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ALKINIST -あるきにすと- なるほど

なるほど 

なかなかシュラフから出る事ができない。
体をシュラフの中に入れたまま、テントのジッパーを下ろせば、一瞬で眠気を吹き飛ばせてくれるようなひんやりとした空気が入ってくる。
テントから顔だけ出して、空模様をうかがえば、まだ暗い6時半、満天の星空が空一面に広がっていた。

「今日は晴れだ」

そう確信し、テントを片付け、まだ薄暗い中、歩行を開始する。
意気揚々と出発したものの、あれだけ星がきれいに見えたはずの空は次第に怪しげなどんよりとした雲に覆われ始め、パラパラと雨が降り始め、その後は雪へと変化。

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この写真では分かりにくいのだが、この辺りかなり吹雪いていた。


雨、雨、雪。

3日連続の悪天候。
こんなにも天候に悩まされた事はこれまであっただろうか。

雨や雪に打たれる毎日。
毎日のように体を濡らし、いつの間にか風邪をひいて「ゴホゴホ」と咳をしながら歩いて、雨や霜で濡れたままのテントに横になる日々。

2日目だったか、すぐに止むだろうと思った雨は全く止む事はなく、すでに体は濡れているし、今更レインウェアを着用したところで意味はないと、そのまま冷たい雨に体を震わせて歩いていたのだけど、なんかずいぶんと楽しく感じられて。

延々と続く山道、延々と降り続ける雨。

楽しい要素なんて何一つないのだけど、灰色の空から落ちてくる雨を顔に受けながら、「楽しいな」とそう思ったのです。

それは、

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百数十キロ手前の町で初めてカナダへの標識が現れたからでも、

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国境まで50マイルに迫ったからでもなく、
なんなんだ、なんでこんなに楽しいんだと、考え続け、思い出したのがこの言葉。

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全力投球で自分のやりたいことやることは楽しい事である

初めてこの言葉を見た時の感想っていうのは「そんなん当たり前じゃねーか」というものだったけど、激しい雨が吹きつける中、この言葉を自分なりに解釈できた気がします。

カザフスタンの無人地帯で車輪がダメになった時、ブルガリアで凍傷を負った時、アルバニアの山々に苦しんだ時、飽きっぽく何かとあきらめがちな自分がそれでも歩き続けてきたのは執念であり信念だと思ってたけど、なるほどこういう事かと。

シンプルだけど実に深い言葉だと思います。