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ALKINIST -あるきにすと- 北へ

北へ 

前回の続き

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川を越えればそこはカナダ。

イミグレオフィスに向け歩いていると、訝しげな顔でこちらを見つめる職員がわざわざ建物の外まで出てきて出迎えてくれた。
パスポートを見せ、「怪しくないですよー、健全な日本人旅行者ですよー」とアピール。

そしてもう一つ。
実はアメリカ滞在中、アメリカビザ取得と共にカナダビザ取得にも動いておりまして、カナダ大使館からメールで送られてきたレターを提示する。
建物に通され、今後のカナダでの予定やオタワでの滞在先、あるいは所持金の確認を受け、30分程で入国スタンプが押されたパスポートとワークパーミットを渡された。

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冬季歩くか確かでなく、越冬した場合、6ヶ月というカナダの滞在期間で太平洋まで辿り着くのは不可能。
その場合、延長も可能なのだけど、銀行の残高証明が必要だったり、時間がかかりそうな事から、あらかじめ1年滞在可能なビザの取得を考えた。
ワーキングホリデービザってやつです。ホリデーメインですが。

しかしカナダ大使館、仕事早過ぎです。
アメリカから申請書類などを日本に送ったのが10月4日、日本からビザ代の振込みなどを済ませ、書類を大使館に送ってもらったのが14日、カナダ大使館からメールが届いたのが22日。1ヶ月以上は絶対にかかるだろうと思っていたのだが。

これで約1年の滞在が可能になり、太平洋まではビザに悩まされる事なく歩ける事となった。

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そして始まった22カ国目カナダの歩行。
ルート416を北へ、首都オタワへ向け、歩き始める。

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過去3日の悪天候から一転、とても気持ちのいい青空が広がっていて、道脇に設置されたオタワへの距離標識を確認しては到着日などを計算。

この感じだと明後日の昼頃か、そんな事を思いながら歩いていた時だった。
背後からパトカーがやって来て、スピーカーで停止の指示。

「ここはハイウェイだ、なんで歩いてるんだ」

車を降りて来た警官はそう言った。

「この道歩いちゃダメなの?」
「ダメだ」
「じゃあオタワへはどう行けばいいの?」
「知らん」

こちらとしてみれば、国境の前の道をひたすら歩いていただけなのだが、よく考えてみれば、歩行者もサイクリストも渡る事のできない橋からの道なわけで、その道が歩行不可なハイウェイだったとしても何ら不思議はない。

さすがに抵抗するわけにはいかず、幸いにも200メートル手前に小道があった事を思い出し、そこからハイウェイを抜ける事を彼に告げ、ハイウェイ脱出。

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どこへ至るのか全く分からぬ小さな砂利道を1キロ程進むと、これまたよく分からぬ舗装路へと辿り着いた。

ここは一体どこなんだ。

橋を渡っている時から続いていた緊張感、不安もいつの間にか消えていて、気付かぬうちにハイウェイを歩いていた事を今更ながらおかしく思い、またよく分からぬ道に辿り着いた事、この道を歩かざるを得ない事に、ああこれが自分の旅なんだなと思う。

どこへ至るか分からぬ道。
少しずつ傾いていく陽の方角が西なら、じゃあ北はあっちだと、どうにでもなれと思いながら歩き始めた。