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ALKINIST -あるきにすと- こういう出会いもありだと思います

こういう出会いもありだと思います 

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これから目指すはエドモントン。その距離およそ1400キロ。
ルート1を少し歩いた後は延々とルート16の歩行。

トロント・サンダーベイ間と同距離であるものの、さすがに1400キロは気が遠くなりそう。
なので当面はその間に位置するサスカトゥーンを目指しての歩行。
サスカトゥーンへも800キロ超なのだけど、不思議なものでそんな遠くには感じられない。おそらく常人と比べ相当距離感覚が麻痺していると思われる。
日本に帰った後も100キロとか200キロ程度なら車を使わずに普通に歩いて出かけてしまうんじゃなかろうか。

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マニトバに入ってからルート1になったのだけど、それまでサドバリーからの約1500キロはルート17を歩いていた。
強烈な陽射しを浴びながら、時には激しい雨に打たれながら、日の出から日没まで、およそ1ヶ月もの間この道を歩き続けた。

オンタリオ・マニトバ州境近くで車が停車して話しかけられたのだけど、なんとこのドライバー、サドバリー付近で自分の姿を見たのだとか。
それから約1ヶ月後に1400キロも離れた場所で相変わらず歩いている姿に驚き、「お前何やってんだ」と尋ねずにはいられなかったらしい。まあそりゃそうかも。


彼以外に歩行中の姿を何度も目撃しているのが、このルート17を走るトラックドライバー。
このドライバー達がどこから走りどこへ向かっているかなど知る由もないけれど、この道はカナダを横断する主要道路の一つ、カナダ最大の都市トロントへと至る道路なのでトラック、トレーラーを運転するドライバーはこの道を毎日の様に走っている。

そんなドライバー達がぼくの歩行姿を1ヶ月の間に何度も目にしたのはごく当然の事で、連日何台ものドライバーから「ブーブー」とクラクションが鳴らされ、手が振られた。
彼らが通過するのはほんの一瞬の事、彼らの顔も見えなければ、どこへ向かっているかも知らない。
でもぼくはそんな彼らからのエールがとても嬉しくて、クラクションが鳴らされる度に手を上げた。

町どころか店さえもなく、誰と会う事も話す事もなく森の中を60キロ歩いただけで1日が終わる事も何度かあり、「もう歩きたくない」と考えた事も何度か。あまりにも退屈でした。
そんな時、森の中に響く「ブー」というクラクション。一瞬目にする彼らの手。
その度に「さて頑張るか」と思い、彼らからはたくさんのパワーをいただいた。

ウィニペグが目前に迫った日、いつも以上に多い10台超のトラックから「ブーブー」とクラクションが鳴らされたのだけど、もしかしたら餞別のクラクションなのかなと思った。
マニトバの州都ウィニペグを発着しているドライバーも多いだろうし、別れのクラクションなのかなと。あるいはウィニペグ到着を祝してくれるものなのかもしれないけど。


ルート17はたくさんの出会いを与えてくれた。
サイクリストや現地人との出会いはもちろん、話した事もなければ顔さえもよく見えないどこへ向かっているかも分からないドライバーたちとの出会いも。

とりあえず、連日「ブーブー」してくれた彼らに言いたいのは、

「ナイストゥミーチュー。楽しい日々をありがとう」