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ALKINIST -あるきにすと-

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14足目の靴 

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寿命間近の14足目の靴。

4万キロ歩いた地球一周の際は計8足の靴を使用。
1万キロのアフリカは2足。
ここまで1万キロの南米ではこの靴で4足目。
そのうち1足はチリのアウトドアメーカーDoiteのものを使用し1000キロももたなかったとはいえ、残りの3足はこれまでずっと使用してきたコロンビアのトレッキングシューズ。

14足目のこの靴はクスコから履き、ここまで2200キロ、あとはトレッキングで使用。
いつもなら4000キロ超は履けるのだが。
南米では明らかに靴の消耗が早いのだけどなぜなのだろう?




宿周辺は衣料品マーケットがあり、中古の靴も売られている。

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日本にはコロンビアから支給された靴があるものの、今から送っても間に合わず、穴の開いた靴しかもっていない今の自分にとっては願ってもない環境。とりあえず6ドルで1足購入。

体調不良で2日間ベッドから動けなかったのだが、2日目の夕方、飲み物を買いに外へ出ると、日曜日だからか衣料品マーケットはいつも以上の賑わい。
掘り出し物がないか見て回ったところ、新たに9ドルでもう1足靴を購入した。

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トルヒーヨからエクアドルの首都キトまで約1200キロ。
どれだけの耐久性があるかは分からないけど、これでなんとかいけそう。

Casa de Ciclistas 

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トルヒーヨ到着後、住所をメモした紙を頼りにある自転車屋を目指した。
扉は閉ざされ、メモがなければここが自転車屋であるなんて分かるはずないという外観の自転車屋。

到着したのは8時過ぎ、インターホンを鳴らすも誰も現れず。
扉に貼られた電話番号に電話すれば留守電が応答するのみ、しつこくインターホンを鳴らし、扉を叩くも全く反応なし。
あきらめて近隣の安宿に泊まろうと考え、一度はここを離れるたが料金を尋ねれば予算の2倍以上だったので結局また自転車屋へと戻ってきた。

到着から40分後、自転車に乗った男が声をかけてきた。
彼こそここのオーナーであるLuchoであり、この自転車屋はサイクリストを格安で泊めてくれる「Casa de Ciclistas」。直訳すると自転車乗りの家。
サイクリストの多いパタゴニアにはこの手の宿がいくつかあり、トルウインのパン屋さんでお世話になった。
自転車乗りなら口コミで知ってる人は知っているという場所。到着時、ポーランド人サイクリストがいて、前日にすれ違ったドイツ人もここに泊まっていたらしい。

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案内された部屋の壁はこれまで訪れたサイクリストの写真や書き込みがたくさん。

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この地図はハインツ・シュトゥッケというドイツ人のもの。
彼は50年以上自転車の旅を続けているのだけど、過去クリスマスを過ごした場所が地図上にマークされている。

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自転車屋だけど、基本的にLuchoはいないし、営業しているところを見たことがない。
Luchoはここに住んでいるわけではなくて、鍵を渡され、あとは自由にどうぞという感じ。
昼から翌朝まで断水、ホットシャワーなしという点をのぞけば、ネット環境はあるし許容範囲。さっき訪ねた宿の4分の1で泊まれるし。

2、3泊して出るつもりだったのだけど、体調不良により、ここにとどまらざるを得ない状況となる。ラパス以降3度目の食あたり。水か食べ物か、心当たりが多すぎて特定できず。
長期間海外を歩いているし、感染症が多い東南アジアやアフリカでも問題なかったけど、最近体調を崩す頻度が激増している。

トルヒーヨへ 



サンタを出てからは再びパンアメリカン・ハイウェイを歩き、北を目指す。

地図を見れば前回ハイウェイを外れたカスマから徒歩で1日半程北に位置する場所でしかなく、ワラスやらワスカラン国立公園やらと2週間少しアンデスを歩いてきたけど、本当に遠回りというか、寄り道でしかなかったのだなと思い知らされる。まあ別にいいんですけど。

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砂漠地帯が続く。

この先トルヒーヨから北はサイクリストを狙った強盗が現れる場所であり、とあるサイクリストからは今まさに歩いているチンボテ・トルヒーヨ間も危ないって聞きましたよと教えられていたので少しばかりの不安を抱き、周囲の状況に気を配りながら歩いた。
日中に関しては交通量もそこそこあるんだけど、時折途切れるわずかな時間が怖い。

