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ALKINIST -あるきにすと- 2017年05月

ププサにはまる 

目を覚ますとすでに明るく、腕時計に目をやれば5時20分。
いつもならもう歩き始めている時間だ。思い切り寝坊してしまった。
夜に目を覚ます事はなかったし、深い眠りに落ちていたのだろう。

ニカラグア・レオンを出てから61キロ、55キロ、53キロ、54キロ、52キロ、55キロ、59キロと炎天下での長距離歩行が続いているからか。

いつもより30分遅れで出発するも疲れが溜まっているのは明らかで足が重い。
10キロ歩いたところで屋台が現れ、何か食べれば回復するかもと思い、ププサを食べる。
エルサルバドルを訪れた知り合いがププサを絶賛していたのだが、ププサが何なのか全く知らなかった。



初めて食べるププサ。3つで1ドル。
キャベツの酢漬けとトマトソースをかけて食べる。
恐る恐る口にすれば、中でチーズがとろけ、思わず表情が緩む。
想像以上に美味しく、さらにもう一皿追加した。

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しかし体調は優れない。
緩やかなアップダウンを何度も繰り返すが、この体にはきつい。

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きついので道脇で昼寝。

その後体調は回復し、結局58キロを歩いたのだが、歩きたくてそれだけの距離を歩いたのでなく、テント設営場所が見つからなかったから。

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50キロ過ぎのところにガソリンスタンドが現れたが24時間営業でない。
教会のような建物があったが、信者が延々と祈り続けていて、お願いできる状況ではなく、さらにはすぐ近くに浮浪者が座り込んでいた。
別の教会は敷地が狭く、民家で拒否され、日没直前に辿り着いたのが牧草地だった。

ウスルタン通過 



今日も日の出前より歩く。

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前日からサンミゲル火山を見ながら歩いている。

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20キロ歩いてウスルタン。
路上に露店が出ていて活気がある町なのだが、覆面警官を荷台に乗せた警察車両がパトロールする光景は物々しく、少しばかり危険な香りがする。

何人かの人に治安を尋ねると皆「危険」と言った。
余計な事聞かなきゃ良かったと思いながら足早に街を抜ける。

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ニカラグアでお世話になったスーパーも名前を変えて健在。
警備員に荷物を見てくれるようお願いして買い物をする。

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街を抜けてしまえばまたのどかな田舎道、危険な雰囲気は感じられない。
エルサルバドルの道路も路肩が広く、とても快適。

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今の時期、中米は雨季なのだが、そういえばこの3日程、雨に見舞われていない。

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夜はガソリンスタンドの裏にテント。

サンミゲル通過 



基本的には空が白み始めた頃から歩き始めている。
サイクリストの中には朝からストーブを使ってコーヒーやラーメンを作って、ゆっくり出発する人も多いけど、起床後30分後に歩き始めるというのが自分のスタイル。
自転車と徒歩とでは機動力が倍以上に違うというのもあるし、酷暑の中米では涼しい時間帯に歩いておきたいという気持ちも強い。30分早く出発する事で日中の暑い時間帯に30分休憩する事もできるし。

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アメリカへ行きたい人が多いのだろうか。
やたらと米国ビザサポートをする代理店の看板を目にした。

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エルサルバドル第4の街サンミゲルを通過。
特に嫌な雰囲気もなし。

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延々と道脇には大きな木。
エルサルバドルも暑いので、木陰を歩けるのはとてもありがたい。

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イグアナ売りがいた。
食用で1匹10ドルと思ったよりも高い。
焼いて食べれば美味しいとの事だが、これならチキンの丸焼きを買った方が安いし、満足できる気がする。

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毎日の事なのだけど、日没が近付いての懸念はテント設営場所。
最近は広い敷地を持った教会、ガソリンスタンドを狙っているが、日没のタイミングで現れてくれない。
道脇の商店の横に広々とした敷地があったのでダメもとで「テントを張らせてもらえないか」とお願いしたところ、あっさりと許可をいただく。

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本当にあっさり過ぎたので2、3度念を押したくらい。
「テント張らせてくれ」とスペイン語をろくに話せない外国人が突如現れたにも関わらず、高確率で皆快諾してくれるのは非常にありがたいです。シャワーも浴びさせていただく。

Jocoro 



国境まで20キロ、ホンジュラス最後の歩行。
もう少し歩きたかったなと後ろ髪を引かれながら国境へ。

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数台のバスと同じタイミングで国境に到着したので長い列ができていた。
こんな時に心配なのがリヤカーと荷物。
怪しげな両替商がうろうろとしているのでリヤカーごと建物の中に入れる。

