毎日何人ものサイクリストと会ってきたけれど、ルート16にはカナダ横断に挑戦しているサイクリストの姿はない。ほぼ全てのサイクリストはカルガリーへと至るルート1を走るらしい。ある程度予想していた事だけど、ここまでいないのは予想外だった。

時折草原に響き渡るクラクションに手を上げて応えたり、振られた手に振り返したり、あるいはたまに現れる商店での会話、これらが毎日の数少ないコミュニケーションだったりする。


この日も黙々と草原の中を西へ歩いていたのだけど、そんな中道脇に停車した1台の車。

日本式のお辞儀と共に「コンニチハ」とおばちゃんが声をかけてきた。

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ウィニペグからビクトリアへ向かっているCharlotteとBob。
このおばちゃんの口からたまに日本語が発せられたのだけど、なんと富山に11年も住み、大学で英語を教えていたらしい。
ずいぶんと富山を愛していらっしゃるようで「トヤマ、トヤマ」と何度も繰り返した。


「日本は好きですか?」

返ってくる答えは予想できたけど、なんとなくそう尋ねてみた。

「大好き」と思った通りの答えを口にした後、胸に手をあて「特に日本人の心が」と彼女は言った。


文化でも自然でも食事でもなく、真っ先に日本人の心がと言われば一日本人として嬉しく、誇らしくも思え、このおばちゃんと関わった富山人ありがとうと感謝してみる。富山行った事ないけど。

富山に11年も住んでいたカナダ人と富山を訪れた事のない日本人がサスカチュワンの草原のど真ん中で出会った事がやけに面白く楽しく感じられたのだけど、これもまた縁か。

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Wynyard 

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先日マニトバからサスカチュワンに入ったけど相変わらず何もないです。
草原まれに町という感じ。

地図を見ると、地図上に載っている明日通過するであろう町は小さく、店やガソリンスタンドがあるか不確か。
しかも明日は日曜日。日本と違って日曜日も平常営業する事はほとんどない。
飲料水、調理用の水共に十分な量はなく、今日の夕方に到着するであろうWynyardで飲料を補充しておく必要があった。

町が近付き、道脇にはその町で営業している店やモーテルの看板が現れ始めた。
そんな看板の一つにガソリンスタンドのものがあって、そこには「SHOWER」という文字。


そういえばウィニペグで会ったフランス人サイクリストはキャンプ場やモーテルなど一切泊まらないぼくと同じスタイルだったのだけど、「どこでシャワーを浴びるの」と尋ねれば、「ガソリンスタンド」と答えた。

「ただし全てのガソリンスタンドでシャワーを浴びれるわけではないし、5ドルだよ」と彼は言った。

そんな事を思い出し、ここでウィニペグ以来10日振りのシャワーを浴びようと考えたのは言うまでもない。

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歩行開始から約60キロ、Wynyard到着。
ガソリンスタンド発見!


「シャワーって看板見たんだけど、シャワー浴びれますか?」と尋ねると、

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ここを指差す店員。

「ハウマッチ?」
「フリー」

10ドルとか言われたらどうしようと思ってたのに、店員は無料だと言いました。
おそらく長距離トラックドライバー向けのシャワーで、給油ついでに浴びてもらう、シャワーを浴びさせてやるから給油しろというものだと思うのだけど、トラックどころか車の給油さえもしないガソリン不要のリヤカーを引いた真っ黒に日焼けして10日もシャワー浴びてなく小汚いぼくに無料だと言いました。

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10日振りのシャワーを浴びる。
チョー気持ちいい!
今後もキャンプ場やモーテルは使わないのでガソスタシャワーを使おうと思います。

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いくら無料と言われたからといって、そのまま去るわけにはいかず、もともとこの町では飲料を買うつもりだったのでペプシ購入。
4ドルもしたけど、シャワーとペプシで4ドルなら安いです。
さらには調理用の水も補充させていただく。


そして近くのファーストフード店の「WiFi FREE」の看板に釣られ、コーラ1杯で2時間近く居座っております。
そろそろテントを張りに出かけます。さようなら。

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本日歩行距離2万キロを超えました。

地平線 

ウィニペグ手前で景色が一変した。

オンタリオから延々と続き、左右の視界を常に遮ってきた森は消え、見渡す限り地平線が広がった。

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山もなければ、トロントなビル群があるわけでもなく、広大な黄色い菜の花畑に緑色の草原があるだけ。圧巻の景色だった。
何が圧巻って森から草原への突然の移り変わりが見事すぎた。

地平線なんていつ以来だろうと振り返ってみる。久しく目にしていない様な気がした。
カザフスタン?いやスペインだ。
その後ウィニペグで取材を受け、オンタリオとマニトバとの違いを尋ねられたけどこれ以外答えが見つからなかった。

「Horizon(地平線)」

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ウィニペグを出発してからも黄色い菜の花畑と緑色の草原が延々と続いている。

