ブックマーク
ALKINIST -あるきにすと- Coober Pedy

Coober Pedy 

終わりが見えた250キロの無人地帯。
前夜はCoober Pedyまで34キロ地点にテント。
歩けば7時間、13時頃にも到着できるはず。
しかし長かった無人地帯からの解放を前に気持ちは昂り、少しでも早く町へ着きたかった。
朝4時、暗闇の中ライトを頼りにテントを片付け、いつもより2時間も早く歩き始めた。


夜間とか未明とか、こんな時間に歩くのは過去に2度。
補給箇所は数箇所あったけど、350キロもの無人地帯が続いた新彊ウイグル自治区。
ハミが目前に迫った夜。興奮のせいか眠る事ができず、数時間休んだ後、深夜1時から歩き始めた。
さらには寒い12月、オタワからトロントを目指していた時。
いずれも今回同様、目的地に早く着きたいという強い気持ちがあった。

そして3度目の今回。
車が来る時以外はあえてライトを点けずに歩いた。
闇の中であっても路側帯、道路中央の白線は浮かび上がり、歩くのには問題なし。
時折通過する車のヘッドライトを除けば、周囲に光はなく、空を見上げれば満天の星空。
この環境はとても贅沢なもので、わざわざ光を発するなんて愚かな事だと思った。
景色も見えず、退屈かなと思っていたけど、そんな事は杞憂に終わり、空を見上げ、何度も落ちていく流れ星を目で追った。

IMGP1496_R.jpg

予定通り7時間でCoober Pedyに到着。
ここはオパールの採掘で有名な町というのは知っていたけど、今尚掘られ続けているとは知らなかった。
遠い昔の話だとばかり思っていたのだが、道脇には採掘の際に積み上げられた土、重機が並ぶ。

IMGP1491_R.jpg

前日から何度かこんな看板が現れていたけど、納得。

IMGP1506_R.jpg

250キロの無人地帯の先に現れた小さな町。
ポートオーガスタ以来500キロ振りに現れた町だった。
終わった、終わった、終わった。長かった250キロが終わった。
喜び以外の感情はなかった。

町に入り、まず最初に感動したのが規則的な間隔で並ぶ街灯。
文明社会に戻ってきたと思った。
長く、過酷だったカザフスタンを歩き抜き、ロシア・アストラハンに到着した時もオレンジ色の光を灯す街灯にすごく感動した事を思い出した。

町の規模としては決して大きくはないけど、スーパーマーケット、リカーストア、宿もあり、無人地帯の中にあるオアシスだった。
実際ポートオーガスタからの500キロ、さらにこの先アリス・スプリングスまでの700キロ、この規模の町は存在しない。間違いなくオアシスなのである。


久々の町に興奮しながら宿へ向かい歩いていると異様な光景、雰囲気があった。
建物の陰に座り込んだ数人のアボリジニ。時には酔いつぶれたかのように横たわり、ハエがたかろうが全く気にしていない様子。
そんなアボリジニが少なくなかった。

ここまでアボリジニと接する事はなくて、ポートオーガスタで少し見かけたくらいだったのだけど、「なんなんだこいつら」というのが最初の印象だった。

「アボリジニに気を付けろ」
メルボルンから歩き始めた時にかけられた言葉を思い出した。
この町で目にしたアボリジニは普通ではなかった。
もちろんスーパーなどでしっかりと労働しているアボリジニもいるんだけど、自分の目にそう映ったのも確か。
注意するに越した事はない。

IMGP1513_R.jpg

現在はこの町の目玉の一つである鉱山跡を利用した宿に滞在中。
地下へと進んでいけば、薄暗い廊下が伸びていて、その脇に洞窟の様な部屋がいくつもある。この名物宿でアデレード出発以来初めてシャワーを浴び、ビールを飲み、がっつり食べる。
当初は1泊だけのつもりだったけど、写真のデータ整理や2週間分の洗濯など、意外とやるべき事は多かったし、何より少し疲れていたので延泊。昨日と合わせ1日半を休養に充てた。

当面の食料も揃えたし、また明日から無人地帯へと戻る。