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ALKINIST -あるきにすと- 再会

再会 

「イスタンブールにいるの?うちらもいるんだけど」

昨夜、メールをチェックしてみると、そんな内容の英文メールを受信していた。
差出人はピーター。正直なところピーターだけでは誰か分からなかったが、メールを読み進めていけば、彼の妻である「サラ」という名前、さらには「ビシュケク」「Nomad's Home」と懐かしい言葉が続き、すぐに彼らの顔を思い出した。

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ビシュケクで出会った英国人ピーターと米国人サラ夫妻。

旅行者と出会う事がほとんどない今回の旅。
そんな旅の中、2週間という長期に渡り、同じ宿で共に過ごしたのは彼らくらい。
毎日宿の共用スペースで顔を合わせ、何か話をしていたくらいで、わざわざ特筆するほどの彼らとのエピソードはないのだけれど、ビシュケクでの日常、何気ない日々を思い返す時に真っ先に思い出す顔とでもいうか、最も強く印象に残っている旅行者の1人でもある。

そんな彼らが今イスタンブールにいるらしい。
翌日の夜、ギリシャへ向かうのだが、それまでにもし会えるなら電話してほしいと携帯電話の番号が書かれていた。

彼らと再会できるのは今日一日だけ、しかも夜までという制限つき。
早速電話をし、彼らの滞在するエリアにて待ち合わせをした。


まず、1人でやって来たピーターとビシュケク以来、約9ヶ月振りの再会。
自然と顔がほころび、ガッチリと握手。

チャイを飲みながら互いのビシュケク以降の旅について尋ね合う。
メールで連絡を取り合っていたわけでもなく、ビシュケク以降の話はお互い全く知らない。

「やはり歩いてここまで来たの?」
「ロシアを歩いた?どうだった?」

思えば彼らとビシュケクでの日々を過ごしていた頃、今後のルートに頭を悩ませていた。「ロシアへ行きたくない」などと愚痴ってると、「ウズベキスタンは楽しいよー、ロシアは寒いよー」と笑いながら誘惑してきた事を思い出す。
ウズベキスタンビザを申請した事を告げれば、「よしっ」と彼は納得した顔をしたけど、ぼくは結局カザフスタン、ロシアを歩いた。

こちらとしても色々と尋ねたい事があった。
何よりサラの事。

ビシュケク滞在時、サラは妊娠していた。

「お産のため里帰りさせていただきます」

日本人ならこんな事を言うかもしれないが、サラは旅中に旅先で出産する事を選んだ。
ビシュケク滞在時、「とりあえずイスタンブールへ向かい、さらに医療水準の高いフランスで出産する」と聞いていた。
それだけに彼らが今イスタンブールにいる事が不思議だったのだが、話を聞いてみて納得。彼女が出産する場所として選んだのはまさかのインド・ゴア。
勝手な先入観ではあるが、インドの医療水準って高いとは思えないのだが、彼ら曰く「ノープロブレム」。
1月に出産し、2週間前にイスタンブールへ着いたらしい。

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遅れてやって来たサラの胸には生後2ヶ月の娘レイラが抱かれていた。
あれから9ヶ月経ち、ビシュケクで出会った夫婦に新たに娘が加わった。

ピーターと再会し、すぐに尋ねられたのは、「タバコはまだ吸ってるのか?」という事。
ヘビースモーカーだったピーターは娘の誕生を機にタバコをやめたらしい。

チャイを飲みに立ち寄ったカフェで泣き出した娘をあやす姿は、9ヶ月前に見られなかった父親の姿だった。
「もうドミトリー(相部屋)には泊まれないよ」と笑いながらピーターは言った。

ビシュケクから9ヶ月。
この間、色々な変化を感じ、触れてきたけど、
彼ら一家に訪れた変化、
新たに娘が加わり、父となり、母となる。
最も嬉しい変化でした。

心からのコングラッチュレーションをもう一度。