アップダウンもほとんどなくパンケーキの様なフラットな地形、全く変化のない単調な景色、今歩いているルート16にはサイクリストは全くいないしクラクションを鳴らすトラックドライバーももういない。

熊がいない事と蚊の数が激減した事は大きなメリットではある。

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日の出前から日没まで60キロ、
黙々と歩きテントを張る毎日。

カザフスタンを思い出すような大きく青い空、そして地平線。
懐かしさと退屈さと楽しさなど、色々なものがごちゃ混ぜになっているけど、

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やっぱ楽しいです。

Winnipeg Free Press掲載 

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Winnipeg Free Press(カナダ・ウィニペグ) 2011年7月20日掲載


「あんたらの国でかすぎるから町もないし店もないし、退屈だぜ。森しかないじゃないか」

そんな事を取材の際に話したのだけど、

「It was boring. There were no town, no store. Only forest.
Only forest forest forest. Lake lake lake.」

そのまま活字になってて笑えた。
記者とのメールのやり取りも、文法一切無視の我流英語が直される事なくそのまま掲載されていたり、色々な意味で面白かった。
時間をかけて取材していただいたのでとても良い記事でした。

こういう出会いもありだと思います 

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これから目指すはエドモントン。その距離およそ1400キロ。
ルート1を少し歩いた後は延々とルート16の歩行。

トロント・サンダーベイ間と同距離であるものの、さすがに1400キロは気が遠くなりそう。
なので当面はその間に位置するサスカトゥーンを目指しての歩行。
サスカトゥーンへも800キロ超なのだけど、不思議なものでそんな遠くには感じられない。おそらく常人と比べ相当距離感覚が麻痺していると思われる。
日本に帰った後も100キロとか200キロ程度なら車を使わずに普通に歩いて出かけてしまうんじゃなかろうか。

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マニトバに入ってからルート1になったのだけど、それまでサドバリーからの約1500キロはルート17を歩いていた。
強烈な陽射しを浴びながら、時には激しい雨に打たれながら、日の出から日没まで、およそ1ヶ月もの間この道を歩き続けた。

オンタリオ・マニトバ州境近くで車が停車して話しかけられたのだけど、なんとこのドライバー、サドバリー付近で自分の姿を見たのだとか。
それから約1ヶ月後に1400キロも離れた場所で相変わらず歩いている姿に驚き、「お前何やってんだ」と尋ねずにはいられなかったらしい。まあそりゃそうかも。


彼以外に歩行中の姿を何度も目撃しているのが、このルート17を走るトラックドライバー。
このドライバー達がどこから走りどこへ向かっているかなど知る由もないけれど、この道はカナダを横断する主要道路の一つ、カナダ最大の都市トロントへと至る道路なのでトラック、トレーラーを運転するドライバーはこの道を毎日の様に走っている。

そんなドライバー達がぼくの歩行姿を1ヶ月の間に何度も目にしたのはごく当然の事で、連日何台ものドライバーから「ブーブー」とクラクションが鳴らされ、手が振られた。
彼らが通過するのはほんの一瞬の事、彼らの顔も見えなければ、どこへ向かっているかも知らない。
でもぼくはそんな彼らからのエールがとても嬉しくて、クラクションが鳴らされる度に手を上げた。

町どころか店さえもなく、誰と会う事も話す事もなく森の中を60キロ歩いただけで1日が終わる事も何度かあり、「もう歩きたくない」と考えた事も何度か。あまりにも退屈でした。
そんな時、森の中に響く「ブー」というクラクション。一瞬目にする彼らの手。
その度に「さて頑張るか」と思い、彼らからはたくさんのパワーをいただいた。

ウィニペグが目前に迫った日、いつも以上に多い10台超のトラックから「ブーブー」とクラクションが鳴らされたのだけど、もしかしたら餞別のクラクションなのかなと思った。
マニトバの州都ウィニペグを発着しているドライバーも多いだろうし、別れのクラクションなのかなと。あるいはウィニペグ到着を祝してくれるものなのかもしれないけど。


ルート17はたくさんの出会いを与えてくれた。
サイクリストや現地人との出会いはもちろん、話した事もなければ顔さえもよく見えないどこへ向かっているかも分からないドライバーたちとの出会いも。

とりあえず、連日「ブーブー」してくれた彼らに言いたいのは、

「ナイストゥミーチュー。楽しい日々をありがとう」

Winnipeg 

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マニトバ州の州都ウィニペグ。

ウィニペグへの道中、西からのサイクリストに「ウィニペグは大きな街ですか?」と尋ねてみたら、「人口65万人程度だし、大きくはないよ」という返答だったのだけど、いざウィニペグに着いてみれば街の端から目指していたダウンタウンまで10キロ超。
ここまで人口10万人の街がわずかに2つあっただけで、小さな町や村をいくつも抜け、東からやって来た自分にとってウィニペグはトロント以来の大きな街であった。

