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ALKINIST -あるきにすと- 2013年01月

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Hue 



高地というわけではなく標高は0に近い。
にも関わらず朝夕の肌寒さが日に日に厳しくなっているのは南部から1000キロ超も北上してきたからだろうか。
今の時期、南部は乾季だが、山脈が海岸線まで迫っている中部では雨の日も多い。

朝の寒さに耐えられず、バックパックの奥底に入れてあったジャケットを取り出し、先日から着用している。


郵便局、銀行、洗濯、買い物とフエでやるべき事は全て済ませた。

せっかくなのでと世界遺産に指定されている王宮へ足を運んでみたけど大した事なかった。これまで訪れた世界遺産の中で最も大した事ない世界遺産だった。

何が良いのか全く分からず、ユネスコの判定が甘いという結論に達した。

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1月の総歩行距離は1341キロ 

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用事があったのでリゾート地ダナンに約30分立ち寄る。
ここもまたバイクが多く、この橋は車の通行不可、バイク専用の橋であった。

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現地人にフエへの道を尋ねながら歩くと海沿いの道に出た。
どんよりとした雲に覆われ、パラパラと雨も降り、気温も低く、海で泳いでいる人などいるはずはなく、それどころか外国人旅行者の姿もなく、道沿いには古びたホテルが並び殺風景。これならニャチャンの方がリゾート地と呼ぶには相応しい。

ビーチにはやたらとこの大きなザルのようなのが置かれていた。

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沖に停泊している船までこのザルに乗っていく。
一寸法師みたいだ。

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ザルの中。

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ダナンからしばらく歩いた所から峠越えが始まった。
0メートルから500メートルまで上がり、また0まで下る。
山の中を20キロ歩き続け、約5時間を峠越えに要した。

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当然ながら平坦な道を歩く方が楽でアップダウンはあまり好きじゃないけど、ここの峠は楽しめた。
ティモール島以来、山らしいものはなかったし、山に飢えていたのだろう。
晴れていたら最高の景色だったんだろうけど、残念ながら霧のため視界は悪かった。
霧と山という組み合わせも悪くはないけど。


最長歩行距離を更新した前日は72キロ、20キロの峠越えをしたこの日は53キロ、そしてさらに61キロを歩きフエに到着した。
さすがにこの3日の歩行で体は消耗している。

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初めて距離標が現れた時は遥か遠くに思えたフエ。
サイゴンから8日歩きニャチャン。2日休み、さらに11日歩いて辿り着く事ができた。
いつも振り返ってみては思う。一歩一歩の繰り返し、本当にそれだけの事なんだなと。

ビザの期限内にここまで歩くのは日程的に厳しかったけど、とりあえずは一安心。
19日、1100キロの歩行は我ながら完璧。


今日気が付いたんだけど、ここからサイゴンへ戻るより、中国へ行く方が近いという事実は非常に感慨深いものがある。

最長歩行距離を更新した日曜日 

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前方10メートルでバイク2台が転倒した。
幸い巻き込まれる事はなかったけど、この国の交通はやはり危険だ。

1日の大半を路上で過ごしている自分にとってドライバーの交通マナーとかモラル、どれだけ快適に歩けるかはとても重要なのだが、バイクや自転車を蹴散らすかのようにやかましいクラクションを鳴らしながら走るバスやトラック、猛スピードで真横を通過する事もあったり、残念ながらベトナムはひどすぎる。クソッタレだ。毎日キレてます。

道路から離れてもぼったくってくる人が多く、残念ながら居心地の良い国ではない。



日曜日なので結婚式、披露宴が多いようで、ビシッとスーツを着たベトナム人をよく目にした。しかし正装し、いつも以上に立派な姿になったとしても中身はベトナム人に違いないのでスーツ姿で立小便をする連中を何度も目にした。

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ちなみにこれがベトナム人の立小便の基本形。
道路から離れる事なくその場でする人が多いので道路上は小便臭いし、路面が濡れていたら怪しいので避けるようにしている。
犬や家畜じゃないんだからしたくなったらその場でするというのはやめてほしいです。


そんな事を思いながら歩いていた昼下がり、前方に車が停車して、スーツ姿の連中が降りてきて小便を始めた。
そんな事はもう慣れているのだけど、きれいなアオザイで着飾ったおばちゃんが周囲をキョロキョロと見回し、「まさか」と思ったらそのまさかで、周囲は延々と水田が広がり、隠れる所などないのだが、道脇にしゃがみこんで小便を始めた。

その後も道路から2メートルしか離れていない歩道で尻を出してるおばちゃんがいたり、すごい国だなと改めて思えてきた。中国と張り合える国である事は間違いない。


多分ベトナム語に「恥」を意味する単語はない。

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彼らのおかげでいつも以上に濃厚で楽しい日曜日。
歩行ペースも順調、日没後も歩き続け、ダナン近郊まで達した。

