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ALKINIST -あるきにすと- 国境で待ち受けていたもの

国境で待ち受けていたもの 

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国境が近付いている。

この先を左折、そのまま30キロも進めば、そこはカナダ。
フィラデルフィアを出た時は遥か彼方だったカナダはもう目の前。

思えばいつもこんな感じ。
出発時こそ遥か先と思われた場所も一歩一歩、足跡を刻んでいけばいつの間にか目指していた場所に着いている。
ユーラシア大陸横断にしても580日、16000キロとそんな数字を見れば大きいなとも思えるのだけど、イマイチ実感がわかないのは、一歩一歩をただひたすら繰り返してるだけでしかないからかな。

少しずつ暗くなり、歩ける距離も知れているけど、少しでも距離を縮めておきたく、一歩一歩、いつも通りの事ではあるけど、さらにペースを上げて進む。

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そんな時に歩行停止を指示し、パスポートの提示を求めたのがこの車。
車体には「BORDER PATOROL」の文字、やって来たのは防弾チョッキを着用し、腰に銃や手錠を装備した男。

「どこへ向かっているのか?」

簡単な職務質問を受けた後、

「この車の写真を撮ってもいい?」「もちろん」

勝手に写真を撮って捕まるなんて絶対に勘弁してほしいので、慎重に彼の許可をいただく。
米国って警官に触っただけで公務執行妨害になるような国なのです。慎重に、慎重に。

そんな心配は結局のところ無用で、写真を撮り合い、メールアドレスまで交換してフレンドリーな彼と別れた。

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この日のうちに国境へ辿り着くのは不可能で、薄暗くなった頃、歩行を終え、林の中、濡れたテントで米国最後の夜を過ごした。

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翌朝、再び現れたBORDER PATOROL。
「昨日も別の職員にパスポート見せたけど」
とりあえずそう伝えるも、無線で本部にパスポート番号やらを伝える。
すぐに解放されるも、リヤカー引いて歩く姿ってそんなに怪しいのかと。
多分怪しい。

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国境までの距離は20数キロ。
いつもは全く気にならないけど、目指していた場所に近付けば近付く程、時間とか距離とかが気になって気になって、何度も時間を確認したり、いつも以上に遠く感じられた20数キロだった。

両国の間を流れる川が国境の役割を果たしていて、そこには橋が架かっていた。
橋の手前には小さな建物があって、時折通過する車はその横を通り、橋を渡っている。
ここで出国スタンプあるいはパスポートの提示が必要なのだなと思い、リヤカーを近くに置き、建物へ向かった。

国境施設と思われたその小さな建物は実はただの料金所で、男と女、2人の職員がここを通過する車から料金を徴収していた。当然パスポートの提示も必要ない。
何気なく「歩いて渡っていい?」そう尋ねた時、料金所の男は何をしゃべるでもなく、無言で橋の手前に立てられた標識を指差した。

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・・・・・。