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ALKINIST -あるきにすと- 2011年08月

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世界で最も美しい道 4 

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交通量の少ない朝の時間が好きだった。
約300メートルの上り、峠越えから始まった最終日。
ひんやりとした澄んだ空気、霧がかった山々、呼吸を乱し早くなった鼓動、小鳥のさえずり、とても静かで、この時間、空間を独占しているかの様で贅沢な時間に思えた。

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2つ目の峠、Bow Passは約2070メートル。
所詮は多機能腕時計の高度計、許容範囲内の誤差。
最初の上りと比べればはるかに楽なものであった。

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レイクルイーズはもう目の前。

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霧と山というのも悪くはなかったけど、やはり青空の下でこの美しい風景を堪能したかった。

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昼食はこんな感じ。

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徒歩でジャスパーを目指すというフランス人カップルとすれ違った。

「ジャスパーから何日かかった?」「5日目」

お互い雨にうんざりしていたし、日中の気温も5度と寒かった。彼らは寡黙だったし、会話が全く弾まず、正面から写真を撮る機会を逃したので後姿だけ。
霧深い3000メートルの山々の中に入っていく小さな背中。
自然の大きさと人間の小ささを感じた。
自分の後姿もこんな感じなのかな。

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「日本ノ皆サン、コンニチハ」

あいにくの天候で景色を楽しむ事ができず、冷たい雨にもうんざりしていた時に現れてくれた熊。
彼なりのサービスだったのだろうか。
ありがとう熊!

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ちなみにリヤカーとの距離はこんな感じ。
道脇の黒いのが熊。

「7メートルという近距離で熊と遭遇した際、まず最初に何を手に取ったのか全く記憶にない」

そんな事を前夜に書き記したのだけど、この時恐らく熊との距離は15メートル。
熊に気付いた時は驚いたし、じっとこちらの様子をうかがう熊にわずかながら恐怖を感じた。

ウィニペグの宿の冷蔵庫に「熊と遭遇した際の注意事項」みたいなものが貼られていて、「走らない、背を向けない、刺激しない(驚かさない)、少しずつゆっくりと後退する」という感じだったと思う。
これを見た時は、そんな冷静に対処できるものかと思ったけれど、いざ熊と対峙してみたら、これらの事を思い出し、背を向けないようゆっくりとまずはベアスプレーを手にした。そしてカメラ。

ぼくはまともな人間ではないけど、さすがに熊と遭遇したらまずはカメラではなく、最低限自分の身を守る事を考えるのだと、そんな事を知った。

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3日目にも出会ったカナダ人夫婦。
アイスフィールドパークウェイ縦断ではなく、日ごとに区切ってサイクリングを楽しんでいるよう。

「歩行中何を考えてるんだ?」とご主人。
これまで何度も聞かれた事だけど、別にたいした事を考えているわけではないので返答が難しい。でもこの時はこう答えた。

「今は熊を探しながら歩いています」


「レイクルイーズまであと18キロよ」と奥さん。

その後3時間ほど歩き、アイスフィールドパークウェイは終わった。



「アイスフィールドパークウェイは世界で最も美しい道なのか?」

とても楽しかったし、自然を満喫したけれど、そう尋ねられたら「ノー」と答える。
だって「イエス」と答えたら、カザフスタンの無人地帯もアドリア海沿いの道もアイスフィールドパークウェイ以下となってしまうし、それらに優劣をつける事はできないから。
それに「イエス」と答えられるほど、まだ多くのものを見ていないし、歩いていないのだ。

ただ「世界で最も美しい道の一つ」であるのは間違いない。

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世界で最も美しい道 3 

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「まさかこれで終わってしまうんじゃないだろうな」


アイスフィールドパークウェイでの歩行も4日目。予定では残すところあと2日。
景色には十分満足していたのだけど、一つ思う事があった。


ここまで3日歩いて、見た動物はリスのみ。


これがアイスフィールドパークウェイなの?
ムースはどこにいるの?
カリブーはどこにいるの?

熊出てこい!!!


