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ALKINIST -あるきにすと-

危険地帯 

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早朝、お礼を伝えて出発しようとしたら「食べていきなさい」と朝食を渡された。
前日にテントを張らせてもらった際も温かいスープを出してくれ、雨に打たれ冷えた体が温まった。
本当にありがたいです、グラシアス。

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コロンビアに入ってから連日アップダウンを繰り返してきたけど、ここからカルタゴまでの220キロは延々とフラットな道が続く。
ここから近いところにカリというコロンビア第3の街があるのだけど、危険都市ランキングでいつも上位にランクインする危険都市。わざわざ立ち寄る必要はないし避ける事にする。

カリを避けるのはいいのだけど、もう一つの道にもPuerto Tejadaという町の治安が良くない事をサイクリストから教えられていた。今回歩くのはPuerto Tejadaを通るルート。

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料金所にガソリンスタンド、テントを張る機会はあったのだけどさらに先へと進んでいき、気が付けばPuerto Tejadaまで2キロの所まで来ていた。屋根下にテントを張らせてもらう。

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併設するバーでビールを2本ごちそうになり、あれこれ話す。
Puerto Tejadaの事も聞いてみたが、皆「ペリグロ(危険)」と口を揃えた。

6時に歩くのが危険なら「7時は?」と聞けば「ペリグロ」
「8時は?9時は?10時は?」「ペリグロ、ペリグロ、ペリグロ」
常に危険な町らしく、警察のエスコートを付けて歩く事を勧められた。

確かにこのVilla RicaからPuerto Tejadaへの間も雰囲気はあまり良くなく、警察がやたらパトロールしているのが印象的だった。
テントを張らせてくれたおじさんも「夜、何かあったらこのドアを叩け」と言ったし……。

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翌朝、「15分後に警察が来るから準備しろ」と近所のお姉さん。
前日の話では7時出発という事になっていたが、まだ6時半。コーヒー片手にテントも片付けていない状態。
雨が降っていたので出発を遅らせようとも思っていたのだが、歩かざるを得ない状況に。

警察のエスコート付で歩くのはウクライナに続き2度目。
あの時はテント泊してたら近くに停めた車内で警察が守ってくれていて、大晦日の夜はガソリンスタンドに警察も一緒に泊まり、申し訳なく思うくらいのエスコートだった。

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プレッシャーをかけてくるわけではないが、のんびり歩くのは何だか申し訳なくて3キロくらい走った。
タバコをやめて6年、6万キロ以上歩いてきてはいるけど歩くのと走るのは全くの別物であり、とてもきつい。途中から走っては歩くを繰り返す。

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計3台のバイクが交代しながらエスコート。
雨の中ありがとうございます。歩くの遅くてごめんなさい。

町の中心へは行かず、畑が広がるのどかな郊外を歩いたのだけど、危険な雰囲気は微塵も感じず。「本当に危ないのか?」と警察に聞くのだが、彼らは「ペリグロ」と答え、またその後も何人かの人に尋ねたのだが皆「ペリグロ」と言った。

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この辺りは延々とサトウキビ畑が続く。
フラットな道は楽だけど、単調で退屈な景色で、山が恋しくなってしまった。

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荷台を5台くらい連結させ、サトウキビを運ぶトラックもよく目にする。

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道脇には延々と柵が設けられ、テントを張るために侵入不可だったが、途切れたところにあったサトウキビ畑に入り、テントを張る。蚊が多かった。

雨宿りデー 

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ポパヤンで2日半の休養。
洗濯をして、必要なものを購入。あとは作業を少々。
当初の予定より1日延泊したのはシルビアのマーケットを見に行こうかと考えたからだけど、面倒なので結局行かず、ひたすら休養に徹する。

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ポパヤンの町並みは白い。

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歩行再開。
ポパヤンを抜けたところでメデジンへの距離標識が初めて現れた。
コロンビアからパナマへ渡る方法がいくつかあって、空路を使うならメデジンからなのだが、海路で向かうなら別の場所からになる。その場合大きな街は歩きたくないのでメデジンには寄らない予定。
もう少し時間があるので引き続き検討する。

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午前中は順調に歩いていたのだが、午後から雨。

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雨宿り。

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雨が落ち着いたので再び歩き始めるが、強く降り始めたので雨宿り。

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3度目の雨宿り。
この辺りには建物がなかったのでびしょ濡れ。
シャツを絞れば大量の雨水が滴り落ちる。

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4度目。
ちょっと落ち着いたかなと思って歩き始めるんだけどすぐに降り始める。

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5度目。

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6度目。
寒いし、もう日没前だったのでここにテントを張らせてもらう。

ポパヤンへ 

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200メートル下った後は延々と上りが続き、800メートル高度を上げて1860メートル。

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峠を越えたと思いきや、300メートル下った後、500メートル上って正面に見える山を越えるらしい。
~メートル上って、下ってと書き記す日々。
楽ではないけど、ようやく上りに慣れてきたのでものすごくきついというわけでもない。

山を越えた後、雨に見舞われ、無人の屋根下で雨宿り。
道路から丸見えだけど、屋根はあるし、ここでテントを張ってもいいんじゃないかと考えた。
農作業帰りのおじさんがいたので安全か否かを尋ねれば、「安全ではない」という返答。
頬を指でなぞる仕草を見せた。

前に知らず知らずにのうちにパストのスラムを歩いていたら警察に声をかけられ「ここは危ないぞ」と一言。そして同じような仕草を見せたのだけど、日本のヤクザを示す動作と同じだと思った。