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そしてエルサルバドルへ。
ホンジュラスが長い列だったのに対し、こちらは前に1人いるだけで、あの列は一体何だったのかと思う。
ホンジュラス入国時もニカラグアは人がいないのに、ホンジュラスでは並ばされた。
人を捌くのが下手なのかもしれない。

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数年前、知人のサイクリストが首都サンサルバドルで身ぐるみ剥がされ、ボコボコにされたという事件があったので、中米の中で最も不安を感じているエルサルバドル。

外務省が出している安全情報を読めばとても歩きたいとは思えない国だけど、ここ最近通過した何人かのサイクリストの話だと総じて「ノープロブレム」。
徒歩で南北アメリカ大陸縦断した例もいくつかあるが、エルサルバドルで事件に巻き込まれたという話は聞かない。
全ては運次第か…。


エルサルバドル入国後、Jocoroという町を目指すが、上りと暑さで体がきつい。
商店が点在し、冷たいものを買える事は救い。
中米では袋に入った水をよく飲んでいるが、0.5リットルの水2つで25セント。

終盤はきつかったが、17時半、Jocoro到着。
消防署があればテントを張らせてもらうつもりだったが、ここに消防署はなく、ガソリンスタンドもテント拒否。
ホンジュラス同様、ガソリンスタンドに銃を持った警備員が常駐しているのを見ると、この国の治安の悪さを物語っているようで不安になる。
その後覆面で顔を隠した4人の警官が男を尋問していて不安は増長される。
日没は近いし、酷暑の歩行で体は疲弊している。

あとどれだけ歩けるだろう……
今夜はどこで眠るのだろう……

しばらく歩くとレストランがあり、その裏には広い敷地があった。
テント設営のお願いをしてみれば、この土地の所有者に連絡してくれ、なんとかテントを張る事ができた。

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レストランにて夕食。
味のないドリトスの上に肉やチーズが載せられたもの。
多分メキシコ料理。

ホンジュラス3日目 



ホンジュラスでも日本の支援で造られた橋を何度か目にした。

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路面状態は前日に比べたらましだけど、路肩はやや狭い。

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ニカラグアから物価が下がったため、自分で昼食を用意する事もなくなった。
昼時のタイミングで食堂が現れるわけではないので、どのタイミングで昼食をとるのか判断が難しい。
常に食事をとれる場所があるとは限らないので、食堂などが現れなければ空腹のまま歩くしかない。
少し早い時間だったが、次の町まで距離もあるし、タコスを食べておく。

水を補給させてもらおうと思ったが、「飲用できる水はない」との事。

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すると隣の自動車整備工場から声がかかり、ミネラルウォ―ターをくれた。
今日もホンジュラス人は優しい。


食後、歩行再開するも、とにかく暑い。
これ以上歩くと危ないと思い、木陰で横になる。

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直射日光を浴びた温度計は40度を指していたが、実際の気温は37度。
この辺りが暑さに耐えられるかどうかのライン。
過去に何度か熱中症を経験していて、数日体調が悪くなり、歩けなくなる事は十分分かっているので無理はしない。
無理したつもりはなかったパナマでも同様の症状になってしまったから何とも言えないのだけど。

その後Nacaome通過。少しでも国境に近付くべく、歩き続けた。
夕方、水場が現れ、水を汲んでいる人がいたので、タンクを持って行くが、「飲めない」と教えられた。
するとそれを見ていた工事現場の作業員が水をたくさんくれた。

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グラシアス。

ネガティブな印象と不安しかなかったホンジュラスだが、人の優しさを感じる事が多く、世界で最も殺人発生率が高いという事実を信じる事ができない。
この国に対する印象は良い意味で裏切られている。


なかなかテント設営場所が見つからないまま歩き続けていたら雨に見舞われた。
雷を伴い、かなり激しい。
バーの前で雨宿りをさせてもらうも、どんどんと時間は過ぎていき、雨が止む頃にはすっかり暗くなっていた。
今夜はどうしようと不安を覚えたが、またまた救いの手が差し伸べられ、隣接する家の屋根下にテントを張らせてもらう。

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ホンジュラスの人には本当に助けられてばかり。
わずか130キロ歩くだけでは物足りず、もう少し歩いてみたいという気持ちも芽生えたが、翌日は予定通り20キロ先のエルサルバドルへ向かう。

