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ALKINIST -あるきにすと- Puerto Obaldia

Puerto Obaldia 

コロンビア・パナマ間は陸続きであるものの、その間にはダリエンギャップと呼ばれるジャングルがあり、アラスカからウシュアイアへと続くパンアメリカンハイウェイもここだけは途絶えている。
10数年前に英国人がここを徒歩で越えているし、サイクリストが通過した前例もある。
以前その英国人カールにダリエン越えの事を尋ねたところ「いくつもの川を越え、とてもハードな行程だった」と彼は言った。
徒歩で道なき道を進む事も可能といえば可能だが、ダリエンにはコロンビアゲリラが潜伏し、リスクは高い。あと多分違法だと思う。


人力にこだわりカヤックで海を渡る事も考えた。

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昨年、知人のチェコ人が自転車をカヤックに積み込んで挑戦した。
パナマからコロンビアを目指している途中、嵐に巻き込まれ、カヤックがひっくり返った結果、パソコンや過去数年の旅の記録が入ったハードディスクを失ったらしい。結局彼はコロンビアに辿り着く前に現地人に助けられた。

このカヤックによるカリブ海越えはとても魅力的だった。
できるかどうか分からない、そんな難題に挑戦心がメラメラと燃え上がるのを感じた。
久々にやる気が漲り、モチベーションはどんどんと高まった。赤道で歩くのをやめ一度は切れていた気持ちを再びつなげられたのはこの挑戦心があったからに違いない。

歩行再開前の1カ月、色々なところに連絡を取り、カヤックが手に入る寸前のところまで辿り着いたが、いくつかの現実的な問題があった。
コロンビアに入国後も引き続き考えたのだが、結局断念する。今もわずかながらもやもやとした気持ちが残ってはいるのだけど、強行しても残念な結果になっていたに違いない。


残された選択肢は動力を使っての空路と海路。
4月上旬にパナマまで130ドルという安いチケットもあったが、海路を選ぶ。
同じ動力を用いた移動でも距離感を感じられると思うので。

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南米大陸縦断を終え、トゥルボで1日休養を取った後、パナマへ船で渡るため港へ向かう。
まずはトゥルボからイミグレーションのあるカプルガナへ。

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チケットは購入済みだったが、問題はこの荷物の多さ。
リヤカー、食料も含め70キロもあり、積み込むスペースがない事を理由に1艘のボートに乗船を拒否された。

「100ミル(約35ドル)を荷物代として払え」と港の職員は言うのだが、人間1人の運賃が60ミルなのに高過ぎる。「25ミルまでしか払えない」と拒否。
もう1艘のボートがあり、この職員が交渉、「金を払っちゃえよ」と別の男も言ったけど、「何とかなるだろう」と楽観していた自分はあえてこちらから何も言わず、傍観していた。
港を離れていく2艘目のボートを眺めながら、「カプルガナへ向かうボートはどれ?」と職員に尋ねたら、「今日はもうない。明日また来い」と予想外且つ無情な返答。
チケットを持っているのに船に乗れないなんて全く考えていなかった。しっかり交渉するべきだったと今更ながら思う。


この辺りにはたくさんの船が停泊していて、パナマへ向かう貨物船もあり、一緒に乗せてもらえないか交渉するも、ダメだと言われた。結局朝出てきたばかりの宿に戻る。
多くのサイクリストは空路、あるいは500ドルもするクルージングでカリブ海を越えている。
このルートを自転車と共に越えたという情報は英語で検索していくつか出てくる程度だったが、荷物代の相場を把握できた。もう少し上積みしないと難しそうだ。


翌日再び港へ。
荷物代として「40(クアレンタ)」と言われたので、40ミル(14ドル)を渡そうとしたら、「違う、40ドルだ」と言われた。昨日より高くなっているではないか。

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出航が迫り、80ミルまで下がったが、50ミルまで値切る。
1人60ミルなのでこれでもまだ高い気がするけど、70キロ、大きな荷物なのでこれも仕方ないのか…。
最悪この日乗れなかったらカプルガナ行きの船が出ているネコクリへ行く事も考えていたので、船に乗れたのは良かった。

船の揺れがすごいという事は聞いていて、船首の揺れがまた激しいらしいのだが、乗船が最後になったので、前から2列目という席。大きな波を越える度に尻が浮き上がり、座席に叩きつけられ、あちこちから悲鳴が上がる。何度も何度も何度も…。
その度に内臓に大きな衝撃を感じ、また途中から首に違和感を覚え始めた。交通事故の衝撃でむち打ちになるのと同じような症状ではないか。これにずっと乗っていたら体を悪くするのは明白だが、カプルガナまで3時間も続き、その後も船旅は続く。
隣のおばさんが連れている犬がうんちをして悪臭が漂う。うんちで汚れた救命胴衣を見て、次にこれを着る人に同情する。

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カプルガナ到着。
バカンスで訪れる人が多く、不便なところにあるくせに思っていた以上に賑わっている。
イミグレへ行くも職員不在で、なんだかんだで2時間もかかってコロンビアの出国スタンプがパスポートに押された。

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パナマのイミグレーションがあるプエルト・オバルディアへのボートはすぐに見つかり、ドイツ人旅行者3人、現地人2人と乗船。ありがたい事に荷物代は取られず。
この辺りは陸の孤島みたいな所なので車はなく、代わりにボートが人々の足となっている。ガソリンスタンドがあったがもちろんボート用。

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1時間でプエルト・オバルディアに到着。
麻薬犬による荷物チェックを受け、パナマ入国。
観光客で賑わうカプルガナと対照的に自分達以外に旅行者はいない小さな村だった。
海辺にテントを張り、リヤカーに付着した潮を洗い流す。何人かの村人にカルティへのボート代について尋ねると、100~120ドルが相場である事が分かった。