そんな事を思った霧深い朝。



今改めて写真データの撮影時間を見てみると午前11時30分。
背筋がゾクっとした。突然現れたゴキブリにびっくりした時の様に。
ゴキブリと同じ様な黒い色をしていたけれど、それはゴキブリではなく熊であると認識するまでにコンマ数秒かかった。
道路脇、前方7メートルという近距離に熊がいた。
あいにく熊はすぐに森へ逃げていき、シャッターチャンスを逃してしまったのだけど、わずか7メートルという近距離に熊がいたという事実はとにかくぼくを興奮させてくれた。
祈りが通じたと思いました。ああやっぱここはカナダなのだと思いました。
しかしいくらなんでも近過ぎだろと思いました。



また改めて写真データの撮影時間を見てみると午前11時50分。
熊との遭遇から20分が過ぎた頃だった。

「写真撮らせろ、写真撮らせろ、熊出てこい」

熊との遭遇に未だ興奮おさまらず、そんな事を思いながら歩いていた。

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熊出てきた!!!
ありがとう熊!!!


その後も熊ラッシュは続き、最初の熊も含め、なんとこの日計6頭もの熊を目にした。

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これは親子。
分かりにくいけど黒いのが2つあるのが見えますでしょうか。
熊の子供がとてもかわいかった。


オンタリオの森を歩いていた時から熊がいそうな所では常に周囲に気を配りながら、熊がいないか探しながら歩いていたのだが、いつの間にか熊探し名人になっていたらしい。
車が熊に気付く事なくどんどん通り過ぎる中、ぼくだけは熊にレンズを向けていた。

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ぼくが熊を観察し続けているとようやく車に乗った観光客も熊に気付き始め、あっという間に人だかりができた。最後の方、熊に飽きたので観光客を撮ってみた。

リヤカー1台だけ明らかに浮いている。

世界で最も美しい道 2 

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3日目。
この日もまた美しい朝だった。
10時間眠ったので体力は回復。

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テント撤去。

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歩行開始から100メートルで展望台に到着。
この辺りできつい上りも終了。
展望台やレストエリアなど、多くの場所にゴミ箱が設置され、熊など野生動物が簡単にゴミ箱を漁る事ができないようになっている。

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コロンビア・アイスフィールド到着。

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アイスフィールドパークウェイというだけあってこのアイスフィールドが1番の目玉らしい。
駐車場から10分ほど歩けば氷河の末端に触れる事もできるようだけど、興味ないし面倒なので行かなかった。ていうか道沿いに滝とか湖とか、いくつも案内板が現れたけど全部無視。余裕のスルーでした。

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振り返ればアイスフィールド。
ここに限らずたまにふと後ろを振り返れば、前から見た景色とはまた違った顔を見せてくれた。

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峠を越えてバンフ国立公園入り。
峠越え自体は勾配もきつくなく余裕。峠へ至る前日の上り坂が難所だった。

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翌日昼から天候が崩れ、霧がかったりして景色はあまり見えなくなる。
なので天候に恵まれた最初の3日、特にアイスフィールドからこの辺りの景色がアイスフィールドパークウェイでのベストだった。

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上った後は一気に下る。
3000メートル級の山々の間を歩いていく。

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飲料水も含め、水は全て小川から汲んだ。
野生動物も同じ川から水を得ているかもしれない。そんな事を考えるのが楽しかった。
約230キロの間にガソリンスタンドは1軒、そこで食料も買えるけど、余るくらいに食料は持っていた。キノコもたくさん生えているけど食べれるかは不明。

世界で最も美しい道 

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ジャスパーとレイクルイーズとを結ぶ230キロの道路をアイスフィールドパークウェイという。このパンフレット曰く「世界で最も美しい道」なのだとか。
車なら数時間、自転車なら2日で通り抜ける事のできるこのアイスフィールドパークウェイをぼくはいつもの様に5日を要して歩き抜いた。恐らく最もスローなアイスフィールドパークウェイ縦断だったはず。
本当に「世界で最も美しい」のか、時速5キロのスピードから検証してみる事にした。

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1日目。
ジャスパーのキャンプ場を出発し、レイクルイーズを目指し歩き始めると現れた熊への注意を促す看板。
「Stay in your vehicle」って車がない人はどうしたらいいのか。

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エドモントンでカナダ人から譲っていただいたパークパスを見せ、チェックポイントを通過、アイスフィールドパークウェイに入り、まず最初に撮ったのがこれ。

