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ALKINIST -あるきにすと- プエルト・ナタレスへ

プエルト・ナタレスへ 



前方にバスが停車していて、人影が見えた。
人影は道路の真ん中に立ち、たまに通る車を止めているようだった。
バスの故障だろうか。時間のない乗客がヒッチハイクをしているのかもしれないなと思う。
何かを請うているように見えた。

バスの近くに達したタイミングでさらに数人現れる。
顔にはペインティングが施され、普通の人達でないのは明らか。ペインティングによって素顔を隠した新手の強盗だろうか。
南アフリカで強盗被害に遭った時の記憶が蘇り、動悸が高まっていく。
交通量も少ないこんな所で強盗被害に遭えばお手上げだ。
「チリって治安が良い国でなかったのか」と思いながら、近付いてきた男に「オラ」とフレンドリーに挨拶する。
男は握手を求め、ハグをしてきた。その隙に財布をすられないかとポケットにも注意を払う。

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しかし実際のところは全然普通の人達でサーカスの宣伝をしているようだった。車が通過する度に停車させ何やら話しかけている。
なぜこんな平原のど真ん中でと思ったのだけど、チャリティーウォ―クでプエルト・ナタレスからプンタ・アレナスまで歩いている事を後で知った。募金箱を手にお金を集めながら歩いているらしい。

彼らは「飯食っていけよ」とジェスチャーで示し、バスを指差した。

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食事は別にいらないのだけど、水を補給させてもらおうとバスへ向かうと、「飯食っていけ」とテーブルに食事が用意されてしまった。ラーメンの予定だった夕食が一転して豪華になった。
デザートのフルーツ、食後のコーヒー、さらに去り際にはパンやチキンを持たせてくれた。

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スムーズにいかないところがややもどかしいのだが、いつもの様に会話帳を片手にコミュニケーションをとる。
「チリといえばあれだ」と閃き、「コパ・アメリカの優勝おめでとう」と伝え、コロコロやチリのサッカー選手の名前を出せば随分と喜んでくれた。
ロドリゴと名乗った男は日本語で名前を書いてくれと言い、それに応えれば子供の様にはしゃいでいた。

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その後しばらく歩いたところでテント。小屋は見当たらず、道脇には延々と柵が張り巡らされているので、なかなか良いテント設営場所は見つからなかった。
テント本体は同じものだけど、トレッキング用に持ってきた軽量フライシートに変えてみる。

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DXフライに比べ前室は狭くなった分、居住性はやや劣るが、携帯性を考えたら全く問題なし。DXフライと同じ色なら完璧なのだが。

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翌朝、出発準備をしていたらキツネが現れた。

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荒涼とした景色には青空よりどんよりとした灰色の雲が似合う。
世界の果て感を演出してくれる。

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そしてプンタ・アレナスから歩くこと4日半、プエルト・ナタレスへ到着。