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ALKINIST -あるきにすと- Katherine

Katherine 



アリススプリングスにいたのってほんの少し前にも思えるけど、キャサリン手前で後ろを振り返り、アリスへの距離標識を見て、「けっこう歩いたなー」と思う。
アリス出発から22日目、約3週間を費やしてのキャサリン到着。

マタランカ付近で同じように後ろを振り返り、アリスからの歩行距離が1000キロを超えている事を知った時、「単調で退屈な景色が続く日々の中、自分は一体何を励みに、何をモチベーションに歩いているんだろう」と自問した。


次の町やロードハウスに辿り着く事を目指し、歩行後にテントで飲むぬるいビール、あるいは夜に飲むコーヒーが毎日の数少ない楽しみでモチベーション。

そして何より早くこの環境から、この国から脱したいと考え歩き続けている。

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延々と続く単調な景色。
こういう変化のない景色が何百キロ、千キロ超に渡って続いているっていうのは確かにすごいけど、まあそれだけで、豪州に来てから感動した事など1度もないし、息を呑む様な鳥肌の立つ様な景色と出会った事などない。

実際にこの環境に身を置いてみれば多分3日で飽きるはず。
ぼくは半日で飽きました。
そしてその後2ヶ月もこのつまらない景色の中を歩き続けている。


いやこれ本当にクソッタレなんですって。
毎朝4時半から12時間も延々と続くこの単調な景色の中を歩き続けるという日々。
何度か緩やかなアップダウンもあったけど、そんな変化は嬉しくない。
楽しみなき日常。何のために歩いているんだろうって何度も自問した。

歩かなきゃ終わらないから歩き続けているけど、テナントクリーク手前で遂にキレてしまい、「もうええわ」とブッシュにテントを張り、翌日も一歩も歩かず。
その後はテナントクリークを経てキャサリンまでまた休みなしで歩き続けたけど、ストレスが半端ない。


そんなストレスは今に始まったことではなくて、アリススプリングスに到着した時、こんな環境から得られるものなどないと思い、まだ半分以上も行程が残っている事を嘆き、もう終わりにしたいなとすでに思っていた。
これがもし豪州大陸単体としての縦断だったら投げ出していたかもしれないけど、地球一周の過程であるので投げ出したくなるのを堪えた。
2009年の上海出発以来、黙々とひたすら歩き続けてきたけどこんな精神状態に陥るのは初めての事だった。

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ここを歩いて得られるものは多くないけど、ダーウィンが目前に迫った今改めて考えてみると、「3千キロに及ぶクソつまらない環境下での歩行に耐える事ができた」なんていうよく分からぬ精神的強さを得られるのかもしれないし、時間が経てばこの自然、ここでの経験に対する考え方も変わってくるかもしれないけど、今はとにかく早く終わらせたい。



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豪州内陸はロードトレインという大型トラックの荷台部分を3~4つ連結させたトラックが走っている。
たまにひどい運転の奴もいるけど、2ヶ月もこの道を歩いているんで、自分の事を何度も見かけているであろうドライバーは対向車がない時はセンターラインをはみ出して走ってくれる。そんな時はありがとうと手を挙げ感謝の気持ちを伝える。

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北上するにつれ、少しずつ景色も変わってきたけど、変化のない景色という点では全く変わらない。

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マタランカ・キャサリン間ではワラビーの轢死体が多かった。
道脇を腹這いに進むワラビーがいた。血は見えなかったけど、もしかしたら車と接触し、足がダメになったのかもしれない。近付くと威嚇された。