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ALKINIST -あるきにすと- 追憶

追憶 

デジカメデータ整理中に見つけた一枚の写真。

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カザフスタン・アラル近郊で出会ったドライバーが見せてくれたのがこのカード。

カードにはカートを引く男の姿が描かれていた。
数年前に、このオランダ人も同じ様にこの道を歩いたのだとか。
彼がどこから来てどこへ向かったのかは分からないけど、そんな事はどうでもよく、この道を彼も同じ様に歩いたのだという事が無性に嬉しく思えた。


酷暑、長い無人地帯、延々と悪路は続き、時には道が消えたりと、
その後、さらに過酷なものになったカザフスタンでの行程。
事ある毎に笑みを浮かべながら問いかけた。


「あんた本当にこの道を歩いたのか?」と。

「歩き抜いたのか?」と。

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彼がどういったルートを歩いたかは定かではないし、あの無人の荒野の中でニヤニヤしながら見知らぬオランダ人に問いかけるなど、どう考えても尋常ではなく、暑さに頭がやられたのではとも思えるのだが、今思うと、その存在にどこか支えられていた気がする。

己の足で歩き抜き、サポートしてくださった方々からの装備品に頼り、数え切れないくらいのカザフ人に助けられ、カザフスタン横断を終える事ができたのだけど、何度か心が折れそうになったあの環境下で笑みを浮かべる事により、若干の余裕を持つ事ができたのは確かなわけで。


別れ際、ドライバーに自分のカードを手渡した。
「ラフマット」と彼は言い、オランダ人のものと一緒に財布に入れた。

「あんた本当にこの道を歩いたのか?」

いつの日か、見知らぬ誰かから問いかけられる日が来るかもしれない。