ブックマーク
ALKINIST -あるきにすと- 別れの朝

別れの朝 

慌しく出発準備をしていると、次男のアーソンがやって来て、粘土で作ったカップをくれた。
「気持ちはありがたいけどこれを持ち歩くのもなんだかな」
そんな事を思いながら、困った表情を母・メリッサに向けていると、彼女は気持ちを察してくれたのか、カップを持って去っていった。
しばらくして戻ってきた彼女は、梱包してくれたものを渡してくれ、「割れるから」とかそんな風に断る事ができない雰囲気になってしまった。
忘れたフリをしてどこかへ置いていくのもできず、衝撃が少ない所にカップを入れる。


まだ薄暗い中、スクールバスで学校へ向かう子供達を見送った。
子供達3人と握手して、ハグをしてお別れ。
6才の末娘・ビアータは泣いていた。
お世話になった人との別れは苦手です。
別れ際の涙も好きではない。
けど、別れ際、こうして涙を見せてくれた事に寂しさを感じるのと同時に嬉しく思ったのも確かなわけで。
わずか5日の滞在だったけど、いい家族と出会えたなと思いながら、スクールバスが見えなくなるまで手を振った。


「It's beautiful day」
天気予報をチェックしたお父さん・ジェミーはそう言った。
気温も高いし、天気も良いし、歩行日和だと。

「またどこかで手紙を書きますから」
互いの住所交換もした。


お母さんからは、「昼食時に食べなさい」とサンドウィッチなどを渡され、ジェミーからはカナダドルに米ドル、お餞別をいただいた。
初雪が舞う寒い朝、彼が車を停め、声をかけ、マグカップに入った紅茶を差し入れてくれたのが始まりだった。素敵な家族と出会うきっかけを与えてくれた事に心から感謝する。

そして出勤時、別れの時、涙を流すジェミー。
6才のビアータはともかく、40過ぎたジェミーに泣かれるとは思ってもいませんでした。
「君と過ごした時間はカーティス家の宝物だ」
涙と共にそんな風に言っていただけて、ぼくは何を思えば良いのでしょうか。
ほんと幸せものです。

「本当に素晴らしい経験をありがとう」

心からの感謝を伝え、
「またメールなり手紙を書くから」と、
「またいつでも会えるさ」と、
手を振りながら彼の車を見送った。
車が見えなくなる頃、ブーっと彼の車のクラクションが鳴り響いた。


ここまでしておいて未だにカーティス家にいて、6泊目を迎えてしまったなんて口が裂けても言えません。



IMGP9699_convert_20101028084247.jpg

一応いつでも出れる状態。