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ALKINIST -あるきにすと- Banka Banka

Banka Banka 

前方、遥か先に小さな影が見えた。
その大きさから車でない事は明らか。
そのスピードからバイクでない事は明らか。

「もしかしたら」と思い、胸が高鳴る。
そしてさらに進み、その影が大きくなった時、それは確信に変わった。
道路の端をゆっくりと進むサイクリストの姿。しかもその影は2つ。



ダーウィンからアデレードまで豪州縦断中の台湾人。
アリススプリングスからビクトリア州へ走っているという現地人サイクリストはいたけど、大陸縦断系は初めて。

「どこで眠ってるの?」「1日何キロ歩くの?」
そんないくつかの質問に答えたり、10分程立ち話。
そして別れ際に彼らは言った。

「バンカバンカへ行くといいよ。サイクリストは無料でテントを張れたよ」

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長い無補給区間を歩き抜いた先にガソリンスタンドやバー、レストランなどを兼ねたロードハウスが現れ、ここで水の補給をしたり、久々に人と話したり、まさにオアシスの様な存在。


南オーストラリアでは最大250キロ、それ以外にも200キロ、180キロなど、長い無補給区間があり、ロードハウスに辿り着く度に冷たいビールを飲み、祝杯をあげていたのだけど、ノーザンテリトリーに入ってからは頻繁にロードハウスが現れ、無補給区間は短くなり、以前と比べたらかなり楽な環境になった。

ピンバ以降の南オーストラリアのロードハウスは名前や景色など鮮明に覚えているけど、たいした苦労もなく辿り着いたアリススプリングス以降のロードハウスは記憶が薄い。名前すら覚えていないところもあるから。


バンカバンカでは給油はできないみたいだけど、キャラバンパークがある。
水は補給できる環境だろうけど、キャンプ場にお金を払ってテントを張るという事は基本的にはしたくないので寄らないつもりでいたのだが、無料でテントを張らしてくれるのならそれはとてもありがたい。

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この日はバンカバンカまで歩く事に決め、夕方に到着。

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ガソリンスタンドもないしレストランもないし、どうせ客の少ないしょぼいキャンプ場だろうなどと思っていたら、敷地内にギッシリとキャンピングカーが駐車していて、あまりの多さに正直驚いた。
ここは個人所有のオアシス地で、家の敷地を開放している。
一体何の魅力があって、何を求めてここにやって来るのか、当初自分には全く理解できなかったけど、オーナーの人柄なのかなと思う。


「無料で泊まれると聞いたのですが」などとストレートに言いにくいので、「ここにテントを張りたいのですが、いくらですか?」と尋ねてみれば、リヤカーを見たオーナーは「フリー」と言った。

そして「水を飲むか?」とオーナー。
十分な量の水を携帯していたので、その事を伝えれば、「でも冷たい水は持ってないだろ」と言い、ペットボトルに入った冷水を渡してくれた。

暑い中60キロ近く歩いた後に飲む冷水。うまいに決まってる。
ありがとう、オーナー。

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「そこら辺にテントを張りなさい。シャワーとトイレはそこ」

オーナーに案内してもらいテントを張った。
前日にテナントクリークでシャワーを浴びたばかりだったけど、歩行後に汗を流すのはとても気持ちが良かった。

ありがとう、バンカバンカ。

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翌日。
2日連続でサイクリストと遭遇。
オーストラリア1周中のイングランド人ダン。
着てるシャツは汚いし、汗臭い。
しかし汚さと美しさは紙一重とでもいうのか、嫌いじゃない。

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ダンと別れた後、10分くらい遅れてやって来たダンの友達。
名前は忘れた。臭い。

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「君ら臭いからバンカバンカへ行きなさい」

あまりに臭いんでバンカバンカを紹介しておいた。