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ALKINIST -あるきにすと- トラウマ

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トラウマ 

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ビューフォートウエストを出発後、5日目辺りから前方に山々が聳え立った。
タンザニアの山越え以降、単調で退屈な景色がずっと続いていたので、景色を楽しみながら歩くのは久々な気がする。
何度も足を止め、写真を撮りながら歩いていたら、「この先は危険だからカメラを出すな」と青年が忠告してくれた。
よく見ると坂の下の方に家々が見え、目を凝らせば粗末なバラック小屋である事が分かり、カメラの入ったバッグをジャケット下に隠す。

たいていこのスラムのような居住地は町の端にあり、何かあったとしても町へ行って助けを求める事ができるのだが、ここはなぜかこのスラムだけがぽつんとあり小さな村を形成していた。
ここで何か起こればどこへ助けを求めればよいのだろう。
路上を走っている車は面倒な事を避けるため助けてくれないと思った方がいい。こんな時に限ってパトロールの警察車両も見えない。


路上では数人の男が等間隔に立っていた。
ヒッチハイクしているように見えたが、彼らの手にはブドウがあり、それを売るために車を止めようとしていたのだった。

DSC_4877_R.jpg

この辺りはワインの産地であり、道の両脇にブドウ園が続いているのだが、「泥棒が売る盗品のブドウに注意するように」という看板を目にした。
彼らがブドウの生産者であるはずはない。生産者から委託されて売っているのか、それとも盗んだものなのか、定かではないけれど後者の可能性が圧倒的に高いだろう。

バラック小屋の前ではガラの悪そうな男達がこちらをじっと見つめている。
「引き返したい」と思いながらも、その思いに反して足は前へ進む。できる事なら駆け足でこの場を立ち去りたいけど、逆に彼らを刺激してしまうだろう。
心臓を激しく鼓動させながら早足で「襲うなよ、襲うなよ」と念じながら早足で進む。
無事にここを通過した時の気分はどう表現したらよいのか分からない。生還した気分だった。


強盗被害に遭った後、例え日中であっても路上で誰かとすれ違うのが怖くなった。
前方から歩いてくる人影が見えたら強盗被害時の記憶がよみがえり、逆車線へ移動する。
唯一の武器である三脚はビューフォートウエストを出て以来、いつでも手に取れる場所に置いている。
不穏な空気を感じたら威嚇の意味も込めてそれを手に持つ。

あの強盗事件がすっかりトラウマになっている。
ていうかこんな国を歩くべきではないです。
失業率30パーセント、殺人事件は日本の110倍。
いくら気を付けていても運が悪ければ普通に襲われます。

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