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歩行中声をかけてきたエドモントン在住のウクライナ人。
ウクライナ歩行中はたくさんの方々にお世話になり、とても印象深い国の一つであるウクライナ。
彼らからも差し入れをいただき「ディヤークユ」、別れ際には「ド・ポバーチェニャ」。
ウクライナ滞在中に最も多用したこの2語は今でも覚えている。

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目の前には3000メートル級の山。

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歩行初日はキャンプ場にテントを張る。15.7ドル。
飲料可能な水道はあるけどシャワー、水洗トイレはない。
人数に関係なくサイトごとの値段なので一人での利用は割高。

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Honeymoon Lake Campgroundというだけあって、すぐ側に湖。
美しいの一言。

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キャンプ場の利用者は皆、最後の夏を楽しもうという家族、友人連れで、キャンピングカーにビールや美味しそうな食べ物をたくさん積み込んでバーベキューをしていた。
よだれがこぼれそうなにおいを嗅ぎながらラーメンを一人で食べていたのだけど、そんな姿を見て不憫に思ったのか隣のサイトのトルコ系兄妹、その妻と夫のグループが「ビール飲もうぜ」と声をかけてくれた。
ビール3本ごちそうになり、お土産に4本いただく。
ウクライナにトルコ、ユーラシアでも好きだった国の人達と会えた日だった。

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2日目で最も美しかった景色。

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以前国立公園に徒歩でアイスフィールドパークウェイを抜ける事は可能か問い合わせた際、「可能だけど2000メートルの大きな峠が2つあるし、レンタカーを使いなさい」との事だった。
1つ目の大きな峠越えが始まった。
リヤカーを引いて歩くには急すぎる勾配で、何度も何度も足を止めながら、時にはこんな感じでリヤカーを引きながら進む。

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もう歩けない。

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本当にもう歩けなかったので、10キロ先のキャンプ場を目指すのをあきらめ、道のすぐ側にテントを張り2日目の歩行を終えた。辛うじて人目につかないところ。

車輪が壊れたらサヨウナラ 

実は今、車輪にものすごい不安を感じています。

車輪が壊れているので、リヤカー荷台の重量を支えきれず、その結果、タイヤに負担をかける事になり、タイヤの磨耗が明らかに早いです。ちなみにスペアタイヤはありません。

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こんな状態でジャスパーからレイクルイーズへと至るアイスフィールドパークウェイを歩くのは非常に怖いです。
だってこの230キロに町なんかないんですから。
延々と山と森が続き、熊がウジャウジャといるような所なのです。


さすがにぼくも危機感を感じ、ジャスパーに到着後、3軒の自転車屋を回りましたが、同型の車輪は見つかりませんでした。
しかし日系人のお店で「フライデーまでいるなら入手できるよ」との言葉をいただき、観光地価格が加算され割高な車輪の代金を支払い、ジャスパーには計3泊とどまる事にしたのでした。



そして車輪受取日の今日。

自転車屋へ行き、車輪を受け取り、タイヤを装着してみたのですが、なんと痛恨のサイズ違い(怒)
日系人のマナブに文句言ってやろうと思ったのですが、彼は不在。結局返金してもらい店を後にし、現在ジャスパーのWiFiフリースポットでパソコンを広げているところなのです。


せっかく不安要素は解消されたと思っていたのにまた振り出しに戻ってしまいました。


ジャスパーにとどまり日本から車輪が届くのを待つ事も考えたけど、おそらく10日前後かかり、その間のキャンプ場での費用も大きいです。
エドモントンへ戻る事も考えたけど、往復の交通費がかかり、手に入るかも不確か。何より戻るというのは好きじゃないです。

非常に少ない選択肢から思案した結果、このままアイスフィールドパークウェイへ突っ込む事に決めました。
次の自転車屋はおよそ300キロ先のジャスパー。しかしここでまた車輪を探すのでなく、日本から車輪とタイヤを受け取りたいと考えています。


幸い無人地帯ではないけど、この間に住んでいる人はおらず、トラックなども走っていない。ここにいるのは観光客ばかりです。
最悪もし車輪が壊れた場合、ものすごく苦労する事は容易に想像できます。
熊がウジャウジャいる所にプチ遭難してしまいます。


