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ALKINIST -あるきにすと- ウルルン1日目

ウルルン1日目 

無人地帯。

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国道から外れてしまい、悪路を進む。
時には砂漠に残された轍の上を歩きながら。
砂の中に沈んだタイヤ、リヤカーを引く手にも力が入る。
目指す町は40キロも先、周囲には砂漠が広がり、町はもちろん、宿も商店もない。

「今日もテントか」

そんな事を思い、テント設営地を探す中見つけた3つの大きなテント。

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テントの主はこの地で暮らすカザフ人。
隣にテントを張ることを快諾してくれ、彼らとのウルルン生活が始まった。

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電気もガスも水道もない環境、収入源であるラクダの放牧をし、昔ながらの生活を続ける彼らの暮らし。
彼らにとっての日常が自分にとっては非日常、
見るもの全てが興味深く、新鮮なものであった。

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二十頭を超えるラクダが放牧先から戻ってきた。
その周りをうろちょろしていると、
「危ないぞ」「蹴られるぞ」
と、彼らの声、ジェスチャーで示してくれた。
どうやらラクダの後ろを歩くのは大変危険な様で。

彼らの日課、
放牧後の乳搾り。
ラクダからミルクが取れるとは知らなかった。
この様に後脚をロープで縛り、乳を搾る。

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その後飲ませてもらったラクダミルク、
数日置いて発酵させたものなのか、酸味があり、ヨーグルトの様。
一杯飲み干すとすぐに二杯目が注がれる。
腹は大丈夫だろうか、そんな事を思いながら二杯目も飲み干した。

電気がなく、暗いテント内で野菜を切る若奥さん。
不便だろうと、バックパックに入れたままになっていたロウソクを10本提供。
ガスもない彼らの生活、
テント周辺の枯れ枝を集め、燃やして調理する。

3つあるテントの1つがリビングダイニングになっており、2本のロウソクが灯す暗い中、彼らと共に料理を囲んだ。

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主食はナン、大皿に入った料理を皆で食べる。
「もっと食え、もっと食え」
と料理を勧められ、もてなしてくれた。
その後、彼らの友人達がやって来て、延々と宴は続いた。

ゆったりと流れる時間。
そんな時に思い出すこの言葉。


星野道夫 「旅をする木」

「ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、
もうひとつの時間が、 確実に、
ゆったりと流れている。
日々の暮らしの中で、
心の片隅にそのことを意識できるかどうか、
それは、
天と地の差ほど大きい。 」


出発の地・上海、
あの時はこんな生活がある事を考えていただろうか。
4500キロ歩き、こんな時間を過ごす事を考えていただろうか。

高層ビルが乱立、多くの人、車が忙しく行き交う大都会。
そんな所に身を置けば、余裕を失い、考えられなかったはず。

東京や上海の人達がマクドナルドやファミレスで時間を過ごす一方、
ぼくらはロウソク2本が灯すテント内でナンを片手に料理をつまむ。

今後、日本に戻り、元の生活に戻ったとしても、
彼らは毎日ラクダの放牧に出かけ、彼らの日常は続いているわけで。
日本で過ごす時間もカザフ人達と過ごす時間も平等なもの、同じものであるにも関わらず、イマイチ実感が湧かないのはなぜだろう。

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料理をつまみながら、ふとそんな事を考え、面白いなあと思った。
そして同時に、彼らと同じ時を共有している今という時に幸せを感じた。