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前方からの車が停車した時は「止まるなよ」と思ったのだが、おじさんがミカンを渡してくれた。

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この日はチャオという町で、現地の方の敷地にテントを張らせてもらう。

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ペルーは中華レストランが多く、度々お世話になっている。
メニューはどこも似たり寄ったりであり、最近は炒飯と炒麺が盛られたコンビナードを食べているが、ここのコンビナードが絶品だった。もう一度食べたいなと思ったが、中華のために延泊するわけにはいかないので、翌朝は引き続き北を目指す。

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片側2車線の分離道路なのだけど、なぜかこの日歩いた数十キロは一方が封鎖されており、車両通行は不可。とても気楽に歩けた。

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延々と何もないのだが、幸運にも食堂が現れたので昼食。

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食堂で買われている鳥も食事中。
量は別にして、チキンにパスタ、米、野菜と普段の自分より鳥の方がまともな食生活である事にショックを受ける。

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横にいるのは食堂のおじさん。おじさんのジュースも鳥が普通に飲んでいた。
ペルーのこの手の食堂はスープ、メイン、ジュースが付く事が多いのだけど、ここではジュースが大きなピッチャーに入れられ、「もっと飲むか?」とサービス精神も旺盛で、1リットル以上は飲んでしまった。食堂を出る頃は思い切り腹が膨れる。

この日は景色も単調だし、特に写真も撮ってない。
歩きながら後方にいるサイクリストの事を考えていた。
2015年10月にアルゼンチン・ウシュアイアを発ったサイクリストのうち少なくとも2組のサイクリストが後ろにいる。自分も含め、2015年10月組は本当に遅い奴ばかりだ。
一人はカラファテ、サンティアゴで会ったトム、もう一人はトルウィン、パイネで会ったデジ。
トムはペルーにいるんだけど、デジとは久しく連絡を取っていないのでメールでも送ってみようかなと思った。

頑張ればトルヒーヨに着く事もできたけど、暗くなってからの到着は避けたく、近郊のガソリンスタンドにテントを張らせてもらう。

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朝食。
中国で毎朝飲んでいた豆乳をペルーでも飲めると最近知ったのでよく飲んでいる。

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10キロ歩いてペルー第三の街トルヒーヨへ。

Santa 

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国立公園を出た翌日、さらに山を下り、ユンガイへ。
ここからアンデスを歩き、北を目指す事もできるけど、一度沿海部へ戻る事にする。
しかしユンガイの向こうにそびえる山脈を見れば、「これを越えないといけないのか…」とやる気を失ってしまう。

とりあえず警察へ行き、情報収集。
地図を見ればルートは2つあり、ユンガイ近くからの道はこの山を越える必要があるとの事。
そしてもう一つのHuallancaを経て沿海部へ向かうルートに関しては、「Huallancaまではフラットな道が続く」と応対した警官。その後に関しては「知らない」と言った。

とりあえず山を下ってきたばかりであり、また新たに上る気にはなれなかったのでひとまずHuallancaルートを歩いてみる事に。

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さらに歩いてカラスまで行き、ここで1日半休養。
町からは白い山のてっぺんを見る事ができる。

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カラスを出てしばらくはずっとこんな道。

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トンネルも多く、大小合わせて50くらいはあったのではないか。
トンネル内にライトなし。車1台分の幅しかない。
ヘッドライトを手に持ち、車が来ればライトを点滅させてこちらの存在を伝える。

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台湾の太魯閣を思い出させる道だった。

その後到着したHuallancaでこの先の道について尋ねると、山はないとの事で一安心。海へ向かって下り続ける。

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カラスから3日目。
珍しく朝から曇っているなと思ったのだけど、沿海部を歩いていた時は昼前まで曇りだった事を思い出した。
高度は600メートルまで下り、もうアンデスを抜けたのだと気付く。

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連日のパンク。
現在エクアドル・キトへタイヤを送っているところなのだが、キトまでこのタイヤでいけるか非常に不安。

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パンアメリカン・ハイウェイまで30キロ。
夕方サンタに到着。明日からまた砂漠地帯を歩く。