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ここしばらく1日60キロ超というペースで歩き続けているので、ゆっくりしようと3泊分の宿代を支払い、サンダーベイ以来12日振りのシャワーを浴び、サドバリー以来1ヶ月振りのベッドで眠る。

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シャワーにベッド、歩行中になかったものがここにはある。
スーパーにレストラン、ファーストフード店、延々と続いた森の中で喉から手が出るくらいに欲しかったものがここにはある。

多分街で暮らす人にとっては当たり前の事で、それはきっと大半の日本人にとっても同じに違いないのだけど、そんな当たり前の環境を当たり前だと思わない事、そこから幸せを見出せる事、感謝の気持ちを持てる事こそ幸せな事なのだと思う。
延々と続いた森の中を歩き抜き、ウィニペグにたどり着いた今、改めてそんな事を思う。


相変わらず観光意欲は全くないし、何があるかもさっぱり分からないし、外はクソ暑く出歩く気にもならないので、ウィニペグ滞在中は現地メディアから取材を受けて、テントを修理して、洗濯をして、食料を少し買って、装備品も揃えて、あとはたっぷりと休息。いつも通りです。

ウィニペグでしっかりと休養を取り、本日より歩行を再開させるつもりでいたけれど、天気予報をチェックすれば雨の予報。実際朝からどんよりとした雲に覆われ、雨も降っていたので、4泊目の宿代を支払った。別にもうそこまで急ぐ必要もないし。


トロントからウィニペグまで約2100キロ。
バンクーバーへの残りの行程は約2800キロ。
気が付けば4割の行程を消化して残り6割。
あと2ヵ月半で残りの2800キロを歩けばいいわけで、時間的余裕は多少はあるけど、少なくともエドモントンまでは1日60キロペースを継続予定。

横断する人達 2 

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サンダーベイ・ウィニペグ間の約700キロ、40人くらいのカナダ横断サイクリストを見たけど、西を目指して走っていたのはわずかにこの2人だけ。
トロントから出会ったサイクリストを思い出してみても、西から東へ走っているサイクリストの数が圧倒的に多い。9割くらいが西からのサイクリストじゃないだろうか。

自分自身、上海を出発して以来、ユーラシア、北米とひたすら西を目指す日々。
朝日を背中に浴びながら歩き始め、西へ沈んでいく太陽を追いかける毎日で、東進よりは西進と思っているので多くのサイクリストが東を目指す理由が全く理解できないでいた。

ウイグルで出会ったカナダ人サイクリスト・クリスにメールで尋ねてみれば、「アルバータ州辺りでは強い西風が吹いているから多くのサイクリストはそれを避けて東へ走るのだよ」という返答。
ウィニペグの宿で出会ったフランス人も同様の事を言っているのでどうやらそういう理由らしい。

「へぇ」と思ったのだけど、よく考えてみれば、これからぼくはその強風に向かい歩いていくわけで、それって今後の自分の歩行に大きな影響があるではないかとウィニペグにて気付く。なんか嫌な事聞いたなあ。

写真上・カナダ自転車横断女一人旅・シーニー
写真下・さわやかスマイル・スコット



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東部時間と中部時間との境界でサイクリスト集団と出会った。
ここを境に1時間の時差が生じる。
彼らは時計の針を1時間進めて東へ。
ぼくは1時間戻して西へ。



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フロントバッグに付けた人形を指差し「This is my girl friend」と言ったのは67歳のグレン。
こんな遊び心たっぷりのフロントバッグは初めて見た。
このファンキーな67歳は1日110キロも走るらしい。
空腹だったので「次の店まで何キロくらいですか?」と尋ねれば、
「この先100キロ何もないぜ、ナッシングだ。ケッケッケ」と彼は笑った。
本当に森しかありませんでした。



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カナダを横断しているのはカナダ人サイクリストだけじゃなくて外国人もたまにいる。

写真上・ドイツ人ニコ
写真下・ニュージーランド人エニー



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エドモントン在住のアジア系。ジーナとハーミー。
「あなたジャパニーズでしょ。話は聞いてるわ」と声をかけられた。
数少ない西進サイクリストのシーニーとすれ違い、ぼくの話を聞いたのだとか。



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イタリア人ジョジョ。
メチャメチャ陽気な典型的イタリア人。
リヤカーに貼られたイタリアステッカーを見て喜んでいた。



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説明が面倒になったので割愛して写真だけ。
あとは雨の日に会ったサイクリスト、その他数人と足を止め、話をした。
相手が「写真を撮らせろ」と言った場合はこちらも撮り返しています。
手を振っただけで走り去ってしまうサイクリストもいる中、わざわざ止まってくれた皆さん、本当にありがとう。あなた達との出会いは数少ない毎日の楽しみです。

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