そういえば2010年にイスタンブール滞在中、サッカー・トルコ代表の試合を観戦したが、相手はホンジュラスだったと唐突に思い出した。

ホンジュラス2日目 



明るくなり始めた5時過ぎより歩行開始。
一晩足を休ませたのに足が重く、まるで50キロを歩いたような感覚。
昨日暑い中を歩いたからか?大丈夫だろうか?と不安を覚えるが、2時間も歩けば気にならなくなった。

アップダウンが多く、体調万全ではない体には楽なものではない。
幸いにも終日曇り空という絶好の天候だったのは本当に良かった。

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ホンジュラスの道はひどく、穴がいくつも開いている。
中南米はどの国も路面状態は良かったのでダントツのワースト。
道幅はそこそこ広いので、この路面状態は特に歩行に影響を与えるものではなく、ボコボコの道と両脇に鬱蒼と茂る緑の景色はなかなか良かった。

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シャベルを手に道路を補修する少年達を何度か目にした。
賃金をもらって本格的に道路補修しているわけではなく、穴に土を詰めるだけの簡単な作業。

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しかし全くのボランティアでもなく、ここを通過する車に手を差し出し、チップをもらうらしい。

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皆止まる事なく素通りしていたけど。

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しばらく歩くと道脇で肉を焼いていて、多くの人で賑わっていたので立ち寄る。
値段を尋ねると40レンピーラ。格安というわけではないので迷っていたら、「俺が払ってやるから食えよ」と現地人。
ごちそうになるのも申し訳ないので、「自分で払うから大丈夫」と伝える。

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バーカというらしい。
食後、お金を払おうとしたところ、「料金はいただいてるわ」と店のおばさん。

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相席だった人が支払ってくれていたのだった。
ありがとうございます。グラシアス。


ホンジュラス国内での歩行距離は約130キロ。順調なら2日半の予定。
その間にある唯一大きな街Cholutecaを難なく通過。

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53キロを歩いて歩行終了。
警察の駐在所の近くにテントを張らせてもらう。

Guasaule 



コスタリカは快適な道とそうでない道の割合が半々くらいだったが、ニカラグアは90パーセントくらいは快適な道だった。
決して裕福な国ではないので、日本や欧米からの支援で道が造られているのかもしれない。

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日本によって造られた橋は度々目にした。

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ニカラグア最終日なのだけど特筆すべき事はなく、途中民家で水を補給して、あまりに暑いので2度程、頭から水をかぶる。この子達はその家の子供。

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国境まで数キロのところで雨に見舞われ、雨宿り。
この辺りはやたらと自転車タクシーが多く、1人のおじさんドライバーも屋根下に逃げ込んできた。

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ニカラグアとホンジュラスとの国境線は川。
そこに架かる橋も日本の支援だった。

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そしてホンジュラス入り。

インターネットで世界の殺人発生率ランキングを検索すればいくつかのサイトが出てくるが、多少の違いはあれど、ホンジュラスとエルサルバドルは殺人事件の発生率が高い国の上位3カ国に必ず入っている。
世界の殺人発生率 国別ランキング


友人のサイクリストはニカラグアからエルサルバドルまで船を使ってホンジュラスを避けた。
別のサイクリストは「エルサルバドルが危険だ」と判断し、エルサルバドルを避けてホンジュラスをたっぷりと走った。
どちらも安全な国ではないだろうが、人によって言う事が違うので少々困る。

ホンジュラスを回避する事も考えたけど、3日もあれば歩き抜ける距離だし、ルート上に大都市はない。
何よりこの国を見てみたいという思いがあったので、ホンジュラスを歩く事に決めた。

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ニカラグアは意外にも安全だったので、ここからが本当の戦いだと自らを鼓舞する。
本来ならば暗くなってからの越境は避けるべきなのだが、翌朝出入国で足止めされるのは面倒だったので、ホンジュラス入りしたのは日没後の事。

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数軒の安宿があったが、どうせ寝るだけなのだからとテント設営場所を探してみる。
数台のバスなどが停まったよく分からない施設にお願いしたところ、許可をいただけたのでテントを張る。
「2ドル払え」と言われたけど「ない」と答えたら、それ以上何も言われなかった。

テント設営後、国境付近にいる両替商を探して両替。
レンピーラというホンジュラスのお金を得て、食堂にて夕食。
1ドル=22レンピーラ、瓶コーラは11レンピーラ。ニカラグアでは1ドルで3本買えたのに、コーラの値段が上がったのはショック。