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カザフスタン、カナダでの記録を2キロ程上回る72キロを歩いた。

余力はあったのでまだまだ距離は伸ばせそうだけど、重要なのは100キロを1日で歩く事ではなく、50キロを毎日歩く事なのである。

銭闘する日々 

ぼったくりや胡散臭い客引き、日本語使いの現地人。

観光客の多い都市部や観光都市ではこんな連中にうんざりする事も少なくないけれど、そんな場所から離れ訪れた田舎で素朴で純粋な現地人と出会い、彼らの優しさに胸を打たれ、その国を改めて見つめ直すなんて事はよくある事。


ベトナムでもそういう事を期待したけど、

外国人が訪れないような田舎であってもふっかけてくる。
食事、ジュース、パン何もかもをふっかけてくる。
店番をしていた中学生くらいの子もごく自然にふっかけてくる。
老若男女、あらゆるベトナム人がふっかけてくる。
50%増しは当たり前、ひどい時は2倍ふっかけてくる。


あまりにふっかけられまくってるんで一体何が適正な料金なのか分からなくなってきた。


「外国人が来たらふっかけろ」

中学生くらいの子は親からそんな事を教えられているのか?
それとも学校が教えてくれるの?国の方針?

これまで色々な国々を訪れてきたけど、ここまで徹底してふっかけてくるのはベトナムだけ。何か買う度に連日何度も。


周囲の環境や立地条件による値段設定もあると思うし、必ずしも底値で食いたい買いたいと思っている訳ではないので、その状況にもよるけど許容範囲内であれば値切ってはいない。
無言で金を渡せば現地人価格でコーラを買えるし、現地人がいくら支払っているかを見て支払ってみたり、こちらも色々と考えている。


サンドウィッチを買い料金を支払い、歩き始めようとしていたら、「ちょっと待ちなさい」とおばちゃんに声をかけられ、お釣りを渡された。
他の国では当たり前の事なんだけど、こんな正直者はこの国では希少なので感動した。


この国を一言で表すなら「狡猾」。
ああそうだ、米国に屈しなかった国だったと思い出した。



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久々のサイクリスト 

インドネシアやシンガポール以降ベトナムへ至るまで、サイクリストとすれ違ったり追い抜かれる事は何度もあったけど、どうやらリヤカーを引いて歩いている姿は現地人化しているようで、皆止まる事なく、気付く事なく、走り去っていった。

カンボジアで1度手を振って挨拶を交わしたくらいで、こちらとしてもわざわざ自転車を止める必要はないし、相手が自分に気付かない限りはこちらから挨拶する必要もないなと思っていたのだが、ベトナムにて久々にサイクリストと出会う事ができた。

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フランス人・ジャン。
ぼくは彼に気付かなかったけど、自分に気付いた彼は話しかけてきてくれた。
ベトナム、ラオス、カンボジアを2ヶ月走り、「カンボジアがナンバー1、差がなくラオス、ベトナムはクソッタレ」と吐き捨て、「ベトナムでは警察に気をつけろ」と忠告してくれた。

豪州1周もしていて、こちらから話を振ったわけではないけど、「豪州のドライバーもひどいものだった」と彼。どうやら彼とは話が合うようだ。

しかしペラペラペラペラと彼の口からは続々と新たな話題が飛び出し、なかなか出発するきっかけをつかめず40分も道脇で彼と話をしていた。

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するとまた新たにオランダ人サイクリストがやって来た。

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こちらもフランス人。トゥールーズ出身、名前は忘れた。
ニャチャン到着後、自転車に追い抜かれたのだが、あまり見ない形の自転車で、写真を撮りたいなと思っていたら、前方でルート確認のため停止。
東南アジアではこちらから声をかける事はないけど、リヤカーを引いて彼らの元へ走り、写真を撮らせてもらい、少し話した。

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わずかな時間だったので詳細なルートは聞いていないけど、フランスから走り始め、現在はベトナム北上中らしい。「またハイウェイで会いましょう」と言い、お別れ。

行き先は同じなのでまた会えるでしょう。

番犬に注意 



サイゴンを出てからの3日程は全く面白くなかったけど、タイ南部以来の山が見えてからは景色も変化に富み、アップダウンもあり、楽しくなってきた。

海が見え始めた辺りからは風が強くなり、2日間、100キロ近くに渡り、強い向かい風が吹き続けた。
終わりがある上り坂と違い、いつ止むか分からぬ風は厄介なもので楽しいものではない。
ペースは落ちるし、風を受け続け、その中を歩き続ける事で体は消耗した。


アップダウンはタイ以来、久々だった。
カンボジアには山はもちろん、丘さえもなく延々とフラットな道が続いた。

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小さな山を上り終えた時、遠くに海が見えた。
頭の中でベトナムの地形をイメージし、現在地と照らし合わせてみた。
細長い国土の海岸近くにいるのだ。そしてこの海岸線に沿って歩けば上海か。

