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ALKINIST -あるきにすと- La Gramita

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La Gramita 



彼らに声をかけられたのは2日前の事。
お菓子の差し入れと一緒にクシャクシャのレシートの裏に彼らの住所を書いて手渡してきた。住所といってもハイウェイ沿いに1キロごとに設けられたマイルストーンの数字。
夕方頃の到着ならテントを張らせてもらおうと思ったけど、到着は翌々日の昼頃になりそうなので素通りだなと思う。

そして翌々日。
素通り予定だったものの、携帯している水の量が不安だったので、彼らの元を訪れ水の補給をさせてもらおうと考えた。

DSC_8338_R.jpg

砂漠地帯に突如現れた建物。あそこに彼らが住んでいるはず。

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347キロ地点。

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集落があってそこに彼らが住んでいるものと思っていたけどレストランだった。
渡された紙をよく見れば確かにレストランと書かれている。

その紙とデジカメで撮った彼らの写真を奥さんらしき女性に見せると、ニコリと微笑んだ彼女はテーブルに案内してくれた。
オーナーのクレメンテさんは不在だったが、すぐに戻ってくるとの事だった。
そしてノートを渡されたのだけど、そこに目をやれば体に電気が走ったかのような衝撃を受けた。

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ノートを開けば池田拓さんによる書き込みが1ページ目にあった。
池田さんは徒歩で北米大陸横断、南米大陸縦断をされた方。
今から10年ほど前、徒歩行の前例について調べていた時、彼の名前を見つけたのだけど、帰国後に仕事中の事故により他界されていた。
当然面識はないが、まさかこういう形でお会いする事になるとは。

池田さんがこのレストランを最初に訪れた旅行者らしい。
日付は1990年8月。
26年前に池田さんもこのルートを歩き、このレストランを訪れていたのか……。
感動と驚きで鳥肌が立った。

sekino_R.jpg

3ページほどめくればグレイトジャーニーの関野吉晴さん。
池田さんに関野さんって、何だこのレストラン。凄すぎるぞ!
なんて思っていたら横から声がかかる。

「2人のサイクリストとすれ違わなかった?」 「女性2人なら昨朝見ましたけど」
「そう。彼女達もここに寄って行ったのよ」と奥さん。


どうやらサイクリストや徒歩旅行者を招き、無償で食事を与えてくれるレストランらしく、魚のフライが運ばれてきた。
そういえば世界を走って旅しているアイルランド人からそんなレストランの存在を教えられていたけどここだったのか。
このレストランを訪れた旅行者が書き込んだゲストブックは4冊あり、読み進めていく。

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次に目が留まったのはチリ・プンタアレナスからロンドンまで人力のみで向かっているカール・ブッシュビーによる書き込み。
1998年より歩き始め、ゲリラがウジャウジャいるコロンビア・パナマ間の危険地帯ダリエンギャップを徒歩で越え、アラスカからロシアまで凍結したベーリング海を歩いて渡り、不法入国で捕まって裁判を受け、今尚歩き続けているカールは最も尊敬する徒歩旅行者なのである。
これまで南米を歩いてきても、彼の旅の軌跡に触れる事は全くなかったが、ようやく出会えたなと思う。

とりあえずメールでこの写真を送ったら、゛Bahahahaha”と爆笑し、喜んでくれた。
そして彼は言った。 
「I miss that desert(砂漠が恋しい)」

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ランナーか徒歩旅行者。

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バンクーバーからブエノスアイレスまで走り、今年1月にゴールしたジェイミー・ラムジー

日本人サイクリストの書き込みもあり、見覚えのある名前がいくつかあった。
しばらくしてクレメンテさんが帰宅。

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ゲストブックに書き込むよう言われ、ここを訪れた963番目の旅行者となった。
南米大陸徒歩縦断という非常に狭い世界ではあるけど、その系譜に自分の名前が刻まれたかのようで気分が高揚してきた。

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感謝の気持ちを伝え、レストランを後にすれば、心なしか力がみなぎっている気がした。
延々と続く砂漠地帯は単調だけど、池田さんやカールが歩く姿を思い浮かべれば、見慣れた景色もなんだか新鮮に思える。
池田さんがここを歩いてから26年。様々なものが変化し発展してきたけど、この褐色の世界は何ら変わっていないはずだ。そんな事が嬉しくもある。

自分の信じる道を突き進もうと改めて思った。

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