Huascaran N.P Day7 



7日目。
チョピカルキを拝もうかとテントから顔を出すも、周囲は深い霧に包まれ何も見えず。

ここから400メートル上り、峠を越えた先に絶景が待っている。
ここを自分の足で歩くために海抜200メートルの海沿いから4200メートルの峠を越えてわざわざやって来たわけで、ワスカラン国立公園の歩行において最も重要な日。天候が唯一の懸念材料なのだが大丈夫なのだろうか。
視界が悪く、幅の狭い道を歩く事にも不安を覚えたけど、もともと交通量の少ない道だし、さらには早朝という事で峠を越えるまで1台の車もやって来なかった。

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たまに霧が晴れ、太陽が顔を出せば見事な景色を目にする事ができるが、すぐにまた霧に包まれるという事を何度か繰り返す。

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周囲の景色、状況がつかめないまま、黙々と歩き続ける事2時間。
気が付けば峠の頂上が目の前にあった。
峠は4750メートルくらいのはずだが、自分の腕時計の高度は4620メートルでしかなかったし、苦労を重ねた末に峠を越えた喜びよりも呆気ないなという気持ちが率直な感想。

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峠を越えた先に絶景が待ち受けているのだけど、やはり霧に包まれ視界不良。
天候が回復するまで1時間半待ち続ける。

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少しずつ天候は回復。

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そして現れたのがこの景色。

未舗装の悪路をひたすら黙々と歩き、4700メートルの峠を越えた先にこの絶景が現れれば感極まって泣いてしまったかもと思うが、残念ながら前回車で通過した場所であり、この景色の事は知っていた。号泣する事はなかったけど熱いものが込み上げてくる。
元々あまり感動する人間ではないのだが心が震えた。

ここまで歩く事6万キロ。地球の大きさからしてみたら6万キロの足跡なんてちっぽけなものだけど、そんな6万キロの中でのベストルートは間違いなくこのワスカラン国立公園。
ここを歩きたいと思い、4200メートルの峠を越えてアンデスへ戻ってきたのだ。
集大成の五大陸目である南米。最後の最後に素晴らしいルートと巡り合えたなと思う。

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はるか下まで続く九十九折の道は圧巻の一言。

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これは以前トレッキングをした際、正面のピスコから撮った九十九折の写真。

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絶景を楽しみながらゆっくりと下る。

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どこまでも続く下り坂。

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ここでカーブを曲がれば正面にはワスカランとチョピカルキが見え、

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次のカーブを曲がった先にはピスコなどを見る事ができる。どちらも素晴らしい景色。

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600メートルも下れば、ついさっきまで同じくらいの高さにあった山々を見上げる事になる。

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見下ろしていた湖ももう近い。

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あの峠を越えてきたのか、あそこから下りてきたのかと何度も後ろを振り返った。
我ながらよく歩いてきたものだなと思う。
念願のワスカラン横断を果たし、ペルーでの歩行に思い残す事はもうない。

歩行距離35キロ。

Huascaran N.P Day6 



6日目。
ひたすら上り。

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約3時間歩いてバケリア着。
サンタクルストレッキングの起点となる場所で、前回のトレッキングの時もここを訪れていた。
ここから先はバスで移動した際に景色を見ており、今回歩いて訪れようと思ったのもこの絶景の中を歩いてみたいと思ったから。
海抜200メートルの沿海部から4200メートルの峠を越えてアンデスに戻るという衝動に駆らせた景色がこの先に待ち受ける。

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どこから国立公園になるのか分からないけど、再び国立公園へ。
サイクリストと遭遇する。
「この先はものすごくビューティフルよ」と興奮気味に話す女性に対し、「前に見たから知ってます」とは言えず、「そうなんですか、すごく楽しみです」と返しておく。

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また山が見えてきた。

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13時過ぎではあったけど歩行終了。
国立公園内は景色とキャンプを楽しむ事が目的なので。
絶景は明日ゆっくりでいい。

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テントからの眺め。

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後で地図を見て知ったんですが、3日目の朝にテントから眺め続けたチョピカルキだった。

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景色を楽しみながらラーメンを食べ、コーヒーを飲んでと考えていたけど、先ほどまでの青空はどこへやら。次第に雲行きが怪しくなっていく。