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牧歌的な景色が続く。
やかましいバス、トラックさえいなければ完璧なのに。

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意外にもベトナムでは田舎であっても安宿が多かったが、サイゴンからの7泊はテントを張り続けた。
テントを張って、ストーブでラーメンを作って、コーヒーを飲んでという生活が無性に楽しい。カンボジアと比べたら安全だしテントも張りやすい。


住宅地であっても空地を見つけ、隣接する家の人に許可をいただきテントを張った。
しかしまだ暗い明け方、テントを片付け、出発準備をしていると、犬が吠え始め、空地の隣の家の人がライトを片手に1階から2階へと見回りを始めた。

こちら側の家にはテント設営の許可をもらっておらず、見つかれば面倒な事になりそうだと思いながら闇の中、息を潜めた。悪い事をしていないのにこの緊張感は何なのか。
何度か空地に向けてライトで照らしたけど、幸い光は届かず見つかる事はなかった。
しかし犬がいそうな住宅地でのテント設営は慎重にしないといけないなと思うのである。

ベトナムという国 

カンボジアを歩いていた時、ベトナムナンバーの車から5人くらいの男が降りてきて、人目を気にする事なく一斉に立小便をし始めた。品のない汚い連中だなと思った。


ベトナム入国前からすでにそんな事を思っていた訳だけど、入国後も彼らの立小便について少し驚く。


東南アジアの国々、ヨーロッパや北米、豪州。
どこの国の人も立小便をする際は人目を気にして道路から10メートル、20メートル離れた茂みに入っていき用を足したものだけど、ベトナム人は道路からほんの2,3歩歩いたところで放尿する。
1人とか2人とか数人とか、そんな程度ではなくほぼ100パーセント。

ひどい奴は道路上から離れる事なくその場で立小便をする。
露出狂ではないので堂々と見せつける様にするんじゃなくて、自分のトラックとかバスの車体にぶっかけている。


ある朝、前方にバイクが停車し、男がバイクから降りて道路から離れていった。
これまで1度も見る事のなかった茂みで立小便をするベトナム人なんじゃないかと思い、「やればできるじゃないかベトナム人よ」と少し嬉しくなった。奇跡を感じた。
そしてぼくがそこを通過する時、彼の勇姿を目にしようと茂みに目をやれば、しゃがみこんで堂々と野グソをしているおっさんの姿があった。


この国は色々とおかしい。

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フランス人サイクリストは「クソッタレだ」と罵倒し、ベトナム人ドライバーのムチャな運転のせいで転倒した欧米人ライダーは「ファック」とドライバーに詰め寄っていた。


クソッタレ、ファック、いずれも否定しない。

ベトナムを1日半歩きサイゴンに着いた10日前、「ベトナム人ドライバーのクラクションは許容範囲」なんて書いたけど取り消します。
殺意がわき、ペットボトルを投げつけたろうかと思う事もしばしば。



サイゴンからニャチャンへの8日間の歩行でバイク、車と2度の接触。

車との接触は全く大した事ないけど、後方からの追突気味のバイクとの接触には驚いた。
バイクは思い切り転倒し、後続ののバイクも転倒したものを避けようとして転倒した。
こちらは体、リヤカー共に問題ないけど、荷台のバッグが少し破損した。

北米、豪州では安全のため対向車線側の路肩を歩いていたけど、東南アジアではその時次第という感じだった。
自分の身は自分で守るしかないので今は対向車線を歩いている。



羞恥心を持たずどこででも小便をし、割り込みも当たり前、ゴミもそこら中に投げ捨て、ゴミで溢れる汚い国土、外国人であると分かれば何に対してもふっかけてくるし、連日何度も響くやかましいクラクション。


東南アジア、タイやマレーシアなんかと並べればそれらの国々に失礼な気がするし、同列に語りたくはない。
「こんな国さっさと出てやろう」と思う事も何度かあり、カンボジアへ抜ける事やバスでプノンペンへ戻る事も考えたくらい。ひどい国だなと思う。


不愉快な事が多かったけど、楽しかった中国での日々を思い出し、ぼったくりを除けば中国そのものである事に気付いた。
ベトナム人の顔立ちもタイ人なんかよりも中国人の方が近いと思う。

不思議な事にここが中国であると考えたら色々と許せる気がし、楽しもう、良い所を見つけてやろうと寛大な心を持つ事ができた。
しかしその直後バスのやかましいクラクションに殺意を覚えたのだけど。

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バイクとの接触後、キレていた自分を家に招いてくれた。
「飯を食っていけ」というのでお邪魔したのだが、食事が出てくるまで1時間半もかかり、結局2時間も滞在。
共通言語がないので彼のベトナム語にうんうんと適当に相槌をうった。

名前をロティエットと言い、伸ばし始めて15年の髭という事くらいしか彼の事は分からなかったけど、こういう出会いがあるからもう少しベトナムを歩いてみようと思えるのです。

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