現地人が「安全ではない」というのだからそれに従うほかなく、もう少し歩く。
食堂で声をかけてくれた人が「家にテントを張ってもいい」と言ってくれたのだが、苦労して上ってきた坂を下る必要があったのでその申し出を断り、別の民家にテントを張らせていただく。

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今の時期のアンデスは雨期なのか、雨が多いので屋根下にテントを張りたい。
ポパヤンへは20キロのところ。

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翌朝、朝食をごちそうしてくれた人達。

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坂を上っていたら「何か飲め」と2ミル渡してくれたサイクリスト。

多くの人に助けられながら目指していたポパヤンに到着。

ハキリアリ 

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テント周りをライトで慎重に照らし、サソリがいないかを確認してテントを片付け、出発。

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この日はやたらとハキリアリが目につき、足を止めて観察。
フンコロガシとかカメレオンとかアフリカでもそうだったように見慣れない生物というのは本当に興味深い。

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障害を乗り越えるハキリアリ。

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El Bordoでは「冷たいものでも飲みなさい」とおじさんから2ミル(約80円)をいただき、

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お兄さんから冷たい水の差し入れ。
2人ともグラシアス。

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夕方、あと30分くらい歩くか迷っていたところ、「そこにテントを張ればいいよ」とおじさんに声をかけられる。
歩行距離55キロと連日の55キロ超えは嬉しい。

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最近は酒を控えているのだけど、暑いし、隣に商店はあるし、久々にビールを飲む。

真夜中の訪問者 

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歩行再開以来、曇りの日が多かったけれど、久々に朝焼け空を見た。

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日中も良い天気で、とても暑く、水分摂取量が増える。
700メートルを切るところまで下り、その後は緩やかにアップダウンを繰り返す。
先日まで3000メートルを超えていたので尚更暑さを感じる。

前日の山道は意外にも商店や食堂が点在していたのでこの先のルートも大丈夫だろうと思っていたら、延々と何もない。
どんどんと減っていく水ボトルに不安を覚える。

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最後に見かけた商店から20キロ歩きようやく集落が現れた。
自転車なら1時間少しの距離だけど、歩けば4時間。とても長かったし、救われた気分。
二口分の飲料しか残っていなかった。
道脇の小さな店でコーラを買う、小さいながらも冷蔵庫があり、冷えたコーラを飲めるのは嬉しい。

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その後も黙々と歩き、牧草地の小屋にテントを張る。
緩やかなアップダウンが続いただけなので距離を稼げ、歩行距離は56キロ。
歩行再開以来50キロを超えるのは初めてなので嬉しい。
この程度のアップダウンなら60キロは歩ける状態に戻っている。


夜、ふとライトを外に向けた時、がさがさと動くものに気付いた。
これを見た時、目を疑ったし、なんでこんな緑溢れる牧草地にいるんだろうと思った。
ここは砂漠でなく牧場、牛はいるけどラクダはいない。本当に意味不明。

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3匹のサソリを発見。1匹は靴の下に隠れていた。
このサソリが手にしているのはバッタ。
小屋の壁の上にいるのは無視して、テント周りを這い回る2匹は安全のために殺す。

絶景ルート 

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前日感じた膝の痛みは消え、足取りも軽い。

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しばらく歩いたところから切り立った崖の上の道となり、景色も良くなる。
この先のコロンビアでのルートでここを超える景色とは出会えないんじゃないかと思う。

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土砂や岩が崩れた場所が多く、山側ではなく谷側を歩いていたが、50メートル前方で突然土砂と木が落ちてきた。
もう少し早くここを通過していたらとか、これがもし大きな岩だったらとか、仮定の想像をあれこれ巡らす。ここで生きるか死ぬかって運であり、運命だと思うのです。

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10分後、トラックなどが列を作っていたので何かあったのだろうかと思っていたら事故だった。事故に巻き込まれるか否かっていうのも運命。

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自分のように路上で1日の大半を過ごす人間が無事故で生き延びる一方で、世界中には不幸な交通事故が頻発しているわけで。
事故を未然に防ぐ準備はするけど、その事故に遭遇するかっていうのは本当に運であり、運命じゃなかろうか。

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歩行開始以来ずっと下り続けているが、そろそろ下りも終わりか。
谷の向こう側に道が見えた。
上りというのはうんざりさせられるものだけど、ここの下りの勾配は緩やかだったので上りに対する不安はそれ程ない。景色も良くて楽しみながら歩けているし。

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谷底に架かる橋が見えた。ここまで下ること1000メートル。

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そして逆側へ。上りが始まるが、思った通りきつい上りではない。
歩行再開後のエクアドルの上りや先日のパストへの上りではものすごく苦しめられたのだけど、ようやく慣れてきたという事なのか、あるいはやはりあの勾配はきつ過ぎたのか、どっちなのだろう。

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こういう現場が本当に多い。

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ここのルート上には200メートルのトンネルが2つあった。
いずれも歩行可能だが、駆け抜ける。

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さらに上ってトンネルを見下ろす。

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本当にすごい道だ。

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650メートル上った後、再び下りになり、絶景ルートは終了。
このルートを歩けただけでも歩行再開した価値はあると思うし、こんなにも景色を楽しめるのは人力旅の特権でなかろうか。

Chachagui 

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少しずつではあるがポパヤンに近付いている。

2キロ歩いたところで昨日のトンネルからの道と合流。
迂回路を歩けば30キロと警備員は言ったが実際は15キロだった。

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さーっと行ってしまいたいところだけど膝に痛みを感じた11時、ホテルが現れたので、早々に歩行を切り上げる。
翌日以降険しい山道が続くのでそれに備えての休養。