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パラパラと雨が降り、雪へと変わり、そしてやや強めのみぞれが降り始める。
吹き付ける風は冷たいし、一気に寒さが増した。やる事もないし、19時に眠る。

歩行距離25キロ。4300メートル。

Huascaran N.P Day4 & Day5 

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4日目。
前日に続き下り。
この先また4700メートルの峠を越えないといけないので、下る事なく高度を維持してほしい……。下ったら下った分、また上らないといけないので。
徒歩か自転車で旅する人にしか理解できない事かもしれない。

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これまではアスファルトだったけど、この先は未舗装路を歩き、4700メートルの峠を越える事になる。
本当に歩き抜けるのだろうか。南米縦断ルートを外れ、わざわざアンデスへ戻ってきたけど、その決断は間違っていたのではないかと弱気になる。

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10時、サンルイスに到着。
休養、買い物、充電をする必要があったので歩行終了。

歩行距離21キロ。3100メートル。


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5日目。
6時に出発したのだが、アンデスの人達の朝は早い。
食堂が開いていたので朝食。看板にあるカルド・デ・なんちゃらというのを食べてみたけど、ホルモンスープでした。もう2度と食べないと思う。


ここから先は未舗装路。
車が通る度に土煙を上げていく。
そしてまた1台来たなと思ったのだけど、いつも横を通り過ぎていく車とは違った。

明らかに旅行者のものと思われるステッカーがベタベタと貼られたオフロードカー。
南米ではキャンピングカーやオフロードカーを何度か目にしたけど、最も多いのがスイス。
サンルイス滞在中もスイスナンバーを見たし、次いでドイツあたりか。

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で、この車のナンバーはというとロシアだった。
ロシアナンバーの車を見るのはロシアを歩いていた時以来だし、ロシア人旅行者なんて1度くらいしか会った事がなく極めて稀。
「止まってくれないかな」と思うのだけど、無情にも素通り。
しかしこの先に交通規制されている橋があり、ロシア車はそこで停車していた。
ちょうど動き始めようとしていた時だったが、走って彼らの元へ。これがスイスナンバーだったら絶対にここまでしていなかったけどロシアナンバーだったので。

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何とか追いつき、運転席に手を振れば、ウィンドウが下げられ、優しい顔をした男性が現れた。

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奥さんのニーナと旅をしているウラジミール。
「プーチンと同じ名前ですね」とどうでもいい事を言い、会話が始まった。

日本から近いウラジオストクに住んでいて、車も日本車。車庫証明のステッカーも張られていて徳島県だった。
アルゼンチン・ウシュアイアからアメリカへ向かっている。
コーヒーをごちそうになり、しばし談笑。英語とスペイン語、ロシア語の単語が混ざり合う奇妙な会話だった。


最近、某新聞社の記者とメールのやり取りをした際、偶然とも必然とも言えない出会いの面白さについて話し合った。
ウラジミールとの出会いも同じで、日本人とロシア人がペルー・アンデスの山奥、普通の旅行者が訪れないような場所で出会う。しかも自分が走って追いかけたからこそ出会えたわけで、あそこで走らなければ我々の人生が交わる事はなかった。
改めて出会いというのは面白いものだなと思う。

それと同時に思い出したのはロシアを歩いていた時の日々。
日本との間に領土問題を抱え、世界的にも色々言われてる国だけど、出会った人一人一人、あるいは彼らとのエピソードを思い返せばとても温かな国だったなと。
この時のユーラシア大陸横断という挑戦は冒険的であり、非常に刺激的であったと思う。
知識も経験もない中歩き抜けるかどうか分からなかったし、実際苦労やトラブルも多かった。
それに比べたら6万キロという経験を積んだ今、南米大陸を歩くなんて難しい事でないのかなと思う。

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そうは言っても未舗装路を歩いて4700メートルの峠を越えるというのは簡単な事ではないのである。
「下るな下るな」と念じてるのに、結局2500メートルまで降下。ここから4700メートルまで本当にいけるんか?
未舗装路といってもきれいに整地されてるのならまだしも、デコボコガタガタの悪路。
車輪が大きな石に何度も引っかかり、時には深い砂の中にタイヤが沈み、ストレスを感じる。

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この日の目的地ヤナマに夕方到着。
町の背後には山々がそびえていた。
食料を購入し、町の先でキャンプ。

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歩行距離47キロ。3400メートル。

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