敬愛する一之瀬泰三みたいに言葉を残して突っ込む事にしました。
今唐突に思いました。


車輪が壊れたらサヨウナラです。

Jasper 

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エドモントンには結局4泊もしてしまいました。

エドモントンを抜け、初めて現れたジャスパーへの距離標識。
時間的余裕はかなりあるので急ぐ必要は全くなく、エドモントンからは1日5キロ-10キロペースダウンさせた。もっともこれは新聞を読んだカナダ人が連日何度も話しかけてくるのと、朝の冷え込みが厳しくなり、シュラフから出られなくなった事も一因ではあるけど。

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ジャスパーにウォルマートはないという情報を入手していたので、手前80キロのヒントンのウォルマートで食料を買っておく。お菓子ばっか。
ウォルマートのウエハースは美味でした。また買おう。

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ジャスパー国立公園へ。

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会う人皆が「ビューティフル、ビューティフル」とジャスパーを絶賛するものだから、期待し過ぎたがためにがっかりなんて事もあるかなと、あまり期待しないようにしていたけど杞憂に終わった。
ちょっとした不安もあり、少しもやもやとし、気が滅入ってはいたけど、そんなもの一気に吹き飛んでしまった。予想以上に素晴らしい所でした。

カザフスタンの無人地帯、クロアチアのアドリア海沿岸、そしてカナダのジャスパーが上海から2年8ヶ月のベストルート。

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キャンプ場以外でのキャンプは違法なのだけど、この日のうちにジャスパーの町に着く事はできず、テントを張る。人目につかぬよう道沿いの小さな林の裏。
ほんの少し前までサスカチュワンでは見渡す限り草原、地平線だったけど、現在は四方を山に囲まれています。

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朝、テントから出てみると朝焼け空に虹が見えた。

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ジャスパー到着。

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キャンプ場への道。
キャンプ場から町までは3キロくらい離れているけど、こんな環境なら苦にならない。

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ジャスパーには3泊する必要があり、キャンプ場に泊まらざるを得なかった。
1泊22.5ドル。高い。もちろんシャワー付き。

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ヒントンでガソリンを補給後、火力が安定せず、ついには火が点かなくなってしまったストーブを分解、クリーニング。

あとカメラのレンズも壊れました。
これまで30回くらいカメラバッグを落下させてきたけど、ついにレンズがぶっ壊れました。レンズが割れたとかじゃなく、フォーカスリングが回らなくなっただけなので一応は写真を撮る事はできるけど、バンクーバーに到着後すぐに修理です。

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キャンプといえばカレー。
修理したストーブで早速カレーを作る事にしました。
ビールは歩行中にいただいたもの。6本あったけどこれが最後。

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小さな町だけど観光地なだけあってたいていのものは揃っている。
しかし観光地プライスです。WiFiフリーの所もなくて、30分で2ドルとか。
ようやく本日無料で使えるところを見つけた。

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お金もなければ車も自転車もなく、ジャスパーでできるアウトドアは限られているけど、今日は見晴らしの良い丘へ登ってきた。普通に遊歩道を歩いているだけでも十分自然を満喫できる。

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国立公園内のルート16上の歩行であれば入園料など取られる事はない。
しかしジャスパーからレイクルイーズへと至るアイスフィールドパークウェイを通過するなら1日あたり9.8ドル、年間パスもあるけど67.7ドルもする。

70ドル近い出費を覚悟していたけど、なんと手元には国立公園のパスがあるのです。
有効期限8月末まで。期限が近いからという事でエドモントンでお会いした日本語ペラペラのカナダ人からパスを無償で譲っていただいた。

そんなわけで次はアイスフィールドパークウェイの予定。

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キャンプ場に戻り、パソコンを広げてみたらなんとWiFi接続できるじゃありませんか。
頻繁に途切れるんで接続状態は良くないけど。
しかしテントにパソコンって全く似合わない、とキャンプ場でぼやいてみる。

Hinton 

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昨日の午前中に遠くにうっすらと見えた山影。
今はもう目の前に迫ってきている。
大きな壁となって目の前に立ちはだかっている。

ここ数日で生じた2つの不安要素。
行くか、とどまるか、引き返すか。

ジャスパーまでの80キロは何とかなるはずなのでとりあえずジャスパーを目指します。

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