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ALKINIST -あるきにすと- 人を信じるという事

人を信じるという事 

「ここまで自分の力で歩いてきたのだから優れた感、本能を持っているのでしょう。それを信じて、「危ないな」と感じたら、良さそうな人でも、信用しない様に」

歩行再開前にある方からいくつかのアドバイスをいただいた。
その一つがこんな感じのアドバイスだった。

確かにここまで21カ国を歩いてきて、時速5キロという人間的なスピードで旅行者の訪れないような小さな町や村を歩き抜けてきて、たくさんの人と出会ってきて、普通の人よりはそういった優れた感を持っているのかもしれません。
何が怪しくて危ないかっていうのを言葉で説明するのはとても難しいのだけれど。
やはりその時々の感であり本能なのだと思う。


その感、本能でいうならば、ジェシーは限りなくグレーに近かった。
のどかなアメリカの田舎を歩いていると後方からクラクションを鳴らされ、興奮気味に車から降りてやって来たジェシー。
この日掲載された自分の記事を読み、2時間探し続けたんだと教えてくれた。

そして彼と出会って5秒もしないうちに「泊まりにこいよ」と。
こちらが「イエス」とも「ノー」とも答える前から「何泊する?2泊、3泊、1週間でもノープロブレムだ」と彼のペースに乗せられていた。

「17年前日本に5年間住んでいたんだ」
「アイアムナイスガイ、ノープロブレム」

彼の口からはどんどんと言葉が飛んでくる。

またここまで送り届けてくれるというジェシーの車に荷物を載せ、リヤカーをすぐ側の家に預かってもらい、彼の誘いに応じたのは、彼が信頼できると判断したからではなく、単純に雨が降りそうだったから。会う人皆から「これから雨だよ」と教えられていて、雨の中歩きたくなく、テントを張りたくなかったから。


彼の家へ車を走らせ始めてから、

「俺はノーアルバイト、無職だ」
「妻も子もいない、一人暮らしだ」

無職・独身という怪しい言葉を聞かされる。
無職・独身は同じなのであまり人の事は言えないのだけど、やっぱ怪しく思います。
ちゃんと働いて、世帯を持ってというステータスって大事ですね。

日本で5年間、英語教師、商社、英語雑誌を作る会社で働いていたと彼は言ったけど、本当は偽造テレカでも売ってたんじゃないのと彼を疑い、「本当に大丈夫なのか」とそんな事を思い始め、少しばかりの後悔も。
本能や感に従うならば、ついていってはいけない人だった。


日本で5年間働き、そのお金で買ったという彼の家。
「スコシオオキイ」日本語で彼はそう言った。

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ジェシー宅に到着。
田舎の家の大半は広い庭を持ち、入口から家が見えないなんて事はよくある話。

でもなジェシー。
これは「少し大きい」じゃなくて「とても大きい」と言うのだよ。

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とても広いリビングルーム、プールにジャグジー、バー。
とにかく広い、でかい。
なんでトイレ・シャワールームが4つもあるのか?

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与えられたゲストルームもこんな感じ。

念のため確認しときますけど、48歳無職独身の一人住まいです。
日本で稼いだ金でこの家を買った彼曰く「Thank you Japan」との事。
しかし無職なのにどうやって生計を立てているのか。
疑問を彼にぶつけてみれば、曖昧な答えしか返ってこず、彼が何者なのか分からぬままだった。


2晩お世話になったジェシー宅。
不安や暗夜懸念は杞憂に終わり、彼を通じてたくさんの人達と出会う事ができた。

「君はいいゲストだった」

一緒にジャグジーに浸かりながら彼が言った言葉。
何を求めるでもなく、ただリラックスする事のみを求め、何かを見るとかよりも、より多くの人に会いたいと言った事が彼にとっては嬉しかったようで。

いやいやジェシー、最初は疑ってばかりだったけど、あなたもいいホストでした。
疑ってごめんなさい。本当にありがとう。

人を信じるという事、見抜くという事、なかなか難しいです。



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ジェシーの友人の画家。

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道を尋ねたら家に招いてごちそうしてくれたニュージャージーの家族。

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<写真>
シャワーを浴びさせてくれたマーケットのマダム。

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<写真>
掲載された新聞を読み、食料やら水やらを与えてくれたり、食事に招いてくれたり。
全てをここに掲載しきれないくらいにとにかく米国人にはお世話になりまくってます。
こんなにももてなされるとは思っていませんでした。

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<写真>
この日3度声をかけてくれたカトリーナ。
面白いおばちゃんだった。